七面鳥
Photo by Tyler Donaghy on Unsplash

鳥類

七面鳥

家禽としての七面鳥

最重要:ニワトリと同居させない(黒頭病で死亡する)

基本情報

寿命
5〜10年(肉用大型品種は3〜5年と短め)
体重
雄7〜12kg、雌4〜7kg。肉用品種はさらに重い
性格
好奇心が強く人懐こい。雄は春に闘争的
飼育難易度
高(体格・鳴き声・法的届出・感染症対策)
法規制
家畜伝染病予防法の家きん。飼養の定期報告が義務
最重要ポイント
ニワトリと同居させない(黒頭病で死亡する)

生態と特徴

体の特徴
全長1m超の大型鳥。頭は裸出し肉垂と鼻上の肉瘤(スヌード)が感情で赤・青・白に変化。雄は胸にひげ羽
原産地・分布
北米原産の野生シチメンチョウを中米で家畜化。日本には明治期に導入
野生での生息環境
落葉広葉樹林と草地が混じる林縁。昼は地上で採食し夜は樹上で眠る
活動時間・睡眠
昼行性。日の出とともに採食し日没前に高い枝に飛び上がって眠る
社会性・人との関係
群れで生活し順位が明確。雄は繁殖期に闘い、群れの人にはよく懐く

特徴的な行動・習性

かかりやすい病気と予兆の見方・予防

ヒストモナス症(黒頭病)

予兆硫黄色の泡立った便、羽を膨らませて立ちすくむ、頭部が黒ずむ、食欲廃絶、数日で死亡することも

予防ニワトリと同じ土地・鶏舎で飼わない。盲腸虫の卵が土に残るため土を入れ替え、ミミズを食べさせない。異常便は即受診

脚弱・関節障害

予兆座り込んで動かない、かかとを着いて歩く、片脚を引きずる、関節の腫れ、脚が外側に開く

予防急激な体重増加を避けて高たんぱく飼料を与えすぎない。滑らない床と低い止まり木。運動できる広さを確保

鳥インフルエンザ

予兆急死、複数羽が同時にぐったり、頭部や肉垂の紫変色、顔の腫れ、首が曲がる。疑ったら家畜保健衛生所へ通報

予防防鳥ネットで野鳥と糞を遮断。飼育専用の靴と手洗い。餌と水を屋内に置き野鳥に触れさせない

伝染性副鼻腔炎

予兆目の下が腫れて涙と鼻水が出る、顔が腫れ目が開かない、くしゃみ、咳、呼吸音

予防マイコプラズマが原因。新しい鳥は2週間以上隔離。換気を良くしアンモニア臭や粉塵を減らす。早期受診

コクシジウム症

予兆血便や水様便、羽を膨らませうずくまる、食欲低下、ヒナでは急な衰弱と死亡

予防敷料を乾燥させ糞を毎日除去。給餌器・給水器を高くして糞が入らないようにする。過密を避ける

熱中症

予兆口を開けて速い呼吸、翼を体から離して垂らす、よだれ、ふらつき、肉垂が紫色、倒れる

予防30℃を超える日は日陰と風通しを確保し、冷たい水を複数箇所に置く。大型個体は特に注意

病気の予兆チェックリスト

毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。

病気の応急処置

硫黄色の便と立ちすくみ

黒頭病の疑い。すぐ他の鳥から隔離し保温。便を写真に撮り当日中に受診。ニワトリとの同居歴を伝える

口を開けて呼吸し翼を垂らす

熱中症。日陰か屋内へ移し扇風機で風を当て、脚と翼の下を常温の水で濡らす。冷水は使わず30分以内に受診

座り込んで立てない

無理に立たせず滑らない床に敷料を厚く敷く。餌と水を手元に置き、当日中に受診して関節や骨の検査を受ける

顔が腫れ目が開かない

副鼻腔炎の疑い。他の鳥から隔離し、目の周囲を濡らしたガーゼで拭く。数日以内に受診し群れ全体の対策を相談

起こりやすい怪我と予防・応急処置

雄同士の闘争傷

予防繁殖期の春は成雄を1羽ずつ分ける。複数飼うなら逃げ場と視線を遮る板を置く

応急処置板で間に入って引き離す。頭部と肉垂の出血はガーゼで5分圧迫し、傷が深ければ当日中に受診

脚の骨折・脱臼

予防止まり木は50cm以下にし、飛び降りる場所に厚い敷料。抱き上げは胸と脚を支える

応急処置患肢を触らず暗い箱に入れて安静。添え木は巻かず、搬送中は動かないよう狭い箱で当日中に受診

胸部の床ずれ

予防重い個体は座る時間が長く胸に潰瘍ができる。敷料を厚く乾いた状態に保ち、体重増加を抑える

応急処置患部を清潔にして乾いた敷料へ。赤く腫れる、膿が出るなら数日以内に受診。自己判断で切開しない

肉垂・スヌードの裂傷

予防金網の突起やとがった針金をなくす。闘争の原因になる成雄の同居を避ける

応急処置血が多く見えても落ち着いてガーゼで圧迫。止まらない、大きく裂けた場合は当日中に受診

動物由来感染症(人にうつる病気)

サルモネラ症

感染経路糞に触れた手、卵や鶏舎のほこりから口へ

予防世話の後は石けんで手洗い。鶏舎用の靴と服を分ける。子どもは手洗いを徹底

カンピロバクター症

感染経路糞で汚れた水や器具、手指を介して経口

予防給水器は毎日洗う。鶏舎で飲食しない。下痢や発熱が出たら人の病院で飼育歴を伝える

鳥インフルエンザ

感染経路感染鳥の糞や分泌物、羽毛のほこりの吸入

予防急死や複数羽の異常は素手で触らず家畜保健衛生所へ連絡。作業時はマスクと手袋

オウム病(鳥クラミジア症)

感染経路乾いた糞や鼻汁のほこりを吸い込む

予防掃除の前に床を霧吹きで湿らせ、マスクを着ける。人にインフルエンザ様症状が出たら受診

飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材

餌

  • 七面鳥用か高たんぱくの家禽用配合飼料を主食に、朝夕2回
  • 成鳥は青菜・野草を加える。肥満個体は飼料量を減らす
  • ヒナは28%前後の高たんぱく飼料。食べ始めるまで指で教える

水

  • 新鮮な水を毎日交換し複数の給水器を置く
  • 夏は日陰に置き、1日2回以上補充する

与えてはいけないもの

  • ミミズ・土の中の虫(黒頭病の原因を運ぶ)
  • アボカド・チョコレート・カフェイン・ネギ類
  • カビた飼料・腐った野菜(アスペルギルス症の原因)

おもちゃ・遊び

  • 吊るしたキャベツや青菜をつつかせる
  • 広い放飼場で地面を掻いて餌を探す時間
  • 砂浴び用の乾いた砂場を常設する

巣・寝床・隠れ家

  • 床置きの大きな産卵箱に乾いた藁を厚く敷く
  • 雨風を遮り夜は施錠できる小屋。1羽2㎡以上

床材・トイレ

  • もみ殻や乾いた藁を10cm以上。湿ったら交換
  • 床は土やコンクリート。滑る板床は避ける
  • 糞は毎日除去し、週1回は全交換

飼養環境:ケージ・運動・温湿度

ケージ・ハウスの素材

木造か金属の小屋に細かい金網。防鳥ネット併用

大きさ・広さ

小屋は1羽2㎡以上、放飼場はさらに10㎡以上

配置・レイアウト

  • 止まり木は50cm以下で太く、下に厚い敷料
  • 給餌器と給水器は床から離し、小屋の両端に
  • 成雄は春に仕切り、互いに見えない配置に

設置場所の注意

  • ニワトリの飼育場所とは完全に分ける
  • 風通しがよく西日の当たらない場所に設置

運動・部屋んぽ・散歩

  • 放飼場で毎日数時間、自由に歩き回らせる
  • 放鳥中は野鳥やカラスとの接触を監視する
  • 夕方は自分で小屋に戻るよう習慣づける

温湿度管理

適温成鳥は5〜25℃が快適。30℃以上は熱中症に注意

適湿度50〜70%。湿った敷料はカビと寄生虫の温床

夏・冬の対策

  • 夏:日陰と扇風機、冷たい水を複数箇所に
  • 冬:風除けと厚い敷料。肉垂の凍傷に注意

グルーミングと外敵からの保護

爪切り

放飼で自然に削れる。伸びたら鳥用爪切りで先端のみ。雄のけづめも同様

ブラッシング・皮膚被毛ケア

砂浴びが羽のケア。羽の汚れは乾いた後に軽くほぐす。濡らしすぎない

その他のケア

くちばしの伸びすぎや左右差は受診。脚の鱗の浮き上がりはダニの疑い

外敵からの保護

  • 夜は必ず施錠した小屋に入れる。キツネ・タヌキ・イタチ対策
  • 放飼場に防鳥ネットでカラス・野鳥を遮断
  • 犬は七面鳥を追うため柵で完全に分ける

飼養上の注意(事故防止)

異物誤飲

針金・釘・ビニール・輪ゴムをつついて飲む。放飼場の小物を片付ける。首を振る、食欲低下は受診

踏みつけ

大型でも踏まれれば脚を骨折する。足元に寄るので歩く前に位置を確認。踏んだら抱かず箱へ入れて受診

挟まれ

小屋の扉や柵に首・翼・脚を挟む。扉はゆっくり閉め、金網の隙間は3cm以下にし、挟まったら押さず引く

落下・転落

高い止まり木や抱き上げた高さから落ちると脚と胸骨を痛める。止まり木は50cm以下。落下後に立てなければ受診

逸走・脱走

柵は1.8m以上。逃げても遠くへは行かず夕方に木の上や物陰にいる。餌と仲間の声で呼び、暗くなってから捕まえる

噛みついた時の安全な引き離し方

やってはいけないこと

  • つつかれても叩いたり蹴ったりしない
  • 雄に背を向けて走って逃げない

安全な引き離しの手順

  1. 動きを止め目を合わせず静かに立つ
  2. 板やタオルで視線を遮る
  3. 両翼を体に押さえ込んで胸と脚を抱えて持ち上げる
  4. 小屋に戻し落ち着くまで近づかない

引き離した後の処置

傷を流水で洗い消毒。けづめの深い傷や腫れ・化膿は人の病院へ

救命救急マニュアル

今すぐ夜間救急へ(命に関わる)

  • 口を開けて呼吸し倒れている
  • 硫黄色の便と立ちすくみ
  • 複数羽が同時にぐったり、急死
  • 多量の出血が止まらない

当日中に受診

  • 座り込んで立てない、脚を引きずる
  • 餌を1日食べない、水ばかり飲む
  • 顔が腫れ目が開かない

受診時に伝えること・持ち物

体重と品種、ニワトリとの同居歴、便の写真、餌の種類、発症時刻を伝える

意識・呼吸・心拍の確認

  • 意識:呼びかけや接触に反応するか
  • 呼吸:胸の上下を見る。安静時1分約20〜30回
  • 心拍:胸に耳を当てる。1分約150〜250回

蘇生の手順

  1. 胸部圧迫は骨折の危険があり推奨されない
  2. 暑ければ風を当て、寒ければ30℃前後で保温
  3. 首を伸ばし気道を確保、口内の異物を除く
  4. 反応が弱ければ暗い箱に入れ即受診

止血

  • 清潔なガーゼで5分以上圧迫
  • 爪やけづめの出血は止血剤か片栗粉で
  • 止まらなければ圧迫したまま受診

搬送方法

  • 大型犬用キャリーか丈夫な箱に厚いタオル
  • 暗くして揺らさず、夏は保冷剤を箱の外側に

ケースメソッドで学ぶ

ケースメソッド(状況予測シナリオ 50問)

七面鳥に起こりうる病気・怪我・事故を想定した4択問題。解答・解説・課題と改善案付き。

問題を解く
QRコード
エキゾチックアニマルの救命救急法講座 開催地&日程
https://exoticpetsaver.com
実技で学びたい方は講座へ。QRコードをスマホで読み取ってください。