その他のサル類 ケースメソッド 50問

状況を読み、飼い主として「最初に取るべき行動」を4択から選んでください。回答後に解説・課題・改善案が表示されます。マニュアルを見る

解答と解説・課題と改善案(全50問)

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Q1朝の掃除で見つけた粘血便病気

施設で飼育する5歳のカニクイザル3頭の群れ。朝の清掃で床に粘液と血の混じった水様便が数か所あり、1頭が隅でうずくまり毛づやも悪い。昨夜までは普通に食べていた。他の2頭は元気に見える。飼育担当は自分一人で、今日は来客対応も控えている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 元気な2頭と同じ檻のまま様子を見て、夕方まで食欲を観察する
  2. うずくまる個体を隔離し、便を採取して手袋・マスクで世話し当日中に受診
  3. 人用の整腸剤を餌に混ぜて与え、便が固まるまで待つ
  4. ホースで床を水洗いして便を流し、群れ全体に絶食させる

正解B.うずくまる個体を隔離し、便を採取して手袋・マスクで世話し当日中に受診

解説サル類の粘血便は細菌性赤痢やサルモネラなど人にもうつる腸炎の可能性が高く、脱水で急速に悪化する。発症個体を隔離し、便を採取して検査に出し、当日中に獣医師の診察を受ける。世話は手袋とマスクを着け、終了後は石けんで手洗いする。同居のまま観察すると群れ全体に広がり、人用薬の自己投与は原因菌の特定を妨げ悪化させることがある。便を安易にホースで流すと飛沫で病原体が周囲に広がり、検体も失う。群れ全体の絶食は衰弱を早めるだけで根拠がない。

課題飼育担当が一人で、異常時に隔離や受診を同時に行う体制がなかった。便の異常を検体として残す意識が薄く、ホースで流す習慣が感染拡大の温床になっていた。

改善案隔離用ケージと採便容器を常備し、血便を見たら隔離・採便・受診の手順を掲示する。緊急時に応援できる担当者を決め、清掃前に便の状態を記録する習慣をつける。

Q2数週間続く咳と体重減少病気

研究施設から引き取った12歳のアカゲザル。3週間前から乾いた咳が出始め、毎月の体重測定で1kg減っていた。食欲はあるのに痩せ、首のリンパ節が腫れているように見える。飼育者は風邪だろうと考えていたが、同じ建物に別のマカク2頭がいる。

この状況で優先すべき対応はどれか

  1. 乾燥が原因と考えて加湿器を置き、高カロリーの果物を増やす
  2. 人用の咳止めシロップを少量与え、1週間様子を見る
  3. 結核を疑い隔離しN95マスクで世話し、獣医師と保健所に相談し他の個体も検査
  4. 咳が出ている間だけ屋外運動場に出して日光浴をさせる

正解C.結核を疑い隔離しN95マスクで世話し、獣医師と保健所に相談し他の個体も検査

解説慢性の咳・体重減少・リンパ節腫脹はサル類の結核を強く疑う所見で、人にもサルにもうつる。直ちに隔離し、世話はN95マスクと手袋で行い、獣医師に連絡してツベルクリン検査や画像検査を受ける。結核は感染症法上の届出対象でもあり、保健所への相談と同居個体・飼育者の検査が必要になる。加湿や果物では原因に対処できず、果物の増量は糖尿病のリスクも高める。人用の咳止めは症状を隠し診断を遅らせる。屋外に出すと他の動物や人への曝露範囲が広がる。

課題導入時のツベルクリン検査記録を確認せず、咳を風邪と自己判断して3週間放置した。体重減少という客観的な異常が記録されていたのに、受診の基準として機能していなかった。

改善案新規個体は検疫期間を設け、導入時と年1回のツベルクリン検査を記録する。咳が1週間続く、体重が5%減るなど受診基準を数値で決め、飼育者自身も年1回健診を受ける。

Q3唇にできた小さな水疱病気

飼育下のカニクイザル、8歳オス。給餌の時に上唇と口の中に小さな水疱と潰瘍が数個あるのに気づいた。食欲はやや落ちているが活動は普通。先週から新しい担当者が檻内清掃を始め、保定の練習で素手で口元を触ったことがある。

最初に取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 口内炎と考え、軟らかい餌に替えて治るまで様子を見る
  2. ストレス性と判断し、担当者の檻内作業を中止するだけにする
  3. 患部を綿棒で消毒薬を塗り、同居個体にもうつらないよう餌場を分ける
  4. Bウイルスの疑いとして素手で触らず隔離し、獣医師に連絡、口元を触った担当者は医療機関に相談

正解D.Bウイルスの疑いとして素手で触らず隔離し、獣医師に連絡、口元を触った担当者は医療機関に相談

解説マカク類の口唇・口内の水疱や潰瘍はBウイルス(マカシンヘルペスウイルス1)の排出期に見られる所見で、サルには軽症でも人には致死的な脳炎を起こす。直ちに隔離し、以後の世話はゴーグル・手袋・マスクを着け、獣医師に連絡して検査を受ける。素手で口元に触れた担当者は曝露の可能性があるため、傷の有無にかかわらず医療機関でBウイルス曝露として相談する。口内炎として軟らかい餌で様子を見る、消毒薬を素手で塗る行為は人の曝露を増やす。作業中止だけでは既に曝露した人の対応が抜け落ちる。

課題新任担当者が防護具なしで素手で口元を触る保定練習をしており、マカク類の唾液が致死的な感染源であるという教育が欠けていた。口内の異常を見る習慣もなかった。

改善案マカク類の取り扱いは防護具着用と扉越しの作業を原則とし、新任者には着任前にBウイルス教育を行う。曝露時の連絡先と受診先を掲示し、口元・唇の観察を毎日の点検項目に入れる。

Q4水をよく飲み痩せてきた高齢ザル病気

個人で長年飼養している20歳のカニクイザル。昔からバナナや菓子をよく与えてきた。最近は給水ボトルが毎日空になり、床の尿の量が増え、よく食べるのに体が細くなった。毛づやも落ち、目が白く濁り始めた気がする。

この変化に対して飼い主が取るべき行動はどれか

  1. 年のせいと考え、好物の果物を増やして体力をつけさせる
  2. 水の飲みすぎを防ぐため給水ボトルを半日外す
  3. 糖尿病を疑い、果物・菓子を止めて数日以内に受診し血液・尿検査を受ける
  4. 白内障だけが問題なので目薬を買って点眼する

正解C.糖尿病を疑い、果物・菓子を止めて数日以内に受診し血液・尿検査を受ける

解説多飲多尿・食べるのに痩せる・白内障は、果物や菓子中心の食事で肥満した中高齢のサル類に多い糖尿病の典型的な徴候である。放置すると脱水やケトアシドーシスで命にかかわるため、数日以内に受診して血液・尿検査を受ける。果物や菓子はすぐに止め、霊長類用ペレットと野菜に切り替える。果物を増やすのは病状を悪化させる。水を制限すると脱水が進み危険で、多飲は原因ではなく結果である。白内障は糖尿病の合併症であり、市販薬の点眼で解決しない。

課題長年の果物・菓子中心の食事が肥満と糖尿病を招いた。多飲多尿が始まってから受診まで時間がかかり、体重や飲水量を記録する習慣がなかった。

改善案主食を霊長類用ペレットにし、果物は週数回少量に限る。月1回の体重測定と飲水量の記録を続け、年1回の健診で血糖値を確認する。異常があれば受診基準を家族で共有する。

Q5若い個体の足の変形とけいれん病気

室内で飼育している1歳のオマキザル。日光にはほとんど当たらず、餌は野菜と果物が中心でペレットは嫌って食べない。最近、手首が曲がって歩き方がおかしく、今朝は短いけいれんを起こした。今は落ち着いているが元気がない。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. けいれんが止まったので、今日から日光浴を長時間させて様子を見る
  2. カルシウムサプリを多めに与え、手首はマッサージして矯正する
  3. 暗く静かにして触らず、骨が折れやすい前提で丁寧に運び当日中に受診する
  4. てんかんと考えて人用の抗けいれん薬を少量飲ませる

正解C.暗く静かにして触らず、骨が折れやすい前提で丁寧に運び当日中に受診する

解説ビタミンD3不足と紫外線不足、果物中心の食事で起こる代謝性骨疾患は、成長期のサル類に多く、骨の変形とともに低カルシウムによるけいれんを起こす。けいれん後は刺激を避けて暗く静かにし、骨がもろくなっているので抱き方に注意して当日中に受診する。治療は獣医師による血液検査と計画的な補給が必要で、サプリの自己投与は過剰症や吸収不良を起こしうる。マッサージによる矯正は骨折の危険がある。日光浴は予防には有効だが、今のけいれんの治療にはならない。人用の抗けいれん薬は原因を見誤り危険。

課題紫外線灯も日光浴もなく、ペレットを食べないまま野菜と果物だけで育ててしまった。成長期の栄養管理の知識が不足し、歩き方の異常が出るまで気づかなかった。

改善案霊長類用ペレットを主食にし、ビタミンD3の供給源として紫外線灯か毎日の日光浴を確保する。成長期は月1回体重と骨格を記録し、ペレットを食べない場合は獣医師に相談する。

Q6自分の腕を噛み続ける個体病気

施設で単独飼育されている9歳のアカゲザル。以前の同居個体が死亡してから、檻の中を同じ経路で往復し、自分の前腕を噛んで脱毛と出血を繰り返している。傷は化膿しかけている。飼育者は注意するたびに大声で叱ってきた。

この問題への対応として最も適切なものはどれか

  1. 傷を獣医師に診せて治療し、採食パズルや隠れ場など環境を毎日変え、同居の可能性を検討する
  2. 噛むたびに大声で叱る、水をかけるなどして行動を止める
  3. エリザベスカラーを自分で装着し、腕を噛めないようにする
  4. 退屈が原因なのでテレビを檻の前で一日中流す

正解A.傷を獣医師に診せて治療し、採食パズルや隠れ場など環境を毎日変え、同居の可能性を検討する

解説単独飼育と刺激不足は、サル類の自傷や常同行動の最大の原因である。まず化膿した傷は獣医師の治療が必要で、感染が深部に及ぶと手術になる。並行して採食に時間がかかる仕掛け、立体的な移動路、隠れ場などの環境エンリッチメントを毎日変化させ、相性を見ながら同居を検討する。叱責や水かけは不安を強めて自傷を悪化させる。素人のカラー装着は保定時の咬傷事故の危険が高く、行動の原因も解決しない。テレビの音は刺激にはなるが、騒音が常同行動を増やすこともあり、根本の社会的欲求は満たせない。

課題群れで暮らす動物を単独で長期飼育し、仲間を失った後の行動変化を問題行動として叱責で対処していた。自傷の傷を放置して化膿させ、環境の見直しも行われていなかった。

改善案自傷が出たらまず受診し、日々の環境エンリッチメント計画を作って記録する。単独飼育を避けるため他施設との連携や同居候補を探し、行動観察を毎日記録して悪化の早期発見につなげる。

Q7風邪をひいた担当者の後に広がる発疹病気

4頭のカニクイザルを飼育する施設。1週間前、発熱と咳のある担当者がマスクなしで給餌を続けた。今日、2頭に発熱・鼻水・結膜炎と、顔から体に広がる発疹が出た。残りの2頭も元気がない。担当者はまだ咳をしている。

最初に取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 発疹に市販のかゆみ止めを塗り、鼻水が止まるまで保温して様子を見る
  2. 人からの麻疹などの感染を疑い、発症個体を隔離し症状のある人の立入りを止めて獣医師に連絡
  3. 他の個体にうつる前に4頭とも屋外運動場に出して換気する
  4. 発疹は食物アレルギーと考え、果物の種類を変える

正解B.人からの麻疹などの感染を疑い、発症個体を隔離し症状のある人の立入りを止めて獣医師に連絡

解説サル類は人の麻疹やインフルエンザなどに感受性が高く、人では軽い症状でも群れ全体で重症化し死亡することがある。発熱・結膜炎・発疹は麻疹を疑う典型的な経過で、直ちに発症個体を隔離し、咳のある人の立入りを止め、獣医師に連絡して検査と支持療法を受ける。かゆみ止めや保温は原因に対処できず、人からの感染経路が続く。屋外に出しても同じ飼育者が世話をすれば感染は止まらず、他の動物への曝露が増える。アレルギーと決めつけるのは発熱と結膜炎を説明できず、受診を遅らせる。

課題体調不良の担当者が接触を続け、人からサルへの感染という方向のリスクが施設内で共有されていなかった。マスク着用と立入制限の基準がなく、発症の初期に気づけなかった。

改善案発熱・咳・発疹のある人は立入禁止とし、健康チェック表を入口に置く。給餌時のマスクと手洗いを常時義務化し、飼育者の麻疹・インフルエンザの予防接種歴を確認する。

Q8頬袋に餌をためたまま動かない病気

7歳のカニクイザル、メス。朝の給餌でペレットを頬袋に詰めたまま、いつものように取り出して食べず、止まり木でじっとしている。夕方になっても頬袋は膨らんだままで、水もほとんど飲んでいない。排便は少なく、やや固い。

飼い主が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 食欲ゼロが1日続いたと判断し、当日中に獣医師に連絡して受診する
  2. 好物の果物を見せて食べる気を起こさせ、明日まで待つ
  3. 頬袋に手を入れて餌をかき出し、口の中を確認する
  4. 運動不足と考え、運動場に出して走らせる

正解A.食欲ゼロが1日続いたと判断し、当日中に獣医師に連絡して受診する

解説マカク類が頬袋に餌をためたまま食べないのは、口内の痛み、消化管の異常、全身の不調などで食欲が落ちているサインであり、「食欲ゼロが1日」は当日中の受診基準に当たる。飲水量も減っているため脱水が進む前に獣医師に連絡する。果物で釣って翌日まで待つと原因の特定が遅れ、糖分も良くない。頬袋に手を入れるのは咬傷事故とBウイルス曝露の危険が極めて高く、絶対に行わない。体調不良の個体を運動させると悪化や転落の危険がある。

課題食欲不振という明確な異常に対して、翌日まで待つ判断をしかけた。頬袋に手を入れるという考えが浮かぶこと自体、マカク類の口元の危険性への理解が不足していた。

改善案食欲ゼロ1日、飲水減少、排便減少を受診基準として掲示する。毎日の給餌後に頬袋の状態と残餌量を記録し、口元に手を入れないことをルール化する。受診先の獣医師を事前に確保する。

Q9群れから離れてうずくまる病気

6頭のカニクイザルを飼う施設。冬の午後、最も序列の低い3歳のメスが隅でうずくまり、群れの毛づくろいにも参加しない。よく見ると背中に小さな咬み傷があり、餌の時間も他の個体に追われて食べられていない。体が小さく震えている。

この個体への対応として最も適切なものはどれか

  1. 群れの序列は自然なことなので介入せず、翌朝まで観察する
  2. うずくまる個体を抱き上げて暖かい室内に連れていく
  3. いじめている上位個体を大声で叱り、檻を叩いて威嚇する
  4. うずくまる個体をスライド扉で隣の区画に分け、保温し餌と水を与えて当日中に受診する

正解D.うずくまる個体をスライド扉で隣の区画に分け、保温し餌と水を与えて当日中に受診する

解説序列の低い個体が餌を食べられず、咬傷を負って震えているのは、低体温・低血糖・感染の危険がある状態で、群れから分けて保温し、餌と水を確保したうえで当日中に受診する。分離はスライド扉を使い、素手で抱くのではなく安全な方法で行う。放置すると衰弱と攻撃が続き、翌朝には手遅れになることもある。上位個体を叱ったり檻を叩いたりすると群れ全体が興奮し、弱い個体への攻撃が激化する。抱き上げるのは咬傷と感染の危険があり、興奮した個体は防護具なしで扱わない。

課題群れの序列を理由に、弱い個体が餌を食べられない状態を見過ごしていた。餌場や隠れ場の数が不足し、弱い個体の逃げ場がなかった。冬の保温も群れ任せになっていた。

改善案餌場と隠れ場を頭数以上に増やし、弱い個体が食べられているか給餌のたびに確認する。咬み傷や体重減少を記録し、分離用の区画を常に空けておく。寒冷期は寝台の毛布と室温を管理する。

Q10麻酔明けに起き上がれない病気

午前中に健診で麻酔をかけ、午後に施設へ戻した15歳のアカゲザル。獣医師からは夕方には歩けるはずと聞いていたが、夜8時になっても横たわったまま、呼びかけに反応が鈍く、手足が冷たい。呼吸はゆっくりで浅い。ケージは高所の寝台つき。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 麻酔の個体差と考えて、朝まで暗くして寝かせておく
  2. 体を強くさすって起こし、水を口に流し込んで覚醒を促す
  3. 低い回復用ケージに移して毛布で保温し、呼吸数を測って麻酔をかけた獣医師に直ちに連絡
  4. 寝台に上げてやり、暖房を最大にして様子を見る

正解C.低い回復用ケージに移して毛布で保温し、呼吸数を測って麻酔をかけた獣医師に直ちに連絡

解説麻酔後に予定時刻を過ぎても覚醒せず、手足が冷たく呼吸が浅いのは低体温や循環不全、麻酔薬の代謝遅延の可能性があり、緊急性が高い。床の低い回復ケージで転落を防ぎ、毛布で保温しながら1分間の呼吸数を数え、麻酔を実施した獣医師に直ちに連絡して指示を仰ぐ。朝まで放置すると低体温が進む。強くさすったり水を口に流したりすると誤嚥や咬傷事故を起こす。寝台に上げると半覚醒で落下し骨折の原因になり、暖房の最大化は過加熱と脱水を招く。

課題麻酔後の観察体制が不十分で、高所の寝台つきケージに戻していた。覚醒遅延の判断基準や緊急連絡の手順を獣医師と事前に確認していなかった。

改善案麻酔を伴う処置の日は、低い回復用ケージで夜間も定期的に呼吸と体温を確認する当番を置く。獣医師と覚醒予定時刻、異常時の連絡先、夜間の受入先を書面で共有する。

Q11片足を引きずって高所に上がれない病気

18歳のオマキザル、オス。数日前から右後ろ足を引きずり、いつも寝ている高い寝台に上がれず床で寝ている。足首が少し腫れているが食欲はある。昨日は近づくと威嚇して寝台に上がろうとして落ちかけた。飼い主は湿布を貼ろうか迷っている。

飼い主が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 人用の湿布を貼り、痛みが引くまで寝台にタオルを敷く
  2. 食欲があるので自然に治ると考え、1週間様子を見る
  3. 腫れた足を触らず、寝台を低い位置に移して落下を防ぎ、当日中に受診する
  4. 動かさないと固まるので、運動場に出して歩かせる

正解C.腫れた足を触らず、寝台を低い位置に移して落下を防ぎ、当日中に受診する

解説足を引きずり腫れているのは骨折や関節炎、高齢ならば痛風や腫瘍などもあり、自然に治ると決めつけられない。腫れた部位は触らず、転落を防ぐため寝台や止まり木を低くして当日中に受診する。人用の湿布は成分をなめたり貼る際に咬傷事故を起こしたりし、効果も不確か。食欲があっても骨の病変は進行し、1週間の放置で治療が難しくなる。痛みのある足で運動させると骨折や転落につながる。

課題歩行異常が出てから数日間放置し、高所の寝台から落ちかける事故の前兆を見逃した。人用の薬を使う発想があり、高齢個体の関節や骨の病気への備えがなかった。

改善案歩き方の異常や腫れは当日受診を基準とし、高齢個体は寝台・止まり木を低くし床にマットを敷く。年1回の健診で血液と画像検査を受け、関節や骨の変化を記録する。

Q12お腹が張って便が出ない病気

11歳のカニクイザル、メス。2日前から便がほとんど出ず、お腹が張って触ると嫌がる。昨夜から餌に口をつけず、今朝は数回吐いた。檻内には木製の玩具があり、かじった破片が床に散らばっている。活動は低下し、止まり木でじっとしている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 便秘と考え、オリーブ油やヨーグルトを飲ませる
  2. 運動不足が原因なので運動場で走らせ、水分を多く与える
  3. お腹をマッサージして便を出させる
  4. 嘔吐と排便停止は腸閉塞の疑いとして絶食させ、破片の写真を持って今すぐ受診

正解D.嘔吐と排便停止は腸閉塞の疑いとして絶食させ、破片の写真を持って今すぐ受診

解説排便停止、腹部膨満、嘔吐、食欲廃絶が揃った状態は、かじった木片などによる腸閉塞や重度の腸炎の疑いが強く、放置すると腸壊死で死亡する。これ以上食べさせず、床に散らばった破片の写真や現物を持って直ちに受診し、画像検査を受ける。油やヨーグルトは閉塞を悪化させ、嘔吐で誤嚥の危険もある。腹部のマッサージは腸穿孔の恐れがあるうえ、痛がる個体への保定は咬傷事故を招く。運動や水分補給では閉塞は解消しない。

課題かじって破片になる木製玩具を与え、床の破片を異物のサインとして捉えていなかった。便の量を2日間確認せずに過ごし、受診が嘔吐まで遅れた。

改善案玩具は誤飲できない大きさ・材質を選び、かじり跡を毎日点検する。排便量を毎日記録し、便が減った時点で獣医師に相談する。嘔吐と排便停止の組み合わせは即受診と決めておく。

Q13群れの闘争で深い咬み傷怪我

施設で5頭のカニクイザルを飼育。4歳オスが性成熟し、年長オスとの闘争が激しくなった。夕方、若いオスが腕を深く咬まれ、血が垂れている。興奮した2頭はまだ檻内で威嚇し合い、他の個体も叫んでいる。飼育員は手袋を着けて檻内に入ろうか迷っている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. すぐに檻内に入って負傷個体を抱きかかえ、止血する
  2. ホースの水で2頭を分け、興奮が収まるのを待ってスライド扉で負傷個体を隔離し当日受診
  3. 自然に治まるので何もせず、翌朝に傷を確認する
  4. 檻を叩いて全員を威嚇し、争いを止めてから傷に消毒液をかける

正解B.ホースの水で2頭を分け、興奮が収まるのを待ってスライド扉で負傷個体を隔離し当日受診

解説興奮した群れの檻内に入るのは最も危険で、飼育員が咬まれればBウイルス曝露を含む重大事故になる。水の噴射で2頭の注意をそらして分け、興奮が収まってからスライド扉で負傷個体を別区画に移す。深い咬傷は出血が多ければ麻酔下での洗浄・縫合が必要で、当日中に受診する。翌朝まで放置すると化膿や失血で悪化する。檻を叩くと群れ全体の興奮が高まり、弱い個体への攻撃が激しくなる。消毒液を檻越しにかけるのは効果がなく、刺激で暴れる。

課題性成熟した若いオスと年長オスを分離せず同居させ、闘争の激化を予測していなかった。隔離区画や注意をそらす道具の準備が不十分で、飼育員が檻内に入る危険な発想に至った。

改善案性成熟期や新入り導入時は序列の変化を観察し、必要に応じて分離する。隠れ場と餌場を複数設け、スライド扉で分けられる区画を常に確保する。興奮時は檻内に入らないルールを徹底する。

Q14給餌中に手を咬まれた飼育員怪我

施設で10歳のカニクイザルに給餌中、給餌口から手を入れた飼育員が人差し指を咬まれ、歯の跡から出血している。痛みは我慢できる程度で出血も少なく、飼育員は「小さい傷だから」と絆創膏を貼って作業を続けようとしている。

飼育員と周囲が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 直ちに傷を石けんと流水で15分以上洗い、その日のうちにマカク類の咬傷と伝えて医療機関を受診する
  2. 絆創膏を貼って作業を続け、腫れてきたら病院に行く
  3. 消毒液をたっぷりかけて、翌日に施設の記録に書いておく
  4. 傷口を強く絞って血を出し、口で吸って毒を出してから包帯を巻く

正解A.直ちに傷を石けんと流水で15分以上洗い、その日のうちにマカク類の咬傷と伝えて医療機関を受診する

解説マカク類の咬傷は、傷が小さくてもBウイルスが侵入している可能性があり、発症すれば致死率が高い。直ちに石けんと流水で15分以上の洗浄を行い、その日のうちに医療機関を受診して「マカク類による咬傷」と伝える。これにより早期の抗ウイルス薬の投与など適切な対応が受けられる。絆創膏で作業を続ける、翌日に記録するだけという判断は、治療の時機を失う。消毒液だけでは洗浄の代わりにならない。傷を口で吸う行為は、口の粘膜への曝露を新たに生み出し極めて危険。

課題給餌口から素手を入れるという基本的な禁止行為があり、咬傷の重大さを飼育員自身が軽く見ていた。施設内に咬傷時の手順と受診先が掲示されておらず、個人の判断に委ねられていた。

改善案給餌は手を入れない構造の給餌口に改め、檻内作業は防護具と二人以上で行う。咬傷・引っかき・唾液曝露の手順を掲示し、洗浄用の流し台と受診先の連絡先を飼育区域に常備する。

Q15網越しに引っかかれた腕怪我

施設の見回り中、職員が檻に近づきすぎ、網の隙間から伸びたアカゲザルの爪で前腕に3本の引っかき傷ができた。出血はわずかで、咬まれてはいない。職員は「咬まれていないから大丈夫」と考えている。サルは以前の検査でBウイルス抗体陽性と記録がある。

この職員の対応として最も適切なものはどれか

  1. 咬傷ではないので洗って絆創膏を貼るだけでよい
  2. 傷が浅いので消毒液を塗り、発熱したら受診する
  3. 爪は唾液ではないので感染しない。念のため数日観察する
  4. 引っかき傷もBウイルス曝露と考えて15分以上洗浄し、当日中に受診して抗体陽性個体と伝える

正解D.引っかき傷もBウイルス曝露と考えて15分以上洗浄し、当日中に受診して抗体陽性個体と伝える

解説Bウイルスは唾液だけでなく、毛づくろいで爪に付いた唾液や体液、尿、皮膚の分泌物からも感染しうるため、引っかき傷も咬傷と同じ曝露として扱う。直ちに石けんと流水で15分以上洗浄し、当日中に受診して「Bウイルス抗体陽性のマカクによる引っかき傷」と伝える。発症までの潜伏期は数日から数週間あり、発熱や水疱、しびれが出てからでは遅い。咬まれていないからと軽視したり、消毒だけで済ませたりすると治療の時機を失う。

課題網越しに近づくと爪が届く距離を職員が理解しておらず、Bウイルスの感染経路が咬傷だけだと誤解していた。抗体陽性の記録が現場の注意喚起に活かされていなかった。

改善案檻の周囲に接近禁止ラインを設け、網目の大きさと爪の届く距離を職員に周知する。Bウイルス抗体陽性個体は檻に表示し、引っかき傷・唾液曝露も咬傷と同じ手順で受診することを教育する。

Q16スライド扉で指が切断された怪我

清掃のためスライド式の仕切り扉を閉めたとき、扉の向こうに手を伸ばしていた3歳のカニクイザルの指先が挟まり、第一関節から切断された。指先は床に落ちたままで、サルは大声で叫び、出血しながら檻内を走り回っている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. サルを捕まえて傷口に消毒液をかけ、包帯を巻く
  2. 興奮が収まるまで待ち、切断部を湿らせたガーゼに包み冷やして保管し獣医師に連絡して急送
  3. 指先は再接着できないので捨て、出血が止まるまで様子を見る
  4. 出血を止めるため腕にひもをきつく巻いて止血帯にする

正解B.興奮が収まるまで待ち、切断部を湿らせたガーゼに包み冷やして保管し獣医師に連絡して急送

解説指の切断は激しい出血と感染の危険があり、興奮した個体を無理に捕まえれば飼育員が咬まれる。まずスライド扉を使い個体を狭い区画に移して落ち着かせ、獣医師に連絡して麻酔下の処置を受けるため急送する。切断部は乾燥させないよう湿らせたガーゼに包み、袋に入れて保冷剤で冷やして持参すれば、処置の選択肢が広がる。消毒液や包帯は保定が必要で危険、ひもの止血帯は組織を壊死させる。出血を放置すれば失血と感染で命にかかわる。

課題スライド扉の操作時に個体の位置を確認する声出し確認がなく、網目や扉の隙間に指が入る構造だった。切断部の保存方法を知らず、緊急搬送の準備がなかった。

改善案扉操作は個体の位置を目視し声出しで確認してから行う。扉と網目は指が入らない構造に改修し、切断部保存用のガーゼ・袋・保冷剤を救急箱に常備する。緊急時の受入れ獣医師を決めておく。

Q17止まり木から落ちて腕が曲がった怪我

高齢のオマキザル、22歳。朝、止まり木から床に落ちたらしく、左前腕が不自然に曲がり、触らせずに威嚇する。床は硬いコンクリート。以前の健診で骨密度の低下を指摘されていた。飼い主は添え木を当てようとしている。

飼い主が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 骨折を疑い、触らず狭いキャリーに移して安静にし、当日中に受診する
  2. 腕を伸ばして添え木を当て、包帯で固定してから受診する
  3. 痛みが引くまで待ち、動けるようになったら受診する
  4. 人用の鎮痛剤を少量与えてから様子を見る

正解A.骨折を疑い、触らず狭いキャリーに移して安静にし、当日中に受診する

解説骨密度の低下した高齢個体の落下は骨折の可能性が高い。曲がった腕を無理に伸ばしたり添え木を当てたりすると、骨の端が神経や血管を傷つけ、痛がる個体に咬まれる危険もある。触らず、動きを制限できる狭いキャリーか輸送箱に移し、当日中に受診して画像検査を受ける。痛みが引くまで待つと骨がずれて治癒が悪くなる。人用の鎮痛剤は用量が分からず、消化管出血や腎障害を起こしうる。

課題骨密度の低下を指摘されていたのに、高い止まり木と硬いコンクリート床のままで転落対策をしていなかった。添え木や人用の薬で対処しようとする知識の誤りもあった。

改善案高齢や骨がもろい個体は止まり木を低くし、床にゴムマットやわらを敷く。健診で骨の指摘があれば食事と紫外線を見直し、骨折時は触らず輸送箱で受診することを家族で共有する。

Q18ヒーターに触れて手のひらが白い怪我

冬の夜、檻内に設置した保温ヒーターの金網カバーをカニクイザルが外し、熱くなった本体を素手でつかんでしまった。叫び声で駆けつけると、手のひらの皮膚が白く硬くなり、一部は黒ずんでいる。サルは手を振りながら檻内を動き回っている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. ヒーターの電源を切り、患部を流水で10分冷やせるよう誘導し、皮膚が白い・黒い熱傷は今すぐ受診
  2. 手に油やアロエを塗って冷やし、翌朝に受診する
  3. 水ぶくれができていないので軽いやけどと考え、様子を見る
  4. 氷を直接当てて冷やし、包帯を巻いて固定する

正解A.ヒーターの電源を切り、患部を流水で10分冷やせるよう誘導し、皮膚が白い・黒い熱傷は今すぐ受診

解説皮膚が白く硬くなる、黒ずむのは深い熱傷で、痛覚が失われているため軽く見えても重症である。まず電源を切って再接触を防ぎ、スライド扉越しなど安全な方法で患部に流水を当てて10分冷却し、直ちに受診する。深い熱傷は感染と組織壊死で手の機能を失い、治療には麻酔下の処置が必要になる。油やアロエは感染源になり、氷の直接接触は凍傷を重ねる。水ぶくれがないのは深い熱傷の特徴で、軽症の根拠にはならない。

課題器用な手で外せる金網カバーを付けたまま、ヒーター本体に触れられる設置だった。熱傷の重症度を水ぶくれの有無で判断する誤りがあり、深い熱傷の見た目を知らなかった。

改善案ヒーターは手の届かない位置か、外せない固定式カバーを使い、サルが分解する前提で点検する。熱傷時は電源遮断・流水冷却・即受診の手順を掲示し、白い・黒い皮膚は重症と教育する。

Q19延長コードをかじって倒れた怪我

個人宅で飼う6歳のカニクイザル。室内の運動時間中に扇風機の延長コードをかじり、短い悲鳴のあとに横倒しになった。口の周りが焦げたように見え、けいれんしている。コードはまだコンセントにつながったまま床に落ちている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. すぐに駆け寄って抱き上げ、心臓マッサージを始める
  2. コードを素手で引き抜き、口の中を水で洗う
  3. ブレーカーを落とすかプラグを抜いてから触り、呼吸と心拍を確認して今すぐ受診
  4. けいれんが収まるまで待ち、落ち着いたら翌日に受診する

正解C.ブレーカーを落とすかプラグを抜いてから触り、呼吸と心拍を確認して今すぐ受診

解説感電した個体に触れると救助者も感電する。まずブレーカーを落とすかプラグを乾いた手で抜き、電源を断ってから近づく。その後、呼吸と心拍を確認し、反応がなければ手袋を着けて胸部圧迫を検討しつつ、直ちに受診する。感電は口内の熱傷のほか、数時間後に肺水腫や不整脈を起こすため、けいれんが収まって元気に見えても当日中の受診が必要である。コードを素手で引き抜く、通電中に抱き上げるのは二重事故の典型。翌日受診は遅い。

課題電気コードがサルの手の届く場所に露出していた。電気を遮断してから救助するという基本手順を知らず、感電後の遅発性の症状についての知識もなかった。

改善案室内運動の範囲ではコードを配管に収めるかコンセントを塞ぎ、電気製品は使わない。ブレーカーの位置を家族で共有し、感電時の手順として電源遮断・呼吸確認・即受診を掲示する。

Q20唾液が目に飛び込んだ怪我

施設で檻の清掃中、興奮したアカゲザルが網越しに職員の顔に向かって威嚇し、唾液や口の中の水分が職員の目に飛び込んだ。職員はゴーグルを着けておらず、目をこすった。皮膚に傷はない。サルは前に口唇の水疱の既往がある。

職員が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 傷がないので感染はしない。目薬をさして作業を続ける
  2. 消毒液で目を洗い、施設の日誌に書いて様子を見る
  3. 目をタオルで拭き、翌日に腫れがあれば眼科に行く
  4. 目を直ちに流水または生理食塩水で15分以上洗い流し、当日中に粘膜曝露として受診する

正解D.目を直ちに流水または生理食塩水で15分以上洗い流し、当日中に粘膜曝露として受診する

解説Bウイルスは目や口の粘膜からも感染し、実際に目への飛沫で発症した死亡例が報告されている。皮膚に傷がなくても粘膜への曝露は重大で、直ちに流水か生理食塩水で15分以上目を洗い、当日中に受診して「マカク類の唾液の粘膜曝露」と伝える。目薬をさして作業を続ける、翌日まで待つのは治療の時機を失う。消毒液で目を洗うのは角膜を傷め、曝露の対応にもならない。目をこすった行為は粘膜への接触を増やすので、以後は触らない。

課題マカク類の檻内外の作業でゴーグルを着けていなかった。粘膜曝露が感染経路になるという知識が欠け、皮膚の傷の有無だけで危険を判断していた。

改善案マカク類の近くで作業する時はゴーグル・マスク・手袋を必ず着用する。洗眼器か生理食塩水を飼育区域に常備し、粘膜曝露も咬傷と同じ手順で受診することを掲示・教育する。

Q21採血後の針刺し事故怪我

施設で獣医師の健診を補助していた職員が、カニクイザルから採血した直後の針で自分の親指を刺した。出血は少量で痛みも軽い。獣医師は次の個体の処置中で、職員は「針はすぐ捨てたから」と黙って手袋を替えようとしている。

職員が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 直ちに傷を絞りながら流水で15分以上洗い、獣医師に申告して当日中に医療機関を受診する
  2. 出血が少ないので手袋を替えて作業を続け、終了後に報告する
  3. 消毒液を塗って絆創膏を貼り、数日発熱がなければ問題なしとする
  4. 針を回収して自分で検査に出し、結果を待ってから受診する

正解A.直ちに傷を絞りながら流水で15分以上洗い、獣医師に申告して当日中に医療機関を受診する

解説サル類の血液が付いた針による刺傷は、Bウイルス、サルレトロウイルスなどの血液媒介感染の曝露である。直ちに流水と石けんで15分以上洗い、獣医師と施設責任者に申告して当日中に受診し、曝露内容と個体の検査歴を伝える。作業を続けて後で報告する、発熱がなければ問題ないとする判断は潜伏期間の長さを無視している。針を自分で検査に出しても人の予防治療の判断にはつながらず、受診が遅れる。曝露は必ず記録し、個体の検査情報を医療機関に提供する。

課題針刺し事故を軽く見て報告をためらう雰囲気があり、曝露時の手順が職員に浸透していなかった。採血補助の際の針の扱いや廃棄容器の配置に改善の余地があった。

改善案処置時は針捨て容器を手元に置き、使用済み針を持ち歩かない。針刺し・咬傷・粘膜曝露はすべて報告義務とし、申告しやすい文化を作る。曝露時の受診先と個体の検査歴を直ちに参照できる記録を整える。

Q22尾の先から血が止まらない怪我

8歳のオマキザル。檻の金網の破れに尾の先を引っかけて裂傷ができ、床に血が点々と落ちている。尾を振るたびに血が飛び、檻内の壁も汚れている。サルは興奮しているが歩行は普通。飼い主はティッシュを持って檻に入ろうとしている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 手袋を着け、サルを狭い区画に移して落ち着かせ、ガーゼで5分以上圧迫し当日中に受診
  2. 檻に入ってティッシュで押さえ、止まるまで尾を握る
  3. 血が飛び散らないよう檻を暗くして、翌朝まで放置する
  4. 尾の根元にゴムをきつく巻いて血を止める

正解A.手袋を着け、サルを狭い区画に移して落ち着かせ、ガーゼで5分以上圧迫し当日中に受診

解説尾の裂傷は小さくても血が止まりにくく、興奮して振ることで出血が続く。まず手袋を着け、スライド扉などで狭い区画に移して動きを制限し、落ち着いたら清潔なガーゼで5分以上圧迫して当日中に受診する。縫合や尾の先端の処置が必要になることが多い。素手で檻に入って尾を握ると咬傷事故を起こし、血液への曝露も生じる。翌朝まで放置すると失血と感染が進む。尾の根元にゴムを巻くと先端が壊死し、尾を失う。

課題金網の破れを放置していたことが直接の原因で、設備点検が不十分だった。興奮した個体を素手で扱おうとする判断や、ゴムで縛る誤った止血の知識があった。

改善案金網や止まり木のささくれ・破れを毎日点検し、見つけたら即修理する。止血用のガーゼと手袋を救急箱に常備し、止血帯やゴムを使わないことを共有する。興奮時は区画を分けてから処置する。

Q23朝、檻の鍵が開いて姿がない事故

個人で飼養する7歳のカニクイザル。朝起きると檻の南京錠が外され、窓が開いて姿がない。近所は住宅地で小学校の通学路が近い。飼い主は餌を持って一人で近所を探し回ろうとしている。前日は鍵をかけた記憶があるが二重施錠はしていなかった。

飼い主が最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 見つかるまで一人で追いかけ、捕まえたら抱いて連れ帰る
  2. SNSで呼びかけ、見つけた人に捕まえてもらう
  3. 自分で戻るのを待ち、檻の扉を開けて餌を置いておく
  4. 警察と自治体に直ちに通報し、近隣に近づかないよう知らせ、捕獲は専門家と連携して餌で檻へ誘導する

正解D.警察と自治体に直ちに通報し、近隣に近づかないよう知らせ、捕獲は専門家と連携して餌で檻へ誘導する

解説特定動物に該当するサルの逸走は、咬傷事故と致死的な感染症の危険を近隣に及ぼすため、直ちに警察と自治体に通報する義務がある。通学路が近いので、近隣に近づかず知らせるよう呼びかけ、捕獲は専門家と連携して餌で輸送用の檻へ誘導する。追いかけると逃走範囲が広がり、素手で捕まえれば飼い主自身が咬まれる。檻を開けて待つだけでは他人への被害を防げない。SNSで一般の人に捕獲を頼むのは咬傷事故を広げる最悪の選択である。

課題鍵開けが得意なサルに対して南京錠一つで、二重施錠と目視確認の習慣がなかった。逸走時の通報先や手順を事前に確認しておらず、一人で捕まえる発想だった。

改善案施錠は二重にして毎晩目視確認し、窓や扉にも施錠する。逸走時は追わず通報という手順と、警察・自治体・専門家の連絡先を掲示する。輸送用の檻と誘導用の餌を常備する。

Q24檻内作業中に背後から飛びつかれた事故

施設で職員が一人で檻内の清掃をしていた。個体を隣の区画に移したつもりだったが、スライド扉の閉め忘れで、10歳のアカゲザルが背後から飛びかかり、肩と首筋を咬まれ引っかかれた。職員は防護具なしで、サルはまだ興奮して近くにいる。

職員が最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. サルを振り払って檻の外に走って逃げ、追い出す
  2. 動きを止めて目をそらし低い姿勢をとり、応援を呼んで餌や水でサルを引き離してから退出し洗浄・受診
  3. 大声で叱って檻を叩き、サルを隅に追いやる
  4. サルをつかんで隣の区画に押し込み、扉を閉める

正解B.動きを止めて目をそらし低い姿勢をとり、応援を呼んで餌や水でサルを引き離してから退出し洗浄・受診

解説興奮したサルに対して走る、振り払う、叫ぶ、叩くなどの動きは攻撃を続けさせる。まず動きを止めて目をそらし、低い姿勢で威嚇しないことで攻撃を収め、応援を呼んで別の人が餌や水の噴射で注意をそらして引き離す。退出後は直ちに傷を15分以上洗浄し、当日中に受診してマカク類の咬傷と伝える。素手でサルをつかんで押し込むのは最も深い咬傷を招く。檻内に一人で入り、扉の閉め忘れを確認しなかった点が事故の根本である。

課題檻内作業を一人で行い、スライド扉の閉鎖を目視確認する手順がなかった。防護具なしでの作業が常態化し、飛びつかれた際の対応も訓練されていなかった。

改善案檻内作業は必ず二人以上で、個体の移動とスライド扉の施錠を声出しで相互確認する。防護具の着用を義務化し、攻撃を受けたときの行動(止まる・目をそらす・応援を呼ぶ)を訓練で身につける。

Q25二重扉の前室で鉢合わせ事故

施設の飼育舎には二重扉の前室がある。新人職員が内側の扉を開けたまま外側の扉を開け、運動場から出てきた5歳のカニクイザルが前室に入り込んだ。職員とサルが狭い前室で向かい合い、サルは歯をむいて目を見開いている。

職員が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 外に出ようとサルの横を走り抜けて外側の扉を閉める
  2. サルと目を合わせてにらみ返し、動かないよう威嚇する
  3. 目をそらしてゆっくり後ろに下がり、内側の扉を閉めてサルの退路を確保し応援を呼ぶ
  4. サルを手で押し戻して運動場に入れ、内側の扉を閉める

正解C.目をそらしてゆっくり後ろに下がり、内側の扉を閉めてサルの退路を確保し応援を呼ぶ

解説歯をむき目を見開くのはマカク類の明確な威嚇で、無視したり目を合わせ続けたりすると攻撃に移る。職員は目をそらし、急な動きをせずゆっくり後退して距離をとり、可能なら自分の背後の扉から退出するか、サルが運動場へ戻れる退路を確保して応援を呼ぶ。走り抜けると追われて咬まれ、にらみ返すのは最大の挑発になる。素手で押し戻すのは咬傷とBウイルス曝露の危険が極めて高い。前室は一方の扉を閉めてから他方を開けるのが鉄則で、この手順違反が事故の原因である。

課題二重扉の運用ルールが新人に徹底されておらず、片方を閉めてから開けるという基本が守られていなかった。威嚇行動の意味と対処を知らず、狭い空間での対峙の危険を理解していなかった。

改善案前室の扉に「片方を閉めてから開ける」と表示し、新人は先輩と同行して手順を習得する。威嚇サインと対処法(目をそらす・ゆっくり下がる)を研修に組み込み、前室に応援呼び出しのブザーを設置する。

Q26運動場のプールで沈んでいた事故

夏の施設。運動場に設置した深さ60cmの水浴び用プールで、2歳のカニクイザルが水面に浮かんで動かないのを職員が発見した。引き上げると口から水が出て、ぐったりして呼吸をしていないように見える。他の個体は騒いで周囲に集まっている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 体を逆さにして振り、水を全部出してから様子を見る
  2. 口に直接息を吹き込む人工呼吸を始める
  3. 毛布で包んで温め、自然に呼吸が戻るのを待つ
  4. 手袋を着けて他の個体から離し、頭を低くして水を出し、呼吸がなければ胸部圧迫をしながら獣医師に連絡し急送

正解D.手袋を着けて他の個体から離し、頭を低くして水を出し、呼吸がなければ胸部圧迫をしながら獣医師に連絡し急送

解説溺水で呼吸がない場合は一刻を争う。まず他の個体から離れた安全な場所に移し、手袋とゴーグルを着けて頭を体より低くし、口の水を軽く出してから呼吸の有無を確認する。呼吸がなければ横に寝かせ、胸の最も高い所を片手で1分100〜120回圧迫し、獣医師に連絡しながら急送する。サル類への口対口の人工呼吸はBウイルスなどの感染の危険があり行わず、アンビューバッグがあれば使う。逆さに振るのは脊椎損傷や嘔吐による誤嚥を招く。保温だけで待つのは心停止を放置することになる。

課題幼い個体がいる運動場に深いプールを置き、常時監視や浅い設計の配慮がなかった。溺水時の手順と口対口の人工呼吸を避ける理由を職員が知らず、アンビューバッグも準備していなかった。

改善案水浴び場は幼い個体でも立てる深さにし、傾斜や足場をつけて登れる構造にする。アンビューバッグ・手袋・ゴーグルを救急箱に常備し、心肺蘇生の手順を獣医師の指導で年1回訓練する。

Q27ロープが首に巻きついた事故

檻内に遊具として吊るした太いロープが、遊んでいた4歳のオマキザルの首に巻きつき、宙づりになってもがいている。足は床に届かず、声が出ていない。顔色は赤黒く変わり始めている。飼い主は一人で、ハサミは手の届く場所にある。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 体を持ち上げて首の荷重を抜きながらロープを切り、降ろしたら呼吸を確認して直ちに受診
  2. ロープを強く引っ張って首から外そうとする
  3. 動画を撮って獣医師に送り、指示を待つ
  4. サルが自分でほどくのを待ち、暴れが収まってから近づく

正解A.体を持ち上げて首の荷重を抜きながらロープを切り、降ろしたら呼吸を確認して直ちに受診

解説首が絞まっている状態は数分で窒息死するため、ためらわず救助する。片手で体を持ち上げて首にかかる荷重を抜き、ロープを切って降ろす。意識が落ちていても回復時に咬む危険があるため、できれば手袋を着け、降ろしたらすぐ呼吸と心拍を確認し、呼吸が戻っても喉の腫れや脳への影響が後から出るので直ちに受診する。ロープを引っ張ると絞扼が強まる。動画を撮る、自然にほどけるのを待つのは窒息を見過ごす。宙づりのまま時間が過ぎることが最も危険である。

課題輪になるロープや絡まりやすい長さの遊具を点検なしに吊るしていた。首が絡む事故の可能性を想定せず、刃物や手袋の置き場所も決まっていなかった。

改善案ロープ類は輪にならないよう両端を固定し、長さと摩耗を毎日点検する。檻のそばに刃物と手袋を常備し、絡まり事故は荷重を抜いて切るという手順を家族や職員で共有する。

Q28見学の子どもが檻に手を入れた事故

施設の見学会で、保護者の目を離れた小学生が立入禁止の柵を越え、カニクイザルの檻の網に手を入れて指を咬まれた。子どもは泣いて出血し、保護者は水筒の水をかけて絆創膏を貼ろうとしている。職員は何と言うべきか迷っている。

職員が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 子どもの傷なので保護者に任せ、施設の責任ではないと説明する
  2. 絆創膏を貼ってもらい、腫れたら病院に行くよう伝えて見学を続ける
  3. 直ちに流し台で石けんと流水で15分以上洗い、マカク類の咬傷として当日中に医療機関を受診するよう伝え、個体情報を提供する
  4. 咬んだサルを隔離して獣医師に診せることを優先し、子どもには消毒液を渡す

正解C.直ちに流し台で石けんと流水で15分以上洗い、マカク類の咬傷として当日中に医療機関を受診するよう伝え、個体情報を提供する

解説マカク類の咬傷は、誰が咬まれたかにかかわらずBウイルス曝露として扱う。職員は直ちに流し台に案内し、石けんと流水で15分以上洗浄したうえで、当日中に医療機関を受診して「マカク類による咬傷」と伝えるよう明確に説明し、個体の検査歴などの情報を提供する。保護者任せや絆創膏だけでは治療の時機を失い、施設の説明責任も果たせない。サルの隔離は後でよく、子どもへの対応が先である。見学中の人も曝露時には同じ手順で対応することを施設が責任を持って伝える。

課題見学者が檻に近づける距離に柵があり、子どもの監視体制と立入禁止の表示が不十分だった。来訪者が咬まれた場合の説明内容と受診先を施設が準備していなかった。

改善案見学ラインは網に手が届かない距離にし、二重柵や透明板で物理的に遮る。来訪者向けの注意表示と、咬傷時に渡す受診案内の文書を用意し、職員が落ち着いて説明できるよう訓練する。

Q29輸送中にケージの扉が外れた事故

健診のため車でアカゲザルを運ぶ途中、荷台で輸送ケージの扉の留め具が緩み、停車時に扉が半分開いているのに気づいた。サルはまだ中にいるが、車内に出ようと扉を押している。運転は飼育員一人で、動物病院まであと20分。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. そのまま運転を続け、病院に着いてから扉を直す
  2. 車のドアと窓を全て閉めたまま、厚手の毛布をケージにかけて暗くし、扉を外から針金やベルトで固定してから病院に連絡
  3. 車の窓を開けて換気しながら、手で扉を押さえて運転する
  4. サルを一度車内に出して落ち着かせ、ケージを修理してから入れ直す

正解B.車のドアと窓を全て閉めたまま、厚手の毛布をケージにかけて暗くし、扉を外から針金やベルトで固定してから病院に連絡

解説輸送中の脱走は車内での咬傷事故と、外に出れば一般人への危害につながる。まず車のドアと窓を閉めて外への逃走を防ぎ、毛布でケージを覆って暗くし興奮を抑えてから、手を近づけない方法で扉を外側からベルトや針金で固定する。固定できなければ病院に連絡し応援を求める。運転を続けると走行中に飛び出して重大事故になる。窓を開けるのは逃走路を作る。手で扉を押さえながらの運転は咬傷と交通事故の二重の危険。車内に出すのは最も危険で、捕まえ直せない。

課題輸送ケージの留め具の点検を出発前に行わず、予備の固定用ベルトも積んでいなかった。サル類の輸送を一人で行い、二人以上という原則が守られていなかった。

改善案輸送前にケージの扉・留め具・施錠を二人で確認し、固定用ベルト・毛布・手袋を車に常備する。輸送は二人以上で、ケージは車内で動かないよう固定し、途中で異常があれば停車して安全に対処する。

Q30網の隙間に頭が抜けなくなった事故

施設で改修したばかりの檻。網目が以前より大きく、1歳のカニクイザルが隣の区画をのぞこうと頭を入れて抜けなくなった。首が圧迫され、暴れるほど食い込み、泣き声が弱くなっている。隣の区画には成獣が近づいてきている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 頭を引っ張って無理に抜く
  2. 餌で気をそらし、自分で抜けるのを待つ
  3. 首に油を塗って滑らせ、抜けなければ翌日に業者を呼ぶ
  4. 隣の成獣をスライド扉で離し、手袋を着けて体を支えながら網をニッパーで切って外し、呼吸を確認して当日受診

正解D.隣の成獣をスライド扉で離し、手袋を着けて体を支えながら網をニッパーで切って外し、呼吸を確認して当日受診

解説頭が網に挟まり首が圧迫されて声が弱くなるのは窒息の前段階で、隣の成獣に咬まれる危険も迫っている。まず成獣をスライド扉で離し、手袋を着け体を支えて首の荷重を抜きながら、ニッパーや金切りばさみで網を切って外す。外した後は呼吸と首の腫れを確認し、当日中に受診する。頭を引っ張ると首や耳を傷つけ、さらに食い込む。待つ、油で滑らせるは窒息と咬傷のリスクを放置する。翌日まで業者を待つのは論外である。網目のサイズが幼獣に合っていない設備不良が根本原因。

課題改修時に幼獣の頭が入る網目の大きさを検討しておらず、設置後の安全確認もなかった。網を切る工具や手袋が檻のそばになく、隣の区画との接触リスクも想定されていなかった。

改善案網目は最小の個体の頭も指も入らないサイズにし、改修後は必ず試験的に観察する。ニッパー・金切りばさみ・手袋を飼育舎に常備し、挟まり事故は首の荷重を抜いて網を切るという手順を共有する。

Q31分解した玩具のネジがない中毒・誤飲

9歳のカニクイザルに与えていたプラスチック製の採食玩具が檻内で分解され、ネジ2本とバネが見当たらない。サルは今のところ元気に食べているが、飼育員は床をくまなく探しても見つけられなかった。夕方の給餌まであと数時間ある。

取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 誤飲の可能性として獣医師に連絡し、当日中にレントゲンで確認し、嘔吐・食欲不振・排便の有無を記録する
  2. 元気なので数日便を観察し、ネジが出てこなければ受診する
  3. 吐かせるために塩水を飲ませ、出てきたら安心する
  4. 繊維の多い野菜をたくさん与えて、便と一緒に出るのを待つ

正解A.誤飲の可能性として獣医師に連絡し、当日中にレントゲンで確認し、嘔吐・食欲不振・排便の有無を記録する

解説金属のネジやバネは消化管を傷つけ穿孔や閉塞を起こす危険があり、元気に見える間に位置を確認するのが最善である。獣医師に連絡し、当日中にレントゲンで体内にあるか、どこにあるかを確認する。以後は嘔吐、食欲、排便の有無を記録し、変化があれば即受診する。数日便を観察する間に穿孔が起これば手遅れになる。塩水で吐かせるのは中毒や誤嚥を起こし、尖った異物が食道を傷つける。野菜で押し出す方法は尖った金属には通用しない。

課題器用なサルがネジ止めの玩具を分解することを想定せず、誤飲できる部品を含む玩具を与えていた。部品の紛失を確認する点検の習慣はあったが、受診の判断基準がなかった。

改善案玩具は分解できない一体成型で、部品が誤飲できない大きさのものに限る。設置前に部品数を記録し、毎日の回収時に数を確認する。部品が消えたら当日中に画像検査と決めておく。

Q32来客が与えたチョコレート中毒・誤飲

個人宅で飼う5歳のオマキザル。来客が可愛さのあまり板チョコを半分ほど与えたことが、帰った後に分かった。1時間後、サルは落ち着きなく動き回り、心臓がドキドキしているように見え、水を多く飲んでいる。嘔吐はまだない。

飼い主が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 牛乳を飲ませて中和し、落ち着くまで待つ
  2. 指をのどに入れて吐かせる
  3. チョコの種類と量、食べた時刻を控えて直ちに受診し、症状の経過を伝える
  4. 興奮は一時的なので暗くして寝かせ、翌朝に受診する

正解C.チョコの種類と量、食べた時刻を控えて直ちに受診し、症状の経過を伝える

解説チョコレートのテオブロミンは体の小さなサル類にとって中毒量になりやすく、興奮、頻脈、多飲、嘔吐、けいれんへ進むことがある。症状が出始めている時点で、チョコの種類、量、食べた時刻を記録して直ちに受診し、獣医師の判断で催吐や点滴などの処置を受ける。牛乳は中和にならず脂肪で吸収が変わるだけで、嘔吐も誘発しうる。指を口に入れるのは咬傷とBウイルス曝露の危険があり絶対に行わない。翌朝まで待つと不整脈やけいれんが夜間に起こり、治療が間に合わない。

課題来客がサルに食べ物を与えないというルールが徹底されておらず、人の食べ物が手の届く場所にあった。中毒の症状が出てから受診までの判断基準が家族で共有されていなかった。

改善案来客には給餌禁止を事前に伝え、人の食べ物は檻のある部屋に持ち込まない。与えてはいけない食品一覧を掲示し、誤食したら量と時刻を控えて即受診という手順を決めておく。

Q33消毒液をなめて口から泡中毒・誤飲

施設の清掃中、職員が檻の外に置いた消毒液の容器を、網越しに手を伸ばした7歳のカニクイザルが倒し、こぼれた液をなめた。数分後、口から泡を出してよだれを垂らし、口の中を気にしている。容器のラベルには塩素系と書かれている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 口の中を水で洗うためホースで顔に水を当てる
  2. 吐かせず、容器のラベルを持って直ちに獣医師に連絡し受診、口の周りはぬれたタオルで拭く
  3. 大量の水や牛乳を飲ませて薄め、吐かせる
  4. 泡が収まるまで待ち、食欲があれば問題なしとする

正解B.吐かせず、容器のラベルを持って直ちに獣医師に連絡し受診、口の周りはぬれたタオルで拭く

解説塩素系などの腐食性の薬剤は、吐かせると食道を再び通過して損傷を広げるため催吐は禁忌である。容器のラベルで成分を確認し、直ちに獣医師に連絡して受診する。口の周りの付着は、ぬれたタオルで拭き取る程度にとどめ、ホースで顔に水を当てると誤嚥や刺激で状態が悪化し、興奮して咬傷事故にもつながる。大量の水や牛乳を無理に飲ませるのは嘔吐を誘発する。泡が収まっても食道や胃の損傷は後から進み、食欲の有無では判断できない。

課題消毒液を網越しに手が届く場所に置いて作業しており、サルの手の長さと好奇心を過小評価していた。腐食性物質では吐かせないという基本を職員が知らなかった。

改善案薬剤類は檻から手の届かない位置の蓋つき容器に置き、作業時も網から1m以上離す。使用薬剤の成分表と中毒時の連絡先を飼育舎に掲示し、腐食性物質は催吐禁忌であることを教育する。

Q34リモコンの電池を飲み込んだ中毒・誤飲

個人宅で室内に出していた6歳のカニクイザルが、テレビのリモコンを分解し、ボタン電池を口に入れて飲み込んだのを飼い主が目撃した。サルは平然としており、吐く様子もない。飼い主はまず様子を見ようかと考えている。夜9時、かかりつけは閉まっている。

飼い主が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 電池は便と一緒に出るので翌朝まで様子を見る
  2. 指で口の中をかき出す
  3. 油を飲ませて滑りを良くし、便を観察する
  4. ボタン電池は数時間で食道や胃を損傷するため、夜間救急に連絡し直ちに受診する

正解D.ボタン電池は数時間で食道や胃を損傷するため、夜間救急に連絡し直ちに受診する

解説ボタン電池は消化管内で放電し、数時間で食道や胃の壁を化学的に損傷して穿孔を起こす。目撃した時点で緊急であり、平然としていても夜間救急に連絡して直ちに受診し、画像検査と内視鏡による摘出を受ける。翌朝まで待つのは最も危険な判断である。指で口をかき出すのは咬傷とBウイルス曝露のリスクが極めて高い。油は電池の損傷を止めず、吐かせる行為も食道の損傷を広げる恐れがある。夜間に受診できる救急病院を事前に把握しておくことが重要である。

課題電池入りの電子機器を手の届く場所に置いたまま室内運動をさせていた。ボタン電池の危険性を知らず、夜間の受診先も把握していなかった。

改善案室内運動の部屋から電子機器・電池・小物を撤去し、分解されない前提で環境を整える。夜間救急の連絡先と受入可否を事前に確認し、誤飲は様子見をしないと家族で決めておく。

Q35倉庫の殺鼠剤がかじられていた中毒・誤飲

施設の運動場に隣接する倉庫の扉が開いており、置いてあった殺鼠剤の袋がかじられて中身が減っていた。10歳のアカゲザルが倉庫から出てくるのを職員が見た。サルは元気で症状はないが、袋には抗凝固剤系と書かれている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 製品名と成分を控え、無症状でも直ちに獣医師に連絡して受診し、摂取の可能性を伝える
  2. 症状が出ていないので、出血などが見られたら受診する
  3. 吐かせるために塩を口に入れ、水を大量に飲ませる
  4. ビタミンKのサプリを自己判断で与えて様子を見る

正解A.製品名と成分を控え、無症状でも直ちに獣医師に連絡して受診し、摂取の可能性を伝える

解説抗凝固剤系の殺鼠剤は摂取後すぐには症状が出ず、数日後に内出血や血便、呼吸困難として現れる。無症状のうちに製品名と成分を控えて受診し、血液検査と獣医師の判断による解毒剤の投与を受けるのが最善である。症状が出てからでは出血が止まらず命にかかわる。塩を使った催吐は塩中毒を起こし、興奮した個体への保定は咬傷の危険もある。ビタミンKは治療に使われるが、用量と期間は獣医師が決めるもので、自己判断のサプリでは不十分で危険である。

課題殺鼠剤をサルが入れる倉庫に置き、扉の施錠が徹底されていなかった。遅発性の中毒という知識が不足し、無症状なら安全という誤った判断をしかけた。

改善案薬剤・殺鼠剤は施錠した専用の保管庫に移し、運動場に隣接する扉は常時施錠する。使用薬剤の一覧と成分を獣医師と共有し、摂取の可能性があれば無症状でも受診という基準を決める。

Q36猛暑日の運動場で口を開けて呼吸環境・災害

8月の午後2時、気温35℃。屋外運動場で日陰が少なく、13歳のカニクイザルが口を開けて速い呼吸をし、動かずにぐったりしている。よだれが多く、ふらついて止まり木から降りられない。ミストや扇風機は設置していない。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 冷たい水を一気に飲ませて体を冷やす
  2. 氷水に体を浸けて急速に冷やす
  3. 日陰の涼しい室内に移し、ぬらしたタオルと送風で体を冷やしながら獣医師に連絡し今すぐ受診
  4. 日陰に移して自然に回復するのを待つ

正解C.日陰の涼しい室内に移し、ぬらしたタオルと送風で体を冷やしながら獣医師に連絡し今すぐ受診

解説口を開けた速い呼吸、よだれ、ふらつきは熱中症の重症サインで、脳や腎臓に障害が及ぶ前に体温を下げる必要がある。涼しい室内に移し、首や脇、股をぬらしたタオルで冷やしながら扇風機で送風し、獣医師に連絡して直ちに受診する。氷水に浸けると血管が収縮して熱が逃げにくくなり、ショックを起こす。意識が落ちている個体に水を一気に飲ませると誤嚥する。日陰で待つだけでは体温が下がらず、多臓器不全に進む。32℃以上は冷却が必要な温度である。

課題屋外運動場に十分な日陰や冷却設備がなく、猛暑日の時間帯に運動場へ出していた。熱中症の初期サインと対処法を知らず、急速冷却の危険についても理解がなかった。

改善案運動場に日陰・ミスト・送風を整え、気温30℃を超える日中は室内に戻す。凍らせた果実入りの氷やぬれタオルを用意し、熱中症のサインが出たら冷却しながら即受診という手順を掲示する。

Q37大雪の夜に停電した環境・災害

1月の深夜、大雪で施設が停電し、飼育舎のヒーターが止まった。室温は10℃を切り、朝まで復旧の見込みがない。4頭のカニクイザルは寝台で身を寄せ合っているが、高齢の1頭が震えている。職員は一人で当直しており、カセットコンロと毛布がある。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. カセットコンロを檻のそばで燃やして暖める
  2. 寝台に毛布を追加して寝台を囲い、湯たんぽをタオルで包んで置き、高齢個体の震えと反応を1時間ごとに確認する
  3. 4頭を一つのキャリーに入れて車の暖房で温める
  4. 朝まで何もせず、復旧を待つ

正解B.寝台に毛布を追加して寝台を囲い、湯たんぽをタオルで包んで置き、高齢個体の震えと反応を1時間ごとに確認する

解説10℃以下はサル類に保温が必要な温度で、特に高齢個体は低体温になりやすい。寝台を毛布で囲って熱を逃がさず、カセットコンロで沸かした湯で湯たんぽを作りタオルで包んで置き、群れが寄り添えるようにする。高齢個体の震えや反応の低下を1時間ごとに確認し、ぐったりしてきたら獣医師に連絡する。コンロを檻のそばで燃やすのは一酸化炭素中毒と火災の危険があり、器用な手で倒される。4頭を一つのキャリーに入れると闘争と咬傷が起こり、車内の管理も難しい。何もしないのは高齢個体を危険にさらす。

課題停電時の保温手段が整理されておらず、非常用電源や湯たんぽの備えがなかった。高齢個体の寒冷への弱さを考慮した当直時の手順も決まっていなかった。

改善案非常用電源か発電機、湯たんぽ、毛布、使い捨てカイロを冬季の備蓄品として用意する。停電時の保温手順と獣医師の連絡先を当直者に周知し、高齢個体の観察間隔を決める。

Q38地震で檻の壁がゆがんだ環境・災害

震度6弱の地震。施設の飼育舎の壁が一部ひび割れ、鉄製の檻の枠がゆがんで扉に隙間ができている。中の3頭のカニクイザルは興奮して叫び、1頭は枠の隙間を押している。余震が続き、職員は3人いるが輸送ケージは倉庫にある。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 扉の隙間から1頭ずつ手で捕まえてキャリーに入れる
  2. 余震が収まるまで職員は避難し、サルは檻に残しておく
  3. 興奮を鎮めるため檻を開けて運動場に出す
  4. 隙間を板やベルトで外側から塞ぎ、毛布で覆って暗くし、輸送ケージを運んで餌で誘導して移す

正解D.隙間を板やベルトで外側から塞ぎ、毛布で覆って暗くし、輸送ケージを運んで餌で誘導して移す

解説ゆがんだ檻から逸走すれば被災地で咬傷事故や感染症の二次災害を起こすため、まず隙間を外側から板やベルトで塞いで逸走を止め、毛布で覆って暗くし興奮を抑える。その後、輸送ケージを運び、餌で誘導して安全に移す。手で捕まえるのは興奮した個体への最大の危険行為で、複数の職員が咬まれることになる。職員だけ避難して隙間を放置すれば逸走の可能性が高い。運動場に出すのは運動場の損傷も不明なまま逸走路を増やす。余震の中では短時間で逸走防止を優先する。

課題地震で檻がゆがむ可能性を想定した補強や、輸送ケージの近接配置がなかった。災害時の逸走防止手順と役割分担が職員間で決まっておらず、現場で判断を迫られた。

改善案檻の固定と補強を点検し、輸送ケージ・ベルト・板・毛布を飼育舎内に配置する。災害時は逸走防止、暗所化、誘導の順と職員の役割を決めて訓練し、自治体への連絡先も掲示する。

Q39台風で避難指示が出た環境・災害

大型台風の接近で、個人宅のある地域に避難指示が出た。飼い主は8歳のカニクイザルを輸送ケージに入れて避難所に連れていこうと考えている。避難所は一般の人が集まる体育館で、サルの受け入れ可否は不明。家は川の近くで浸水の恐れがある。

飼い主が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 事前に自治体や受入れ先の施設に連絡し、サルを受け入れられる場所か、自宅2階などの安全な場所に輸送ケージごと移して餌と水を確保する
  2. 避難所に黙って連れていき、ケージに布をかけて隠す
  3. サルを家の檻に残し、餌を多めに置いて自分だけ避難する
  4. ケージを車に積んで車中泊し、窓を開けて換気する

正解A.事前に自治体や受入れ先の施設に連絡し、サルを受け入れられる場所か、自宅2階などの安全な場所に輸送ケージごと移して餌と水を確保する

解説特定動物を含むサル類は一般の避難所では受け入れられず、咬傷や感染症の危険から隠して持ち込むことは許されない。事前に自治体の担当課や受入れを相談した施設・動物園に連絡して預け先を確保するか、浸水を避けられる自宅2階などに輸送ケージごと移し、数日分の餌と水、保温具を用意して安全を確保する。檻に残して避難すると浸水で溺死し、逸走も起こる。車中泊で窓を開けると脱走路になり、炎天下や寒冷での車内環境も危険である。

課題災害時の避難先や預け先を事前に自治体と相談しておらず、特定動物が避難所に持ち込めないことを理解していなかった。浸水リスクのある家での保管場所も検討していなかった。

改善案自治体・施設と災害時の預け先を事前に取り決め、輸送ケージ・餌・水・保温具の備蓄を用意する。浸水や停電を想定した自宅内の安全な設置場所を決め、避難計画を家族で共有する。

Q40凍った給水器と動かない個体環境・災害

2月の朝、施設の屋外飼育舎で給水ボトルが凍っていた。前日の夕方から水が出ていなかったらしい。16歳のアカゲザルが寝台で丸まり、呼びかけても反応が鈍く、体が冷たく動きが遅い。他の若い個体は普通に動いている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. お湯を飲ませて体の中から温める
  2. 暖かい室内に移し、毛布と包んだ湯たんぽでゆっくり温め、ぬるま湯を飲めるなら与えて当日中に受診
  3. ドライヤーの温風を直接当てて急速に温める
  4. 日が出れば温まるので、給水ボトルだけ交換して様子を見る

正解B.暖かい室内に移し、毛布と包んだ湯たんぽでゆっくり温め、ぬるま湯を飲めるなら与えて当日中に受診

解説反応が鈍く体が冷たいのは低体温と脱水の兆候で、高齢個体は特に危険である。暖かい室内に移し、毛布と布で包んだ湯たんぽでゆっくり温め、飲めるようならぬるま湯を少量ずつ与えて当日中に受診する。急激な加温はショックや熱傷を起こすため、ドライヤーの直接の温風は避ける。反応が鈍い個体に熱い湯を飲ませると誤嚥と口内熱傷を起こす。日が出るのを待つのは低体温を放置することになり、脱水も進む。給水器の凍結を毎朝確認する習慣が欠けていた。

課題冬季の給水ボトル凍結を毎朝確認する手順がなく、前日夕方から水が切れていたことに気づけなかった。高齢個体の寒さへの弱さを考慮した寝台の防風や保温が不十分だった。

改善案冬は給水器を保温カバーで覆い、朝夕に凍結を確認して予備の水を置く。高齢個体の寝台は防風と毛布で保温し、室温10℃以下ではヒーターを稼働させる。低体温はゆっくり温めて受診という手順を共有する。

Q41清掃担当者が下痢になった感染症・衛生

施設で先週、カニクイザル1頭が赤痢と診断され治療中。清掃担当の職員が3日前から下痢と腹痛を訴え、血便も出たという。職員は「サルとは関係ない」と言って市販薬を飲んで出勤し、今日も手袋なしで複数の檻の清掃を続けている。

施設として取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 職員の体調は個人の問題なので、本人の判断に任せる
  2. 市販薬で治るまで様子を見て、治らなければ病院に行くよう勧める
  3. 職員を清掃業務から外し、サル類の赤痢との関連を伝えて直ちに医療機関を受診させ、他の職員の手洗いと防護具を再徹底する
  4. 職員を他の個体の給餌担当に変え、清掃だけ別の人に任せる

正解C.職員を清掃業務から外し、サル類の赤痢との関連を伝えて直ちに医療機関を受診させ、他の職員の手洗いと防護具を再徹底する

解説細菌性赤痢はサルから人に感染し、血便を伴う下痢を起こす。治療中の個体がいる施設で職員に血便が出た場合、関連を疑って直ちに医療機関を受診させ、サル類の赤痢との接触を医師に伝える必要がある。職員が下痢のまま清掃を続けると、他の個体や職員への感染を広げ、本人も重症化する。個人の判断に任せる、市販薬で様子を見る対応は公衆衛生上の問題になる。給餌担当に変えても感染源との接触は続く。あわせて手袋・マスク・手洗い、飼育区域での飲食禁止を再徹底する。

課題サルの赤痢の診断後、職員の健康観察と防護具の徹底が行われていなかった。人獣共通感染症への理解が職員に浸透しておらず、体調不良を申告しても業務を外す仕組みがなかった。

改善案感染症の個体が出たら、関わる職員の健康チェックを毎日行い、下痢や発熱があれば業務を外して受診させる。手洗い設備と防護具を清掃区域に置き、飼育区域での飲食禁止を掲示する。

Q42引き取ったサルをすぐ群れに入れたい感染症・衛生

飼育放棄されたカニクイザル1頭を施設が引き取ることになった。検査歴は不明。担当者は「一頭だと寂しいだろう」と、到着したその日に既存の群れ4頭の檻に入れようとしている。検疫用の区画は少し離れた場所にあるが、しばらく使っていない。

施設として取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 到着当日に群れに入れ、相性が悪ければ分ける
  2. 群れの隣の区画に入れ、網越しに慣らしながら数日後に合流させる
  3. 外見が健康なら群れに入れ、様子がおかしければ検査する
  4. 検疫区画で一定期間隔離し、ツベルクリン検査・便検査・Bウイルスなどの検査を終えてから段階的に合流させる

正解D.検疫区画で一定期間隔離し、ツベルクリン検査・便検査・Bウイルスなどの検査を終えてから段階的に合流させる

解説検査歴不明の個体は結核、赤痢、Bウイルス、寄生虫などを群れに持ち込む危険がある。既存の群れから離れた検疫区画で一定期間隔離し、ツベルクリン検査、便検査、ウイルス検査を獣医師のもとで終えてから、網越しの慣らしを経て段階的に合流させる。当日合流や隣の区画での接触は、飛沫や便を介した感染を防げず、群れ全体を失うことにつながる。外見が健康でも結核やBウイルスは無症状で持続する。検疫中は専用の器具と防護具を使い、世話の順番は既存の群れを先にする。

課題検疫の重要性より情緒的な判断が優先され、検疫区画が使われない状態だった。検査歴不明の個体を導入する手順が施設で明文化されていなかった。

改善案新規導入の手順書を作り、検疫期間と必要な検査項目を獣医師と決める。検疫区画を常に使える状態に保ち、専用の器具と防護具、世話の順番を定める。合流は網越しの観察を経て段階的に行う。

Q43口唇ヘルペスのある職員の給餌感染症・衛生

施設の職員が唇に口唇ヘルペスの水疱ができたまま、オマキザルとマーモセットの給餌当番に入ろうとしている。本人は「サルから人にうつるのは聞いたが、人からサルは問題ないだろう」と考え、マスクを持っていない。オマキザルは職員の手から直接おやつを受け取る習慣がある。

施設として取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 水疱が治るまで中南米のサルへの接触業務から外し、治るまで他の担当者が給餌する
  2. マスクをすれば問題ないので、マスクを渡して給餌を続けさせる
  3. 手袋をして手渡しを避ければよいとして給餌させる
  4. 人のヘルペスはサルに影響しないので通常どおり業務させる

正解A.水疱が治るまで中南米のサルへの接触業務から外し、治るまで他の担当者が給餌する

解説人の単純ヘルペスウイルスは、オマキザルやマーモセットなど中南米のサル類に感染すると致死的な脳炎を起こす。水疱のある時期はウイルスの排出が多く、手から直接おやつを渡す習慣があればなおさら危険で、マスクや手袋だけでは唾液や手指を介した感染を完全には防げない。水疱が治るまで中南米のサルへの接触業務から完全に外し、他の担当者が給餌するのが正しい。サルから人への感染だけでなく、人からサルへの感染でも命にかかわることを職員全員が理解する必要がある。

課題人からサルへの感染リスクが職員に理解されておらず、口唇ヘルペスのある人の業務制限がルールになっていなかった。手渡しでおやつを与える習慣も感染の経路を作っていた。

改善案口唇ヘルペス・風邪・下痢など症状のある人の業務制限を明文化し、入室前の健康チェックで確認する。おやつは手渡しせず器や給餌口で与え、マスクと手洗いを常時徹底する。

Q44飼育舎で弁当を食べる習慣感染症・衛生

施設の飼育舎では、職員が檻のそばの机で昼食をとる習慣がある。机にはサルの便が飛んだ跡があり、手袋を外して素手で弁当を食べる人もいる。最近、職員の一人が軽い下痢を繰り返しているが原因は不明。施設長は改善を求められている。

施設として取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 机をアルコールで拭いてから食べるようにする
  2. 飼育区域での飲食を禁止し、区域外に手洗いと休憩場所を設け、防護具を脱いで手洗い後に食事をとる手順にする
  3. 弁当を密閉容器に入れ、素早く食べるようにする
  4. 下痢の職員だけ別室で食べるようにする

正解B.飼育区域での飲食を禁止し、区域外に手洗いと休憩場所を設け、防護具を脱いで手洗い後に食事をとる手順にする

解説サル類の便や唾液には赤痢菌、サルモネラ、寄生虫などが含まれ、飼育区域で飲食すると手指や飛沫を介して経口感染する。机を拭いても空気中の飛沫や手指の汚染は防げず、密閉容器や短時間でも同じである。飼育区域での飲食を禁止し、区域外に手洗い設備と休憩室を設け、防護具を脱いで石けんで手を洗ってから食事をとる手順を定める。下痢の職員を別室にするだけでは感染経路を断てず、原因を調べるために受診も勧める。

課題飼育区域での飲食が習慣化し、人獣共通感染症の経口感染のリスクが軽視されていた。手洗いや休憩の場所が区域内にしかなく、環境面で衛生的な行動を取りにくかった。

改善案飼育区域と休憩区域を明確に分け、出入口に手洗いと防護具の着脱場所を設ける。飲食禁止を掲示し、職員の下痢や発熱は申告と受診を義務づける。年1回の衛生研修を実施する。

Q45朝、寝台で倒れて反応がない救命救急

朝の見回りで、18歳のカニクイザルが寝台から落ちて床に横たわり、呼びかけても反応がない。体はまだ温かいが、胸の動きがはっきりしない。同居の2頭が近づいて体に触れている。職員は一人で、手袋とゴーグルは前室にある。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 素手で駆け寄り、抱き上げて呼吸を確認する
  2. 死亡と判断して獣医師に連絡し、遺体を回収する
  3. 同居個体をスライド扉で分け、防護具を着けて胸の動きと心拍を確認し、なければ胸部圧迫を始めて獣医師に連絡
  4. 檻の外から10分観察し、動かなければ受診する

正解C.同居個体をスライド扉で分け、防護具を着けて胸の動きと心拍を確認し、なければ胸部圧迫を始めて獣医師に連絡

解説意識がなくても体が温かければ蘇生の可能性がある。まず同居個体をスライド扉で分けて安全を確保し、手袋とゴーグルを着けてから胸の動きで呼吸、胸に手を当てて心拍を確認する。呼吸も心拍もなければ横に寝かせ、胸の最も高い所を片手で1分100〜120回圧迫し、獣医師に連絡しながら続ける。意識のない個体が蘇生中に目覚めて咬むことがあるため防護具は必須で、素手で抱き上げるのは危険。死亡と即断する、10分観察するのは蘇生の機会を失う。

課題防護具を前室に置いたまま見回りをし、緊急時に即座に使える状態ではなかった。意識のない個体の確認手順と、同居個体を分けてから処置するという基本が習慣化されていなかった。

改善案見回り時は防護具を携帯し、檻ごとに分離用のスライド扉を使える状態に保つ。呼吸・心拍の確認と胸部圧迫の手順を獣医師の指導で年1回訓練し、緊急連絡先を飼育舎に掲示する。

Q46呼吸が止まり口対口を迷う救命救急

施設で健診中、麻酔下の7歳のアカゲザルの呼吸が止まり、獣医師が気道確保をしている。補助の職員は人の救命講習で習った口対口の人工呼吸を始めようとしている。アンビューバッグは処置台の引き出しに入ったままで、手元にはない。

職員が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 習ったとおり口対口の人工呼吸を始める
  2. ハンカチを口に当てて人工呼吸をする
  3. 人工呼吸はせず、胸部圧迫だけを続ける
  4. 口対口は行わず、アンビューバッグを取り出して獣医師の指示で換気し、必要なら胸部圧迫を分担する

正解D.口対口は行わず、アンビューバッグを取り出して獣医師の指示で換気し、必要なら胸部圧迫を分担する

解説マカク類の唾液や口腔内にはBウイルスが含まれる可能性があり、口対口の人工呼吸は救助者の粘膜への直接曝露となるため絶対に行わない。ハンカチ越しでも液体は通過し防護にならない。アンビューバッグを使えば安全に換気でき、麻酔下の処置中は獣医師の指示に従って換気と胸部圧迫を分担する。胸部圧迫だけでは酸素が供給されず蘇生率が下がるため、換気手段があるなら使う。アンビューバッグを引き出しに入れたままにせず、麻酔処置の際は手元に出しておくことが準備として重要である。

課題人向けの救命講習の知識をそのままサルに適用しようとし、感染経路としての口対口の危険が共有されていなかった。アンビューバッグが処置中に手元になかった。

改善案麻酔処置の前にアンビューバッグ・手袋・ゴーグルを処置台に出す手順を決める。サル類の蘇生では口対口を禁止し、換気と胸部圧迫の役割分担を獣医師と事前に打ち合わせる。

Q47腕の裂傷から血が噴き出す救命救急

闘争で前腕を深く咬まれた6歳のカニクイザルが、スライド扉で隔離された区画の中で、傷から拍動性に血を噴き出している。床に血だまりができ、サルは興奮して動き回っている。職員は2人で、防護具とガーゼは手元にある。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 毛布で覆って暗くし動きを抑えてから、手袋とゴーグルで清潔なガーゼを5分以上強く圧迫し、腕を心臓より高くして獣医師に連絡し急送
  2. 素手で傷を押さえ、血が止まるまで待つ
  3. 腕の付け根にひもをきつく巻いて止血帯にする
  4. 消毒液を傷に流し込み、血が固まるのを待つ

正解A.毛布で覆って暗くし動きを抑えてから、手袋とゴーグルで清潔なガーゼを5分以上強く圧迫し、腕を心臓より高くして獣医師に連絡し急送

解説拍動性の出血は動脈からで、数分で大量に失血する。まず毛布で覆って暗くし動きを抑え、2人で安全を確保したうえで手袋とゴーグルを着け、清潔なガーゼを傷に当てて5分以上強く圧迫し、腕を心臓より高く保つ。その間に獣医師に連絡し、麻酔下の血管処置と縫合のため急送する。サルの血液は感染源で、素手で触れるのは咬傷と血液曝露の二重の危険。止血帯は末梢の壊死と神経損傷を招くため使わない。消毒液を流し込んでも出血は止まらず、組織を傷める。

課題闘争で動脈性の出血が起きるまで分離の判断が遅れた。出血時の手順として素手で押さえる、止血帯を使うといった誤った知識が職員にあり、血液への曝露リスクの認識が薄かった。

改善案止血用ガーゼ・手袋・ゴーグル・毛布を各飼育舎に常備し、圧迫止血と患肢挙上の手順を訓練する。止血帯は使わないと周知し、闘争の兆候が見えた時点で分離する基準を決める。

Q48夜間に遠方の病院へ運ぶ救命救急

夜10時、10歳のカニクイザルが血便と嘔吐でぐったりし、呼吸が速い。夜間に診てくれる動物病院は車で1時間先。飼い主は一人で、輸送ケージは物置にある。サルは普段は抱っこさせるが、今は触ると威嚇する。外気温は5℃。

搬送の方法として最も適切なものはどれか

  1. いつものように抱っこして助手席に乗せ、暖房をかけて運転する
  2. 病院に事前に連絡し、施錠できる輸送ケージに餌で誘導して入れ、毛布で覆って保温し暗くして運ぶ
  3. 段ボール箱に入れてガムテープで閉じ、後部座席に置いて運ぶ
  4. 朝まで待って、かかりつけが開いてから連れていく

正解B.病院に事前に連絡し、施錠できる輸送ケージに餌で誘導して入れ、毛布で覆って保温し暗くして運ぶ

解説血便と嘔吐でぐったりし呼吸が速い状態は脱水と循環不全の危険があり、朝まで待てない。まず病院に連絡して受入れと到着時刻を伝え、施錠できる輸送ケージに餌で誘導して入れ、毛布で覆って保温し暗くして運ぶ。体調が悪い個体は普段なついていても威嚇し咬むため、抱っこでの搬送は運転中の咬傷事故と逸走を招く。段ボール箱は破られて車内で逸走する。寒冷時の保温と、事前連絡による到着後の迅速な処置が重要で、可能なら二人以上で搬送する。

課題輸送ケージが物置にあり、緊急時に即座に使える状態ではなかった。夜間救急の受入れ先と連絡方法を事前に確認しておらず、体調不良時に抱っこで運ぶ危険も認識していなかった。

改善案輸送ケージは檻のそばに置き、餌で誘導して入る練習を日頃から行う。夜間救急の受入れ先、連絡先、所要時間を調べて掲示し、保温用の毛布と湯たんぽを車に備える。搬送時は事前連絡を徹底する。

Q49今すぐ救急か、朝まで待てるか救命救急

夜11時、12歳のオマキザルの様子がおかしい。昼間は普通に食べていたが、今は口を開けて呼吸し、唇と舌が紫色っぽく見える。横になって動かず、呼びかけに弱く反応する。夜間救急は車で40分。飼い主は朝まで様子を見るか迷っている。

この状況での判断として最も適切なものはどれか

  1. 昼間は食べていたので、朝までケージを暗くして様子を見る
  2. ネットで症状を調べ、同じ症状の体験談に従って自宅で対処する
  3. 開口呼吸と唇・舌の紫色は今すぐ夜間救急へ行くサインなので、連絡して保温しながら直ちに搬送する
  4. 部屋を暖めて水を飲ませ、1時間後に改善していなければ救急に行く

正解C.開口呼吸と唇・舌の紫色は今すぐ夜間救急へ行くサインなので、連絡して保温しながら直ちに搬送する

解説口を開けた呼吸と唇や舌の紫色(チアノーゼ)は酸素が足りない状態で、心臓や肺の重大な異常を示し、今すぐ夜間救急へ行く基準に当たる。昼間に食べていたことは安心材料にならず、朝まで待てば死亡する可能性が高い。夜間救急に連絡して症状を伝え、輸送ケージに入れて毛布で保温し、暗くして直ちに搬送する。ネットの体験談は個体や原因が異なり危険。1時間待つのは酸素不足の時間を延ばすだけで、水を飲ませる行為も誤嚥の危険がある。受診時は種、年齢、体重、発症時刻を伝える。

課題今すぐ救急へ行くべきサインを飼い主が知らず、昼間の食欲を根拠に様子を見ようとした。夜間救急の連絡先や搬送の準備も事前に整えていなかった。

改善案開口呼吸・チアノーゼ・けいれん・反応の消失・大量出血は夜間でも即受診という基準を掲示する。夜間救急の連絡先と所要時間を調べ、輸送ケージと毛布を常に使える場所に置く。

Q50咬まれた翌週に手がしびれてきた救命救急

施設の職員が10日前にカニクイザルに手を咬まれ、水で軽く洗っただけで受診しなかった。今日、咬まれた部位に水疱ができ、手から腕にかけてしびれと痛みがあり、微熱と頭痛もある。職員は風邪と思い、市販の鎮痛薬で仕事を続けようとしている。

職員と施設が取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 風邪と考え、市販薬で数日様子を見る
  2. Bウイルス感染の初期症状の可能性があるため、直ちに医療機関を受診し、マカク類の咬傷歴と日付を伝え、施設は曝露記録と個体情報を提供する
  3. 咬まれた部位に消毒液を塗り、しびれが広がったら受診する
  4. 皮膚科で水疱だけ診てもらい、サルのことは言わない

正解B.Bウイルス感染の初期症状の可能性があるため、直ちに医療機関を受診し、マカク類の咬傷歴と日付を伝え、施設は曝露記録と個体情報を提供する

解説マカク類の咬傷後、数日から数週間で咬まれた部位の水疱、しびれ、痛み、発熱、頭痛が出るのはBウイルス感染の初期症状で、脳炎に進むと致死率が極めて高い。直ちに医療機関を受診し、マカク類の咬傷歴と日付を必ず伝え、施設は曝露の記録と個体の検査歴を医療機関に提供する。早期の抗ウイルス薬投与が生死を分ける。風邪と考えて様子を見る、消毒して待つのは最悪の判断である。皮膚科で水疱だけ診てもらい咬傷を伝えなければ、医師はBウイルスを疑えず診断が遅れる。咬傷時に受診しなかった最初の判断が根本の問題である。

課題咬傷直後に15分以上の洗浄と当日受診を行わず、曝露の報告も記録もされていなかった。Bウイルスの潜伏期と初期症状を職員が知らず、施設にも咬傷後の追跡体制がなかった。

改善案咬傷・引っかき・粘膜曝露は必ず記録し、当日受診を義務化して施設が追跡する。Bウイルスの初期症状(水疱・しびれ・発熱・頭痛)を教育し、受診時に伝える内容を記した携帯カードを職員に配布する。

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