基本情報
- 寿命
- ニホンヤモリ5〜10年、クレス15〜20年
- 体重
- ニホンヤモリ3〜5g、トッケイ150〜300g
- 性格
- 臆病で素早い。トッケイは気が荒く強く噛む
- 飼育難易度
- 中(湿度・活餌・壁登り脱走対策)
- 法規制
- 動物愛護管理法対象。トッケイ・ヒルヤモリはCITESⅡ
- 最重要ポイント
- 湿度と垂直空間。捕まえる時は尾を持たない
生態と特徴
- 体の特徴
- 指先の趾下薄板でガラスを登る。まぶたがなく舌で目を拭う。危険時に尾を自切する
- 原産地・分布
- ニホンヤモリは日本本土、トッケイは東南アジア、クレスはニューカレドニア
- 野生での生息環境
- 樹上や岩壁・民家の壁。湿った熱帯林から人家周辺まで種で異なる
- 活動時間・睡眠
- 多くは夜行性で昼は壁の隙間で休む。ヒルヤモリ類は昼行性
- 社会性・人との関係
- 単独性で縄張りを持つ。オス同士は激しく争う。人には徐々に慣れる
特徴的な行動・習性
- 驚くと尾を切り離して逃げる。クレスの尾は再生しない
- トッケイは『トッケー』と大声で鳴き縄張りを主張する
- クレス・ガーゴイルは樹上から飛び移り、床で休むことは少ない
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
代謝性骨疾患
予兆あごが柔らかい・四肢や背骨が曲がる・壁を登れない・震え・けいれん
予防毎回の餌にカルシウム粉を添加。クレスは専用人工フードを主食に。UVB弱照射
脱皮不全
予兆指先や尾先に古い皮が輪状に残る・指先が黒く細くなる・壁に張り付けない
予防湿度60〜80%を維持し毎日霧吹き。湿らせたシェルターを常設
フロッピーテール
予兆ガラス面で頭を下にして休むと尾が背中側へ垂れ下がる。骨盤が変形する
予防太い流木や登り木を多く入れ、ガラス面にばかり張り付かせない
口内炎
予兆口の周りに黄白色のチーズ状の塊・口が閉じない・よだれ・食欲低下
予防低温・低湿度と不衛生が誘因。適温維持とケージの定期洗浄。活餌の噛み返しに注意
卵詰まり
予兆メスの腹が膨らみ産卵しない・床を掘り続ける・ぐったりして食べない
予防産卵床として湿った土を入れた容器を常設。カルシウムを十分に与える
脱水・熱中症
予兆目が落ちくぼむ・皮膚のしわ・口を開け動かない・体色が暗く濁る
予防クレスは28℃以上で危険。夏は冷房で管理し、毎晩の霧吹きで水滴を飲ませる
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
壁を登れず震える
低い容器へ移し落下を防ぐ。保温し刺激を避ける。カルシウム剤は自己判断せず当日中に爬虫類対応の病院へ
指先に皮が残る
ぬるま湯で湿らせた容器に20〜30分入れ皮をふやかし、綿棒で優しく外す。取れなければ受診
口が腫れ閉じない
触らず写真を撮る。餌を無理に与えず保温。数日以内に受診。悪化や出血は当日中
動かず目がくぼむ
26〜28℃の薄暗い場所で霧吹きし、鼻先に水滴を付けて飲ませる。30分改善なければ即受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
尾の自切
予防尾を絶対に掴まない。追いかけ回さない。驚かせず手のひらですくう
応急処置切断面は通常出血しない。清潔な床材に替え単独で安静。赤く腫れれば数日以内に受診
落下による打撲
予防ハンドリングは床に近い低い位置で。手の上で走らせない
応急処置低い容器へ移し保温。片足を引きずる・口から血・動かない場合は当日中に受診
活餌の噛み傷
予防コオロギは食べ残さない量だけ入れる。ケージに野菜を置き餌を分散
応急処置残ったコオロギを全て取り出す。傷を観察し腫れ・化膿が出たら数日以内に受診
指先の壊死
予防脱皮ごとに指先を確認。湿度不足を作らない
応急処置黒変・脱落した指は触らず清潔に保ち、数日以内に受診。壁を登れなくなれば当日
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路糞・体表・ケージ内の水に触れた手から口へ
予防触った後は必ず石けんで手洗い。台所でケージを洗わない。幼児・高齢者は接触を控える
咬傷からの細菌感染
感染経路トッケイなど大型種に噛まれた傷
予防流水と石けんで洗い消毒。腫れ・熱・膿が出たら受診
皮膚真菌症
感染経路皮膚の患部や床材に素手で触れる
予防皮膚に白い斑点がある個体は手袋で扱い、器具は共用しない
寄生虫の卵の経口摂取
感染経路糞に汚染された手・器具から口へ
予防糞は毎日除去。掃除後に手洗い。年1回の糞便検査
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- ニホンヤモリ・トッケイはコオロギ・ミルワームなど活餌を週2〜3回
- クレス・ガーゴイルは専用人工フードを2〜3日に1回主食に
- 餌には毎回カルシウム粉、週1回はビタミンD3入りをまぶす
水
- 多くは水入れから飲まない。朝夕の霧吹きで葉や壁の水滴を飲ませる
- 浅い水入れも設置し毎日交換。水場は清潔に保つ
与えてはいけないもの
- 野外で捕まえた虫(農薬・寄生虫の危険)
- 頭幅より大きい餌(詰まり・吐き戻し)
- ミルワームのみの単調な餌(栄養の偏り)
おもちゃ・遊び
- コルク樹皮や流木を立てかけ垂直移動の道を作る
- 人工植物や生きた観葉植物で隠れ場所を増やす
- 餌を複数の場所に置き探す行動を引き出す
巣・寝床・隠れ家
- 壁面に貼る樹上型シェルターとコルクの筒
- 湿らせた水苔入りのウェットシェルターを1つ常設
床材・トイレ
- ヤシガラ土やキッチンペーパー。誤飲の多い細かい砂は避ける
- 湿度維持にはヤシガラ土を湿らせる。カビたら交換
- 糞は見つけ次第除去。床材は月1回全交換
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
前開きガラス製の縦長ケージ。通気口付きでフタは確実に固定
大きさ・広さ
小型種は幅30×奥行30×高さ45cm以上、トッケイは高さ60cm以上
配置・レイアウト
- 上部に登り木・葉の茂みを配置し高低差を作る
- ケージ上部に温かい場所、下部に涼しい場所を作る
- メスには産卵床の容器を床に置く
設置場所の注意
- 直射日光が当たる窓際や冷暖房の風が直撃する場所は避ける
- 他の爬虫類や猫から見えない静かな場所に置く
運動・部屋んぽ・散歩
- 部屋んぽは不要。壁を登り逃げるため室内放し飼いは厳禁
- ハンドリングは週数回・各5分以内。慣れるまで無理に触らない
- ケージ内に登る場所を十分作ることが運動になる
温湿度管理
適温クレスは22〜26℃、トッケイ・ニホンヤモリは25〜30℃。夜は数度下げる
適湿度60〜80%。朝夕の霧吹きで一時的に90%近くまで上げ、日中は乾かす
夏・冬の対策
- 夏はクレスが28℃以上で弱る。エアコンで室温管理し直射日光を避ける
- 冬はパネルヒーターを側面に貼り保温。暖突は火傷防止の金網を
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪切りは不要。脱皮のたびに指先の皮の残りを確認し、壁に張り付けるか見る
ブラッシング・皮膚被毛ケア
ブラッシングは不要。脱皮前は体色が白濁するので湿度を上げ、脱皮後に皮の残りを点検
その他のケア
目は舌で拭う。目の周りの皮残りや腫れがあれば水で湿らせ、取れなければ受診
外敵からの保護
- 猫・犬・フェレットが届かない高さと鍵付きのフタ
- 逃げ出した個体はクモ・カマキリの餌になる。隙間を塞ぐ
- ケージ内の活餌の食べ残しが夜間に個体を齧る。必ず回収
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
細かい砂や水苔を餌と一緒に飲み込み腸閉塞になる。餌はピンセットか餌皿で与え、床材は粒の大きい物かペーパーに
踏みつけ
手のひらや床に出した個体を踏んだり扉で潰す。小型種は3gしかなく即死する。床に降ろさず必ずケージ内で扱う
挟まれ
前開きの扉やスライド扉に尾や指を挟む。扉を閉める前に個体の位置を確認。フタの縁に張り付いていないか見る
落下・転落
手から飛び跳ねて落下し骨折や内臓損傷を起こす。ハンドリングは床の上で座って行う。高所で手を開かない
逸走・脱走
壁を登り数ミリの隙間から脱走する。通気口や配線穴を塞ぐ。逃げたら部屋を閉め、夜に暗くして壁・カーテン裏を探す
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 噛まれた手を振り払う(顎や首が折れ自切も起きる)
- 尾や体を引っ張って引きはがす
安全な引き離しの手順
- 動かず深呼吸し、個体を床近くの低い位置に下げる
- 小型種は数秒で離す。待てば自然に口を開ける
- トッケイは噛むと離さない。ぬるま湯か酢を口元に少量垂らす
- 離れたら追わずケージに戻し、しばらくそっとしておく
引き離した後の処置
流水と石けんで洗い消毒。トッケイの咬傷は深く、腫れ・膿・発熱があれば医療機関へ
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- けいれん・ぐったりして反応がない
- 落下後に動かない・口から出血
- 口や総排泄腔から臓器が出ている
- 口を開けたまま喘ぎ体色が黒ずむ
当日中に受診
- 壁を登れず床で震えている
- 目がくぼみ皮膚がしわだらけ
- 数日食べず尾の付け根が急に痩せた
受診時に伝えること・持ち物
種類・年齢・温湿度・餌とサプリの内容・最後の糞と脱皮の日・症状の写真。個体はプラカップで持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 手を近づけ逃避反応・まばたき代わりの舌なめがあるか
- 腹のわずかな上下で呼吸を確認。正常は1分に数回〜十数回
- 喉の下の拍動を見る。低温では極端に遅くなる
蘇生の手順
- 心臓マッサージは体が小さく現実的でない。保温が第一
- 26〜28℃の暗く静かな容器へ移し、急激に温めない
- 霧吹きで湿度を上げ、鼻先に水滴を付けて脱水を補う
- 反応が戻らなければ保温したまま至急受診
止血
- 清潔なガーゼで軽く押さえる。小型種は数秒〜数十秒
- 自切面は通常出血しないが続けば圧迫し受診
- 止血剤パウダーは爬虫類用のみ。人用薬は使わない
搬送方法
- プラカップや小さな通気穴付き容器に湿らせたペーパーを敷く
- 容器を布で包み使い捨てカイロを外側に。直接触れさせない
ケースメソッドで学ぶ
