基本情報
- 寿命
- ニホントカゲ5〜10年、大型種は15年以上
- 体重
- ニホントカゲ5〜15g、大型種は数百g〜1kg
- 性格
- 臆病で素早い。慣れても握られるのを嫌う
- 飼育難易度
- 中(小型で脱水・温度変化に弱い)
- 法規制
- 動物愛護管理法。天然記念物種は捕獲禁止
- 最重要ポイント
- 尾を自切するので掴まない。床材に潜る
生態と特徴
- 体の特徴
- つやのある滑らかな鱗と小さな四肢。尾を自切して逃げ再生する。幼体は尾が青い種が多い
- 原産地・分布
- 世界中に分布。ニホントカゲは本州〜九州、大型種は東南アジア・豪州
- 野生での生息環境
- 日当たりのよい草地や林縁、石垣の隙間。落ち葉や土に潜る地表性
- 活動時間・睡眠
- 多くは昼行性で朝に日光浴。カブトトカゲは薄明薄暮性。温帯種は冬眠
- 社会性・人との関係
- 単独性で雄同士は争う。警戒心が強く、人には慣れるが触られるのは苦手
特徴的な行動・習性
- 危険を感じると尾を切り離し、尾が動く間に逃げる
- 落ち葉や土に潜って休み、頭だけ出して周囲を見る
- ニホントカゲの雌は卵を抱いて孵化まで守る
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
代謝性骨疾患
予兆あごが柔らかい、四肢や背骨の変形、歩けず這う、ふるえ、餌を噛めない、尾の付け根が曲がる
予防餌昆虫に毎回カルシウム粉をまぶしUVBライトを照射。ライトは半年ごとに交換
内部寄生虫
予兆野外採集個体に多い。下痢・未消化便、食べても痩せる、腹部膨満、便に白い虫や粘液
予防採集・購入後に糞便検査を受ける。糞は毎日除去し、餌の食べ残し昆虫を放置しない
脱皮不全
予兆指先や尾先に古い皮が輪状に残り黒く細くなる、目の周りに皮が残る、まぶたが開かない
予防湿らせた水苔のウェットシェルターを常設。乾燥期は朝夕に霧吹き。脱皮後に指先を確認
越冬衰弱
予兆秋に餌を食べないまま冬眠に入り、冬に痩せて動かない、春に起きない・目が落ちくぼむ
予防痩せた個体や幼体・病気の個体は冬眠させず保温して飼う。秋に十分に食べさせ体重を記録
卵詰まり
予兆雌が産卵期に食欲不振、腹が膨らんだまま何日も続く、床材を掘るが産めない、ぐったり
予防産卵期に湿った土を深く敷いた産卵場所を用意。カルシウムとUVBを十分に。痩せた雌に注意
呼吸器・口内感染
予兆口を開けて呼吸、鼻や口から泡や粘液、口の縁が腫れ黄色いかす、食欲不振
予防低温多湿の蒸れを避け通気を確保。温度勾配を保ち、口元を硬い壁や餌皿にぶつけない
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
脱水・目が落ちくぼむ
26〜28℃の浅いぬるま湯に5〜10分浸け、口元に水滴を付けて舐めさせる。改善しなければ当日受診
四肢のふるえ・脱力
低く狭い容器に移して落下を防ぎ、刺激せず保温。サプリを無理に飲ませず当日中に爬虫類の病院へ
冬眠中に動かず痩せた
数日かけて徐々に20℃台まで戻し、水を飲ませる。急加熱はしない。餌を食べなければ数日以内に受診
雌の腹部膨満が続く
湿った土を深く敷いた暗い産卵場所を用意。数日経っても産まない・ぐったりなら当日中に受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
尾の自切
予防尾や体を掴まない。手に乗せるだけにし、捕まえる時は体の下から掬う。同居させない
応急処置切断面を触らず、清潔な床材に変えて安静。出血は清潔なガーゼで軽く圧迫。化膿や腫れは受診
圧迫による骨折
予防子どもが握らないよう必ず大人が付き添う。体は小さく骨が細いので指で挟まない
応急処置患部を触らず低い容器に移し保温して安静。四肢の変形・動けない・口から出血は当日受診
熱傷(やけど)
予防保温球やホットロックに直接触れない距離と構造。サーモスタットで温度を管理
応急処置患部を常温の水で5分冷やし、軟膏は塗らず乾いた清潔な紙を当てる。水疱・皮むけは当日受診
餌昆虫による咬傷
予防コオロギを放し飼いにせず食べ残しは必ず回収。弱った個体のケージに虫を残さない
応急処置傷を流水で洗い、残った虫を全て回収。目や指先の傷・腫れがあれば数日以内に受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路糞便・体表・ケージ用品からの経口感染
予防触った後は石けんで手洗い。台所でケージを洗わない。幼児・高齢者は接触注意
マダニ媒介感染症
感染経路野外採集個体に付いたマダニが人を刺す
予防採集個体は鱗の間を確認。ダニは素手で潰さず受診時に除去。発熱したら医療機関へ
咬傷の細菌感染
感染経路咬まれた傷や引っかき傷からの細菌侵入
予防傷は流水で洗い消毒。腫れ・熱感・赤みが広がれば人の医療機関へ
カンピロバクター症
感染経路糞便で汚染された手や器具からの経口感染
予防掃除後は手洗い。食品を扱う場所で世話をしない。食器と洗い場を分ける
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- コオロギ・デュビア・ワラジムシなどの生き餌。幼体は毎日、成体は2〜3日に1回
- 口幅の半分以下の大きさの虫を、5〜10分で食べきる量
- 毎回カルシウム粉、週1回は総合ビタミンをまぶす。ミルワームは少量に
水
- 浅く縁の低い水入れを常設し毎日交換。溺れない深さに
- 水入れから飲まない個体は朝夕の霧吹きで葉や壁の水滴を舐めさせる
与えてはいけないもの
- 野外で採った虫(農薬・寄生虫・ムカデやハチなど毒虫)
- ホタル・大きすぎる虫・硬い甲虫(消化不良・窒息)
- 果物や人の食べ物・ドッグフード(主食は昆虫)
おもちゃ・遊び
- 潜れる深さの土や落ち葉で探索と穴掘りができる環境
- ピンセットで虫を動かして追わせ、運動と食欲を引き出す
- 石や流木を組んだ隙間と段差で登り降りと日光浴の場
巣・寝床・隠れ家
- 温かい側と涼しい側に体がすっぽり入る隠れ家を各1個
- 湿らせた水苔のウェットシェルターを常設し、産卵期は深い土を
床材・トイレ
- ヤシガラ土や腐葉土を5〜10cm以上の深さで、潜れるように
- 細かい砂や砂利は誤飲しやすいので避ける。乾いた表層と湿った下層
- 糞は毎日除去、全交換は月1回。野外の土や落ち葉は持ち込まない
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ガラスか樹脂の前開きケージ。隙間のない蓋。小型種はプラケースも可
大きさ・広さ
ニホントカゲは幅45×奥行30cm以上、大型種は幅90cm以上
配置・レイアウト
- 片側にバスキングライト、反対側は涼しく温度勾配をつける
- 隠れ家と水入れは涼しい側、UVBは隠れ家から出た所に届く位置に
- 石や流木は床に置かず埋め込み、潜った個体が下敷きにならないよう固定
設置場所の注意
- 直射日光の当たる窓際は夏に致命的な高温になるので避ける
- 振動や人の往来が多い場所を避け、犬猫の手が届かない高さに
運動・部屋んぽ・散歩
- 素早く隙間に入るので部屋んぽは原則しない。ケージ内で十分動ける
- ハンドリングは週数回、手に乗せる程度で数分。掴んだり追い回さない
- 日光浴は網蓋のケージで直射日光を避け、必ず日陰と水を用意し目を離さない
温湿度管理
適温バスキング30〜32℃、涼しい側22〜26℃、夜間18〜22℃。30℃超の全体高温は危険
適湿度50〜70%。カブトトカゲなど多湿種は70〜80%。乾燥は脱皮不全と脱水の原因
夏・冬の対策
- 夏はエアコンで室温28℃以下に。ケージ全体が30℃を超えない管理
- 冬は保温するか健康個体のみ5〜10℃で冬眠。停電時はカイロを布で包み側面に
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪切りは不要。石や流木で自然に削れる。鋭すぎて引っかかるなら受診時に相談
ブラッシング・皮膚被毛ケア
ブラッシング不要。脱皮期は霧吹きとウェットシェルターで湿度を上げ、指先と尾先の皮残りを確認
その他のケア
鱗の間や脇・耳の穴のダニを週1回確認。口元の汚れと腫れ、目の開き方を日々観察
外敵からの保護
- 犬・猫・フェレットは小型トカゲを獲物と見る。同室で蓋を開けない
- 屋外の日光浴ではカラス・猫・ヘビに狙われる。必ず付き添う
- 野外の土や落ち葉はダニやムカデの持ち込み源。必ず市販の床材を使う
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
虫と一緒に砂や小石を飲み込みやすい。細かい床材を避け、腹部膨満や排便停止が2〜3日続けば当日受診
踏みつけ
床材に潜り見えない。掃除や石の移動は位置を確認してから。小さく軽いので踏まれると即命に関わる
挟まれ
蓋や前開き扉に尾や指を挟み、自切や骨折の原因に。閉める前に体の位置を目で確認し、挟んだら受診
落下・転落
手から飛び降りて骨折・内臓損傷。扱う時は床に座り低い位置で。落ちたら動きと出血を確認し当日受診
逸走・脱走
小さく素早く数mmの隙間を抜ける。蓋は必ずロック。逃げたら部屋を閉め切り、家具の下や暖かい家電の裏を探す
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 引っ張る・振り払う。小さなあごが外れ口が裂ける
- 尾や体を掴んで引き離す。自切や骨折の原因
安全な引き離しの手順
- 動かず落ち着く。ほとんどは数秒で自然に離す
- トカゲの体をもう一方の手で下から支え、宙ぶらりんにしない
- ケージの床材に体を着けると離しやすい
- 大型種が離さなければぬるま湯を口元に少しずつかける
引き離した後の処置
傷を流水で洗い消毒。大型種の深い傷や腫れは人の医療機関へ。トカゲの口と歯も確認
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- ぐったりして反応がない・口を開けて喘ぐ
- 落下や圧迫後に動けない・四肢や背骨の変形
- 出血が止まらない・腹部や口からの出血
- けいれん・体を反らせて硬直
当日中に受診
- 目が落ちくぼみ皮膚にしわ・水を受け付けない
- 鼻や口から粘液や泡・口の腫れ
- 雌の腹部膨満が数日続く・排便が3日ない
受診時に伝えること・持ち物
ケージの温度・湿度・床材・餌と頻度、採集場所か購入先、体重、脱皮と排便日。糞を持参
意識・呼吸・心拍の確認
- つつくと動く・舌を出すか確認。低温では仮死状態に見える
- のどと脇腹の動きで呼吸を確認。安静時は毎分10〜30回程度
- 小型種は心拍の確認は困難。反応と呼吸を見てすぐ受診
蘇生の手順
- 冷えていれば25〜28℃までゆっくり保温し、急加熱はしない
- 口元の粘液や床材を綿棒で除き、気道を確保し頭をやや高く
- 呼吸がなければ水平に置き、脇腹を指先でごく軽く数秒ごとに刺激
- 小型種は家庭での蘇生はほぼ不可能。処置しながら即病院へ連絡
止血
- 清潔なガーゼやティッシュで3〜5分軽く圧迫。強く押さない
- 自切面や指先の出血は止血剤か片栗粉を軽く当てる
- 止まらない・体に対して出血量が多ければ圧迫しながら即受診
搬送方法
- ペーパータオルを敷いた小さなプラケースに入れ、暗く静かに
- カイロをタオルで包み容器の外側側面に。夏は車内の高温に注意
ケースメソッドで学ぶ
