基本情報
- 寿命
- 8〜10年(飼育下では10年超も)
- 体重
- 0.7〜1.5kg(秋に増え春に減る)
- 性格
- 人懐こく甘え上手。発情期は攻撃的になる
- 飼育難易度
- 高(肥満・歯牙腫・発情期対応・入手困難)
- 法規制
- 感染症法で2003年から輸入禁止。国内繁殖のみ
- 最重要ポイント
- 肥満と歯牙腫を防ぐ。発情期の豹変に備える
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長30〜40cm、短い尾。歯は一生伸び続け、頬袋はない
- 原産地・分布
- 北米の大平原(グレートプレーンズ)が原産
- 野生での生息環境
- 短草草原の地下に広大なトンネル(タウン)を掘る
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。日中に採食と見張り、夜は巣穴で眠る
- 社会性・人との関係
- 家族群(コテリー)で暮らす。飼い主を家族と認識する
特徴的な行動・習性
- 後ろ足で立ち上がり周囲を見張る。警戒時は高い鳴き声
- 鼻先を合わせる「キス」で仲間を確認する
- 秋に体重を増やし冬は活動が減る。穴掘りは本能
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
歯牙腫(オドントーマ)
予兆口で息をする・鼻づまり音・食欲低下・体重減少。ケージを噛む個体に多い
予防金網を噛ませない。アクリル・布張りで保護し、噛むストレスを減らす
肥満
予兆首のくびれが消える・動きが鈍い・自分で毛づくろいできない
予防牧草中心でペレットは少量。種子・ナッツ・果物は原則与えない
呼吸器感染症
予兆鼻水・くしゃみ・開口呼吸・呼吸時に腹が大きく動く
予防温度差とすきま風を避ける。床材のほこりを減らし清潔に保つ
不正咬合
予兆よだれ・硬い物を残す・口元を気にする・食べたがるのに食べない
予防牧草を常に与え臼歯を摩耗させる。定期的に歯を診てもらう
下痢・腸炎
予兆軟便・水様便・尻の汚れ・元気消失。急な食事変更や果物過多で起こる
予防食事は数日かけて切り替える。糖分の多い食べ物を避ける
皮膚病・脱毛
予兆かゆがる・円形脱毛・フケ・かさぶた。真菌やダニが原因のことが多い
予防床材と寝床を清潔に乾燥させる。新入りは健康診断後に合流
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
口で息をしている
歯牙腫や鼻炎の疑い。静かな場所で安静にし、ほこりを避け、当日中に受診。悪化すれば夜間救急へ
食べない・便が減った
半日以上食べなければ受診。牧草とぬるま湯を近くに置き、無理に押し込まず歯の異常も疑って診察を受ける
下痢をしている
果物や野菜を止め牧草と水のみにする。便を写真に撮り当日中に受診。ぐったりなら今すぐ
ぐったり・体が冷たい
タオルで包み湯たんぽで緩やかに保温。低血糖の疑いもあるので無理に食べさせず、すぐに受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
骨折
予防高所から飛び降りさせない。金網床は使わず、脱走時は追い回さない
応急処置患部を触らず、狭いキャリーで動きを制限し当日中に受診。副木は自分で当てない
切歯の破折
予防金網を噛ませない。落下やケージ衝突を防ぐ。硬すぎる物を与えない
応急処置出血は清潔なガーゼで軽く押さえる。柔らかい食事にし、当日中に受診
爪の損傷・出血
予防布製品のほつれやすき間に爪が引っかからないよう整える。定期的に爪を切る
応急処置ガーゼで数分圧迫。止まらない・爪が根元から取れた場合は当日中に受診
咬傷(同居個体)
予防発情期や新入り導入時は別ケージに分け、相性を見ながら少しずつ合わせる
応急処置すぐ別居させ、傷を生理食塩水で洗う。深い傷や腫れは当日中に受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
ペスト・野兎病
感染経路国内繁殖個体では報告なし。輸入禁止の根拠
予防密輸・出所不明の個体を飼わない。正規の繁殖者から迎える
サルモネラ症
感染経路便・ケージに触れた手から口へ
予防世話の後は石けんで手洗い。台所で器具を洗わない
皮膚糸状菌症
感染経路脱毛部や寝床との接触
予防脱毛やフケがあれば受診。触った後は手洗い。寝床は乾燥させる
パスツレラ症
感染経路咬傷・ひっかき傷
予防噛まれたら流水で洗う。赤く腫れたら受診。発情期は素手で触らない
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 主食はチモシー牧草を常時食べ放題にする
- プレーリードッグ用または草食獣用ペレットを体重の1〜2%程度
- 野菜は葉物を少量。種子・果物はごほうび程度に
水
- 新鮮な水を給水ボトルと皿の両方で常時用意
- 毎日交換し、ボトルの先端の詰まりを確認
与えてはいけないもの
- ひまわりの種・ナッツ類(肥満の原因)
- ネギ類・チョコレート・アボカド
- 人の菓子・パン・乳製品・甘い果物の多量
おもちゃ・遊び
- かじり木・牧草ボール(歯の摩耗とストレス発散)
- 土やコルク材の掘れる箱(穴掘り欲求を満たす)
- 布製トンネル・段ボール箱(破損したら交換)
巣・寝床・隠れ家
- 体がすっぽり入る木箱や布製の巣箱を設置
- 牧草や布を自分で運び込める広さを確保
床材・トイレ
- 牧草か紙製の床材を厚めに敷く
- ほこりの多い床材・針葉樹チップは避ける
- トイレは隅に設置。汚れた床材は毎日交換
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
太い金属格子+ステンレスや木製の床。金網床は不可
大きさ・広さ
幅90cm以上、高さは低め。広い床面積を優先
配置・レイアウト
- 床面を広く取り、段差は低く転落を防ぐ
- 巣箱・トイレ・食事場所を離して配置
- 格子を噛む個体はアクリル板や布で覆う
設置場所の注意
- 直射日光・エアコンの風・すきま風を避ける
- 犬猫や騒音から離れた静かな場所に置く
運動・部屋んぽ・散歩
- 毎日1〜2時間、安全対策した部屋で自由に運動
- コード類・観葉植物・狭いすき間を事前にふさぐ
- 家具の下やソファのすき間に潜るので目を離さない
温湿度管理
適温20〜25℃が目安。30℃超と10℃未満は危険
適湿度40〜60%。多湿は皮膚病と呼吸器病の原因
夏・冬の対策
- 夏はエアコンで冷却。冷却マット・凍らせたボトルも併用
- 冬はヒーターとパネルで保温。寝床に布を多めに
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
月1回を目安に先端だけ切る。血管が透けるので手前で止め、嫌がれば2人で押さえる
ブラッシング・皮膚被毛ケア
換毛期にやわらかいブラシで軽く。肥満で毛づくろいできない個体は背中と尻を確認
その他のケア
歯の長さ・鼻の通りを週1回確認。入浴は不要。汚れは濡れタオルで拭く
外敵からの保護
- 犬猫・フェレットとは同室にせず、部屋んぽ中は隔離
- ベランダや屋外には出さない。カラスや猛禽に狙われる
- 蚊・ノミ対策に網戸と清潔な床材を維持
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
布のほつれ・ビニール・輪ゴム・コードをかじって飲み込む。食欲低下や便の減少があれば当日中に受診
踏みつけ
足元に寄ってくる習性があるため、部屋んぽ中はすり足で歩く。踏んだら動きと呼吸を確認し当日中に受診
挟まれ
ドアの開閉やソファの可動部に潜るので、部屋んぽ中はドアを固定し、座る前に下を確認する
落下・転落
ソファや机から飛び降りて骨折しやすい。高い場所に登らせない。落下後は足を引きずらないか確認し受診
逸走・脱走
穴掘りで床や網戸を破る。部屋のすき間をふさぎ、逃げたら好物と巣箱を置き静かに待つ。無理に追わない
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 引き抜く・振り払う(切歯で傷が裂ける)
- 叩く・大声を出す(恐怖で噛みが強まる)
安全な引き離しの手順
- 動かず静かにし、相手の体をタオルで覆い視界を遮る
- かじり木や布を口元に差し出し噛み替えさせる
- 離れたらすぐケージか巣箱に戻し、しばらく触らない
- 発情期(秋〜冬)は革手袋と布越しで接する
引き離した後の処置
傷は流水で5分洗い消毒。深い・腫れる・熱を持つ場合は医療機関へ
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 口を開けてあえぐ・呼吸が苦しそう
- ぐったりして体が冷たい・反応が鈍い
- けいれん・転倒を繰り返す
- 落下・踏みつけ後に動けない・大出血
当日中に受診
- 半日以上食べない・便が出ない
- 下痢が続く・尻が汚れている
- 鼻づまり音・鼻水・くしゃみが続く
受診時に伝えること・持ち物
発症時刻・食事内容・便の写真・体重の推移・ケージを噛む癖の有無を伝える
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前を呼び反応と立ち上がりを確認
- 胸の動きで呼吸数を数える(正常は1分40〜60回)
- 胸に手を当て心拍を確認(1分200〜300回)
蘇生の手順
- 横向きに寝かせ、口の中の牧草や異物を取り除く
- 親指と人差し指で胸を挟み、1秒2回のリズムで圧迫
- 鼻に口を当て、胸が軽く上がる程度に息を吹き込む
- 30秒ごとに呼吸を確認し、搬送しながら続ける
止血
- 清潔なガーゼで出血部を3〜5分強めに圧迫
- 爪の出血は止血剤か片栗粉を押し当てる
- 止まらない・大量出血は圧迫したまま即受診
搬送方法
- 小さめのキャリーに布を敷き、湯たんぽで保温
- 暗く静かにし、揺らさず水平に運ぶ
ケースメソッドで学ぶ
