基本情報
- 寿命
- 40〜50年(飼育下でも30年以上生きる)
- 体重
- 雄100〜150kg、雌90〜120kg、体高2〜2.5m
- 性格
- 警戒心が強く驚きやすい。雄は繁殖期に攻撃的
- 飼育難易度
- 極高(体格・事故リスク・広い放飼場・法的届出)
- 法規制
- 家畜伝染病予防法の届出家きん。年1回の定期報告義務
- 最重要ポイント
- 正面に立たない。前蹴りは人を殺す力がある
生態と特徴
- 体の特徴
- 世界最大の鳥で飛べない。脚指は2本で前蹴りが武器。眼は陸上動物最大。時速60km超で走る
- 原産地・分布
- アフリカのサバンナ・半砂漠地帯。飼育品種は南アフリカで作出
- 野生での生息環境
- 見通しのよい乾いた草原や半砂漠。水場が少ない環境に適応
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。日中は歩きながら採食し、夜は地面に座って休む
- 社会性・人との関係
- 数羽〜数十羽の群れ。繁殖期は雄1羽が複数の雌を従え縄張りを守る
特徴的な行動・習性
- 小石を飲み込んで砂のうで餌をすり潰す。光る物も飲み込んでしまう
- 驚くと一直線に走り柵に激突する。危険を感じると首を地面に伏せる
- 雄は赤くなった脚と首を見せ、翼を広げて踊る求愛行動をする
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
前胃閉塞
予兆食欲低下・元気消失・便が減る、首を伸ばす仕草、体重減少。異物や長い繊維が原因
予防放飼場の針金・釘・ガラス・ビニールを毎日拾う。砂利は適量だけ与える
脚の捻転・変形
予兆雛の脚が外側や内側にねじれる、歩行が不安定、座り込む。急成長期に多い
予防ダチョウ専用飼料で過剰な成長を防ぐ。十分な運動場と硬すぎない床
卵黄嚢感染
予兆孵化後1週間の雛が元気なく腹部が膨らむ、臍の周囲が湿って赤い
予防孵卵器・孵化後の床を清潔に保つ。臍が閉じるまで消毒した床で管理
捕獲性筋疾患
予兆追い回しや保定後に脚が震えて立てなくなる、尿が濃い赤褐色
予防追い回さない。保定は短時間で静かに、暑い日中の作業を避ける
鳥インフルエンザ
予兆急死、元気消失、顔や脚の腫れ、神経症状。複数羽が同時に発症する
予防野鳥の侵入防止、靴と器具の消毒。異常死は直ちに家畜保健衛生所へ
線虫・寄生虫症
予兆痩せる、羽がぼさぼさ、貧血で口の中が白い、下痢。多頭飼育で広がる
予防定期的な糞便検査と駆虫。放飼場の糞を毎日除去し湿った土を避ける
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
食欲低下と便の減少
砂利と異物の摂取歴を確認し、放飼場の異物を点検。牧草を減らさず当日中に受診。無理に下剤は与えない
雛が脚をねじって歩く
滑らない床の狭い区画に移して運動を制限。飼料の種類と給餌量を記録して当日中に受診
保定後に立てない
追い回しを即中止。日陰で静かに休ませ、水を飲める位置に置き、当日中に往診を依頼する
複数羽が急に元気消失
鳥インフルエンザを疑い群れに触れず、靴と衣服を交換。家畜保健衛生所と獣医師へ直ちに通報
起こりやすい怪我と予防・応急処置
柵への激突・頸部外傷
予防柵は2m以上で角を丸く、目立つ色にして見えやすく。騒音や急な動きを避ける
応急処置出血は清潔な布で圧迫。首が曲がったまま動かせない時は触らず獣医師の往診を待つ
脚の骨折
予防放飼場の穴・溝・段差をなくす。雨でぬかるんだ場所に出さない
応急処置追い回さず、人が近づきすぎない。フードで鎮静させ、歩かせず獣医師を呼ぶ
翼・皮膚の裂傷
予防有刺鉄線を使わない。柵の突起や釘を点検し、闘争する雄は分けて飼う
応急処置清潔な布で圧迫止血し、傷を洗い流す。深い傷や止まらない出血は当日中に受診
雛の開脚・脱臼
予防孵化直後から滑らない床材を使う。詰め込みすぎず雛同士の踏みつけを防ぐ
応急処置滑らない床に単独で隔離。脚を無理に戻さず当日中に受診。長期の放置は回復不能
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路糞便に触れた手からの経口感染、卵の殻
予防作業後は必ず手洗い。卵は洗って保管し生食しない
カンピロバクター症
感染経路糞便、飼育器具、汚染された水を介して
予防作業用の長靴と服を分ける。飼育場では飲食しない
鳥インフルエンザ
感染経路感染鳥の分泌物や糞の吸入・接触
予防異常死は触らず通報。発生時は防護具を着用する
クリプトスポリジウム症
感染経路糞便で汚染された水や手からの経口感染
予防水槽を毎日洗浄。下痢の雛を触った後は特に念入りに手洗い
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- ダチョウ専用配合飼料を1日1.5〜2.5kgを2回に分けて
- アルファルファなど良質な牧草を自由に採食
- 砂のう用に小粒の砂利を少量与える(繊維の消化に必須)
水
- 1日5〜10L飲む。常に新鮮な水を複数の容器で
- 容器は毎日洗い、冬は凍らせない。夏は日陰に置く
与えてはいけないもの
- 針金・釘・ガラス・ビニール等の異物(必ず飲み込む)
- カビた飼料・腐った牧草(真菌毒素で中毒)
- アボカド・ニワトリ用の高タンパク飼料(脚の変形)
おもちゃ・遊び
- 広い放飼場で走れることが最大の刺激
- 吊るした牧草や野菜を突く採食行動を促す
- 砂場で砂浴びをさせ羽と皮膚を清潔に保つ
巣・寝床・隠れ家
- 屋根付きの小屋で雨風と直射日光を避ける
- 雌は地面に浅い穴を掘って産卵する砂地が必要
床材・トイレ
- 放飼場は水はけのよい砂地か短い草地
- 小屋は乾いた砂か細かい木くず。藁は飲み込むため避ける
- 糞は毎日除去し、ぬかるみを作らない
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
高さ2m以上の金網か木製柵。有刺鉄線と突起は厳禁
大きさ・広さ
成鳥1組で放飼場最低800㎡、小屋は1羽10㎡以上
配置・レイアウト
- 放飼場は細長く、全力で走れる直線を確保
- 角は丸めるか斜めに板を張り激突を防ぐ
- 水と餌場は離して複数設置し弱い個体も食べられるように
設置場所の注意
- 道路や騒音源から離し、驚かせない環境
- 野鳥が入らないよう小屋に防鳥ネットを張る
運動・部屋んぽ・散歩
- 日中は放飼場で自由に歩かせ、閉じ込めない
- 雛も日光浴と歩行で脚を健全に育てる
- 追い回しや犬を近づけるのは厳禁
温湿度管理
適温成鳥は0〜35℃に適応。雛は孵化後32℃前後から徐々に下げる
適湿度乾燥した環境を好む。ぬかるみと高湿度は避ける
夏・冬の対策
- 夏:日陰と豊富な水。雛は日射を避ける
- 冬:風をさえぎる小屋と乾いた床。雛は保温が必須
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
通常は自然に摩耗。伸びすぎや割れは獣医師に保定下で処置してもらう
ブラッシング・皮膚被毛ケア
砂浴びが羽のケア。羽に糞や泥が固まれば湿らせた布で拭く
その他のケア
脚の裏の傷や腫れを毎日確認。眼の分泌物は清潔な水で拭く
外敵からの保護
- 犬・キツネ・カラスは雛を襲う。夜は小屋に収容
- 野鳥との接触を避け鳥インフルエンザを防ぐ
- イヌの吠え声で驚いて激突するため近づけない
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
光る物や小さな物は何でも飲み込む。放飼場に針金・釘・ガラス・ビニール・ボルトを落とさない。毎日見回り拾う
踏みつけ
雛は親や他の雛に踏まれて死ぬ。成鳥と雛を分け、雛の収容密度を低く保つ
挟まれ
柵や扉に首や脚を挟み骨折する。隙間は頭が入らない幅にし、扉は内開きで固定する
落下・転落
転倒すると自力で起きられず捕獲性筋疾患を起こす。段差・溝・ぬかるみをなくし、転倒個体は静かに起こす
逸走・脱走
逃走すると時速60kmで走り事故を起こす。二重扉にし、逃げたら追わず警察と役所へ通報し専門家で囲い込む
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 正面に立って押し返す(前蹴りで致命傷)
- 叩く・大声を出す(興奮して激突や突進)
安全な引き離しの手順
- 突かれても慌てず横か後ろへ静かに離れる
- フード(頭を覆う袋)をかぶせると動きが止まる
- 首の付け根を持ち頭を背より低く下げると蹴れない
- 複数人で翼の付け根を持ち、横から誘導する
引き離した後の処置
くちばしの傷は洗って消毒。蹴られたら内臓損傷の恐れがあり直ちに救急受診
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 座り込んで立てない・脚が変形している
- 首が曲がったまま動かない・激しい出血
- 複数羽が同時に急に元気を失う
- 口を開けて呼吸、頭や首が腫れている
当日中に受診
- 丸1日食べない、便が極端に減る
- 雛が脚をねじる・開脚で歩けない
- 眼や鼻の分泌物、まぶたの腫れ
受診時に伝えること・持ち物
年齢・体重・飼料の種類と量・異物の有無・発症時刻・群れ内の発症数を伝え往診を依頼
意識・呼吸・心拍の確認
- 意識:呼びかけや接触に反応するか
- 呼吸:胸の動きを見る。安静時1分約6〜12回
- 心拍:胸に手を当てる。安静時1分約60〜70回
蘇生の手順
- 体重100kg超で胸部圧迫は骨折の危険があり不可
- フードをかぶせ暗くして静かに保ち首を伸ばす
- 口内の異物を除き気道を確保、日陰で水を提供
- 呼吸が弱ければ横に寝かせ首を支え即往診
止血
- 清潔な布で5分以上圧迫、水で洗い流す
- 脚からの出血は横に寝かせ圧迫し近づかない
- 止まらなければ圧迫したまま獣医師を呼ぶ
搬送方法
- 成鳥はフードで鎮静し家畜用トレーラーで
- 雛は暗い箱に入れ保温し、揺らさず搬送
ケースメソッドで学ぶ
