基本情報
- 寿命
- 10〜15年(飼育下、長寿個体は20年近く)
- 体重
- 1.5〜2.5kg(体長40〜55cm、尾はほぼ同長)
- 性格
- 俊敏で警戒心が強い。慣れても単独を好む
- 飼育難易度
- 高(夜行性・脱走・臭腺・診療可能な病院が少ない)
- 法規制
- 特定動物ではないが動物愛護管理法対象。輸入は感染症法届出
- 最重要ポイント
- 高所に登る習性。天井まで塞いだ部屋か大型ケージが必須
生態と特徴
- 体の特徴
- 細長い体と長い尾で高所を跳び渡る。半伸縮する爪、会陰部に臭腺(麝香)
- 原産地・分布
- アフリカ大陸北部〜サハラ以南。イベリア半島・南仏にも定着
- 野生での生息環境
- 疎林・低木林・岩場・川辺。樹上と地上の両方を使う
- 活動時間・睡眠
- 夜行性・薄明薄暮性。昼は樹洞や岩の隙間で眠る
- 社会性・人との関係
- 単独性で縄張りを持つ。繁殖期以外は他個体を避ける
特徴的な行動・習性
- 驚くと垂直に跳び、棚・カーテン・天井近くまで一気に登る
- 臭腺を物にこすりつけて縄張りを主張。興奮時は強い匂いを出す
- 獲物を前足で押さえ首筋を噛む。小鳥・小動物は本能的に襲う
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
歯周病・歯の破折
予兆口臭、片側だけで噛む、よだれ、硬い物を避ける、頬の腫れ
予防柔らかい缶詰ばかりにせず、骨付きの小型獲物や硬めのフードを混ぜる。年1回口腔検査
肥満・脂肪肝
予兆腹の垂れ、動きが鈍い、毛づやの低下、食欲が急に落ちると危険
予防果物・脂身を控え、夜間に登り下りできる環境で運動させる。月1回体重測定
尿路結石・膀胱炎
予兆トイレに何度も行く、少量の尿、血尿、排尿時に鳴く、陰部を舐める
予防新鮮な水を複数箇所に置く。ウェット中心で水分を摂らせ、尿の色と回数を毎日確認
消化器疾患
予兆下痢・嘔吐が続く、便に血や粘液、腹を触ると嫌がる、食欲低下
予防急な食事変更をしない。生肉は新鮮なものを少量ずつ、残りは1時間で撤去
ストレス性脱毛・自傷
予兆尾や腹の毛がまばら、同じ場所を舐め続ける、尾を噛む、常同的な往復行動
予防隠れ家を複数用意し、昼間はそっとしておく。騒音・他のペットの視線を遮る
外部・内部寄生虫
予兆痒がる、皮膚の黒い粒、便に白い虫、体重減少、毛づやの悪化
予防導入時と年1回の便検査。生餌・生肉は冷凍処理したものを使う
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
下痢・嘔吐が続く
食事を一時中止し水だけ置く。便・吐物を写真に撮り当日中に受診。血が混じる、ぐったりなら即受診
排尿できない
半日以上尿が出ない、鳴きながら力むなら尿道閉塞の恐れ。腹を押さず、夜間でも即受診
口を気にする
よだれ・口を前足でこする時は口内の異物や歯の破折を疑う。無理に口を開けず、柔らかい餌にして当日中に受診
ぐったりして動かない
体を触って冷たければタオルと湯たんぽで保温、熱ければ涼しい部屋へ移し、30分以内に受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
落下による骨折
予防高所から飛び移る先に滑る物を置かない。棚の上の小物を片付け、着地面にマットを敷く
応急処置足を引きずる・浮かせる時は触らず、狭いキャリーに入れて動きを制限し当日中に受診
脱走中の外傷
予防窓・換気扇・排水口を塞ぐ。部屋んぽは必ず扉を閉め、網戸は使わない
応急処置捕獲後は暗いキャリーで落ち着かせ、出血・歩き方・呼吸を確認。異常があれば即受診
爪の損傷・抜け
予防カーペットの輪っか状の生地や網目の粗い布を避ける。爪は月1回確認
応急処置出血は清潔なガーゼで5分圧迫。爪が根元から抜けた、腫れる時は当日中に受診
火傷・感電
予防コンロ・ストーブ・ホットカーペットの上に乗れない配置。コードは配線カバーで保護
応急処置電源を切ってから触る。火傷部は流水で5〜10分冷やし、口の中を火傷した場合は即受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路便・生肉を扱った手・ケージ用品
予防生肉・便の処理後は石鹸で手洗い。食器は人用と分け、調理台で洗わない
咬傷による細菌感染
感染経路咬み傷・ひっかき傷
予防傷はすぐ流水で洗い消毒。腫れ・発熱があれば受診し動物に噛まれたと伝える
皮膚糸状菌症
感染経路皮膚・毛との接触、ケージ用品
予防脱毛やフケのある個体は手袋で扱う。寝具を洗い、人の皮膚に輪状の発疹が出たら受診
回虫・ノミ・ダニ
感染経路便、寝床、毛に付いた寄生虫
予防導入時に便検査と駆虫。寝床は週1回洗い、子どもが触った後は手洗い
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 高品質なキャットフードを基本に、動物性たんぱく質を主体にする
- 冷凍マウス・ヒヨコ・ウズラなどの小型獲物を週2〜3回加える
- 夕方〜夜に1日1〜2回給餌。1日量は体重の5〜8%を目安に体重で調整
水
- 重い陶器皿と給水ボトルの両方を置き、毎日交換する
- 登る場所の近くにも水を置き、飲んだ量を把握する
与えてはいけないもの
- ネギ類・チョコ・ブドウ・キシリトール(猫と同じく中毒)
- 果物・甘い物の与えすぎ(肥満・歯の病気)
- 犬用フード・人の加工肉(塩分・タウリン不足)
おもちゃ・遊び
- 天井近くまで届く棚やキャットタワーで立体的な運動を促す
- 餌を隠せるパズルフィーダーや紙袋で探索欲求を満たす
- 猫じゃらしは手から離れた長さで、手に飛びつかせない
巣・寝床・隠れ家
- 高い位置に布製や木製の巣箱を複数置き、中が見えないようにする
- 昼間に寝る場所は暗く静かに。人の動線から離す
床材・トイレ
- 床は掃除しやすいペットシーツやフリース、臭腺の匂いが残る布は週1回洗う
- トイレは猫用の大きめトレイに固まらない砂か紙砂を入れる
- トイレは隅や決めた場所に1〜2個。砂の飛び散り対策に高めの縁
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
金属製の猫用大型ケージか一部屋。格子間隔は2.5cm以下
大きさ・広さ
高さ180cm以上、幅・奥行き各90cm以上。部屋飼いが理想
配置・レイアウト
- 上段に巣箱と休憩棚、中段に遊び棚、下段に餌・水・トイレ
- 跳び移れる距離に棚を配置し、落下しても着地できる高さにする
- 餌とトイレは離し、トイレは壁側の隅に置く
設置場所の注意
- 扉はナスカン・南京錠で二重ロック。鼻先で開けるのが得意
- 直射日光・エアコンの風・テレビの前を避け、昼は静かに
運動・部屋んぽ・散歩
- 夕方〜夜に1〜3時間、扉を閉めた部屋で登り下りして遊ばせる
- 散歩は不可。ハーネスをすり抜けるため屋外に出さない
- 部屋に出す前に窓・換気扇・小物・観葉植物を確認する
温湿度管理
適温20〜28℃。15℃以下と32℃以上は危険
適湿度40〜60%。結露や乾燥しすぎを避ける
夏・冬の対策
- 夏はエアコン常時稼働、凍らせたペットボトルを棚に置く
- 冬は巣箱に毛布、ヒーターは囓れない位置に設置し乾燥に注意
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
月1回確認。タオルで包み1本ずつ先端だけ切る。無理なら病院に依頼
ブラッシング・皮膚被毛ケア
換毛期に柔らかいブラシで軽く。臭腺周りの汚れは湿らせた布で拭く
その他のケア
口臭と歯の確認を週1回。耳の汚れや黒い耳垢はダニの可能性、受診
外敵からの保護
- 犬・猫とは同じ部屋に出さない。本気の闘争で双方が重傷になる
- 小鳥・ハムスターなど小動物は捕食対象。別室で隔離して飼う
- 蚊・ノミ対策に網戸でなく金網や窓の施錠で換気する
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
ゴム・紐・猫用おもちゃの羽根を引きちぎって飲む。嘔吐・食欲低下・排便停止で当日中に受診。無理に吐かせない
踏みつけ
暗い部屋で足元に来るため踏みやすい。夜は床に物を置かず、歩く前に声をかける。踏んだら歩行と呼吸を確認し受診
挟まれ
扉の上や引き戸の隙間に乗るため挟まれやすい。扉はゆっくり閉め、ケージ扉は体の位置を見てから閉める
落下・転落
高所から濡れた床や家具の角に落ちると骨折。着地面にマットを敷き、落下後は足と呼吸を観察して受診
逸走・脱走
窓の隙間・換気扇・排水口から脱走。逃げたら暗くなってから巣箱と好物を置き、動物病院と警察に届け出る
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を引き抜く、振り回す(裂傷が深くなる)
- 叩く・大声で怒る(防御性が強まり再び噛む)
安全な引き離しの手順
- 動きを止め、噛まれた手を動物の方へ軽く押し込む
- もう片方の手で厚手のタオルを頭にかぶせて視界を遮る
- 口角の後ろから指を入れず、鼻先に軽く息を吹きかけ緩ませる
- 離れたらタオルごとケージに戻し、暗くして30分放置する
引き離した後の処置
傷は流水で5分洗い消毒。深い咬傷・腫れ・発熱は人の病院へ受診
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 呼吸が速い・口を開けて呼吸・舌が青い
- 半日以上排尿がない・鳴きながら力む
- 高所から落ちて立てない・けいれん
- ぐったりして体が冷たい、または熱い
当日中に受診
- 24時間以上食べない・飲まない
- 下痢・嘔吐が2回以上続く、便に血
- 足を引きずる・跳べない
受診時に伝えること・持ち物
種名と体重、食事内容、最後に食べた時刻、便尿の写真、嘔吐物、事前に診療可否を電話確認
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前を呼び、タオル越しに体に触れて反応を見る
- 胸の上下を10秒数え6倍。正常は1分20〜40回
- 後ろ足の付け根に指を当て脈を確認。正常1分120〜200回
蘇生の手順
- 硬い台に横向きに寝かせ、首を伸ばし口の中の異物を取り除く
- 肘の裏あたりを片手で挟み、1秒2回のペースで圧迫
- 30回圧迫後に鼻から2回息を吹き込む、胸が上がる程度
- 2分続けたら呼吸と脈を確認。受診まで繰り返す
止血
- 清潔なガーゼで傷を強く5分押さえる、剥がして確認しない
- 四肢は心臓より高くし、ガーゼを重ねて包帯で固定
- 尾の先の出血も多量になる。圧迫しながら受診
搬送方法
- 硬い底のキャリーにタオルを敷き暗くして運ぶ
- 冷えていればタオルで包んだ湯たんぽを隣に置き、車内は静かに
ケースメソッドで学ぶ
