基本情報
- 寿命
- 5〜8年(小型種より短命の傾向)
- 体重
- 5〜10kg。成長は1歳半まで続く
- 性格
- おおらかで温厚。動きはゆったり
- 飼育難易度
- 高(体重管理・広さ・医療費・抱き方)
- 法規制
- 動物愛護管理法の対象。終生飼養と適正飼育が義務
- 最重要ポイント
- 抱き上げは床に座り両手で。背骨骨折が最大の事故
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長50〜80cm、体重5〜10kg。骨格は体重に比べ細く、心臓と関節への負担が大きい
- 原産地・分布
- 欧州で肉用・毛皮用に大型化された品種。ベルギー・フランス発祥が多い
- 野生での生息環境
- 祖先は草原の穴居性。大型種は人の管理下で作出され野生には存在しない
- 活動時間・睡眠
- 薄明薄暮性だが体が重く活動量は少なめ。昼間は体を伸ばして長く休む
- 社会性・人との関係
- 温厚で犬猫に動じない個体も多いが、体重差で同居小型種を踏み潰す危険がある
特徴的な行動・習性
- 体を横に投げ出して寝る。急に倒れるので病気と見間違えやすい
- ジャンプは低いが体重があり、着地で足裏や関節を痛めやすい
- 暑さに非常に弱く、大型ほど体に熱がこもり熱中症になりやすい
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
ソアホック(足底潰瘍)
予兆かかとの毛が抜け赤く腫れる・潰瘍・出血・足を交互に浮かせる・座り込む
予防金網やすのこを避け厚手マットに。体重管理と爪切り。床を乾燥清潔に保ち週1回足裏を確認
関節炎・脊椎症
予兆動きが鈍い・跳ばない・立ち上がりが遅い・腰を丸めて座る・自分で毛づくろいできない
予防肥満防止と滑らない床。段差をなくす。4歳以降は半年ごとに健診しレントゲンで早期発見
心疾患(心筋症)
予兆少し動くと呼吸が速い・口を開けて呼吸・運動を嫌がる・失神・ぐったり
予防大型種に多い。肥満と暑さを避け、3歳以降は聴診と心エコーを含む健診を年1回受ける
肥満
予兆胸元の肉垂が大きい・背骨に触れない・盲腸便が床に残る・お尻を自分で舐められない
予防牧草中心でペレットは体重の1%程度。おやつを控える。月1回体重を量り記録する
消化管うっ滞
予兆牧草を食べない・便が小さい少ない出ない・お腹が張る・歯ぎしり・じっとして動かない
予防大型種は食べる量が多く牧草の切れが致命的。常に大量の牧草を。暑さ・痛み・ストレスが引き金
尿路結石・尿砂
予兆尿が白く濁る・トイレで力む・血尿・お尻が尿で汚れる・陰部をなめる
予防運動不足と水分不足が原因。水を多く飲ませる。カルシウムの多いアルファルファは成体に与えない
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
食欲がない・便が出ない
牧草と水を目の前に置き、静かな場所で安静に。自己判断の強制給餌やマッサージはしない。12時間食べなければ即受診、夜でも救急へ
呼吸が速い・口を開けて呼吸
涼しく静かな場所に移し、抱かず運動させない。横にせず伏せの姿勢のままキャリーへ。心疾患や熱中症の疑いがあり即受診
かかとが赤い・出血
床を厚手のタオルやマットに替え、患部は洗わず清潔なガーゼで軽く覆う。出血や潰瘍は当日中に受診。市販の軟膏は自己判断で塗らない
動けない・立ち上がれない
無理に立たせず、平らな床で体を支える。排尿排便の有無を確認。後ろ足が動かない・引きずるなら背骨骨折も疑い即受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
背骨骨折・脱臼
予防抱き上げは床に座り胸とお尻を両腕で抱える。立ったまま抱かない。後ろ足を蹴らせない。暴れたら即床へ
応急処置後ろ足が動かない・引きずる・排尿しないなら触らず、硬い板やキャリーに体を平らに乗せ揺らさず即受診
抱き上げ時の落下
予防子どもや慣れない人に抱かせない。移動は抱かずキャリーへ誘導する。高さのある台に乗せない
応急処置落ちた直後に動いても安心しない。歩き方・後ろ足・排尿を確認し、異常があれば即受診。なくても当日受診
爪の折れ・足裏の裂傷
予防体重で爪に力がかかり折れやすい。月1回爪切り。カーペットや網に爪を引っかけない環境に
応急処置清潔なガーゼで5分圧迫。止血剤か小麦粉を押し当てる。足裏の深い傷や爪が根元から取れたら当日受診
滑る床での脱臼・捻挫
予防フローリングは全面にマットを。急な方向転換を誘う追いかけっこをしない。肥満を防ぐ
応急処置患肢を触らず狭いキャリーで安静に。腫れや足の向きが変なら当日受診。痛みで食欲が落ちればうっ滞に注意
動物由来感染症(人にうつる病気)
パスツレラ症
感染経路咬傷・ひっかき・鼻水や唾液の接触
予防大型種の咬傷は深い。傷は流水で洗い、腫れや発熱は医療機関へ
皮膚糸状菌症
感染経路感染ウサギの毛・皮膚との接触
予防脱毛・フケのある個体は手袋で世話し、触れた後は手洗い
ウサギツメダニ症
感染経路感染ウサギとの接触、寝具の共有
予防大型種は自分で毛づくろいできずダニが増えやすい。背中のフケは受診
野兎病
感染経路野生ウサギやダニとの接触、生肉・血液
予防屋外散歩で野ウサギやダニに接触させない。ダニは素手でつぶさない
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- チモシー牧草を常に大量に。1日に体の大きさ以上の量を切らさない
- ペレットは体重の1%程度を目安に1日2回。成長期は多め
- 野菜は1日に片手一杯程度。果物は週数回、親指大まで
水
- 重い陶器皿で1日300〜500ml以上。ボトルでは足りない
- 夏は2か所に置き、毎日2回交換する
与えてはいけないもの
- ネギ類・じゃがいもの芽・アボカド・チョコレート
- パン・米・穀類・人の菓子(肥満・うっ滞)
- 成体へのアルファルファ(結石・肥満)
おもちゃ・遊び
- 大型のかじり木・わらマット・麻布のトンネル
- 大きめの段ボール箱(体が入る幅60cm以上)
- 牧草を詰めた大きな紙袋。掘れる布マット
巣・寝床・隠れ家
- 木製ハウスは体がすっぽり入る幅50cm以上
- 段差やステップは5〜10cm以内。高い台は置かない
床材・トイレ
- 床はすのこに厚手マットかクッションマットを全面に
- トイレは大型犬用や猫用の大型トレーに木質ペレット
- 体重で床材が潰れるため毎日交換し乾燥を保つ
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
大型犬用サークルかケージ。金網床・すのこのみは不可
大きさ・広さ
幅120×奥行80cm以上。伸び上がれる高さ70cm以上
配置・レイアウト
- トイレは角に大型トレー。牧草入れをトイレの隣に
- 厚手マットを全面に敷き、足裏を守る
- 水皿は2か所。ハウスは出入口を広く
設置場所の注意
- 直射日光・エアコン直風を避け、涼しい北側の部屋に
- 床に直置きし、段差のない出入口にする。扉は広く
運動・部屋んぽ・散歩
- 部屋んぽを毎日2時間以上。走れる広さを確保する
- 床は全面マット。追いかけない、急に止めない
- 屋外は暑さと野生動物の危険が大きく推奨しない
温湿度管理
適温16〜22℃。25℃以上で熱中症の危険。大型ほど暑さに弱い
適湿度40〜60%。多湿は足裏の潰瘍と皮膚病を悪化させる
夏・冬の対策
- 夏はエアコン24時間、アルミ板や大きな保冷剤をタオルで包み置く
- 冬は床の冷えを防ぐマットを。ヒーターは一部のみで過熱を避ける
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
月1回、床に座らせたまま1本ずつ。体重で爪が折れやすく、暴れるなら2人がかりか動物病院で
ブラッシング・皮膚被毛ケア
週2〜3回、換毛期は毎日。大型種は自分で背中やお尻の毛づくろいが届かず毛球になりやすい
その他のケア
お尻の汚れは濡れタオルで拭く。水浴び厳禁。足裏と肉垂の下の皮膚、耳の中を週1回確認
外敵からの保護
- 温厚でも犬猫と同室は危険。ケージに鍵を
- 小型ウサギやモルモットと同居させない。踏み潰す
- 夏は蚊とハエのウジ症に注意。お尻を清潔に
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
毛球とカーペット繊維でうっ滞に。段ボールの印刷面・ビニール・コード・観葉植物は届く場所に置かない。換毛期は毎日ブラッシング
踏みつけ
体が大きく踏まれにくいが、足を踏まれると骨折しやすい。ソファの下や布団に潜るので座る前・寝る前に確認する
挟まれ
ドアに体や足を挟む事故。部屋んぽ中はドアストッパーで固定。ケージ扉は体が通る幅にし、閉める時は体全体を確認
落下・転落
抱っこ中の落下が最多で背骨骨折に直結。抱くのは床に座って短時間、立って抱かない。ソファ・ベッドに乗せない
逸走・脱走
囲いは体重で倒されるため固定する。玄関・ベランダは閉める。逃げたら牧草と匂いのついたハウスを置き夕方以降に待つ
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を引き抜く(大型種の歯で深く裂ける)
- 叩く・怒鳴る・持ち上げて引き離す
安全な引き離しの手順
- 動きを止め、手を無理に引かず静止する
- 空いた手で背中を撫でて落ち着かせる
- 体を床に下ろし、自分から離れるのを待つ
- 離れたらハウスへ誘導し、しばらく構わない
引き離した後の処置
流水と石けんで洗い消毒。深い傷・腫れ・熱はパスツレラの危険があり人の医療機関へ
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 12時間以上食べない・便が出ない
- 口を開けて呼吸・安静でも呼吸が速い
- 後ろ足が動かない・引きずる・排尿しない
- 耳が熱くぐったり・けいれん・失神
当日中に受診
- かかとの出血・潰瘍・座り方が変
- 跳ばない・立ち上がりが遅い・動きが鈍い
- 血尿・白濁尿・お尻の汚れが続く
受診時に伝えること・持ち物
体重・最後に食べた時刻・便の状態・室温・抱き上げ落下の有無。便と尿を持参し牧草をキャリーに
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前を呼び、体に触れて反応を見る
- 胸の上下で呼吸確認。正常は1分間に約30〜60回
- 胸に手を当て心拍確認。正常は1分間に約130〜250回
蘇生の手順
- 横向きに寝かせ、口の中の異物を指で取り除く
- 胸の最も厚い部分を両手で挟み1分100〜120回圧迫
- 圧迫は胸の厚み3分の1まで。背骨をひねらない
- 鼻を口で覆い軽く2回息を吹き込む。30回圧迫ごとに
止血
- 清潔なガーゼで5分強めに押さえる。途中でめくらない
- 爪・足裏の出血は止血剤か小麦粉を押し当てる
- 耳の出血は多く見えるが圧迫で止まる。止まらねば受診
搬送方法
- 大型犬用キャリーにタオルを敷き体を平らに。暗く覆う
- 夏は保冷剤を隣に、冬はカイロを外側に。2人で運ぶ
ケースメソッドで学ぶ
