基本情報
- 寿命
- 15〜20年以上(飼育下)
- 体重
- 80〜170g・翼開長約60cm
- 性格
- 夜行性で群れ好き。臆病だが慣れると穏やか
- 飼育難易度
- 高(飛行スペース・果実食・感染症対策)
- 法規制
- 感染症法でコウモリは輸入禁止。国内繁殖個体のみ
- 最重要ポイント
- 素手で触らず革手袋。飛べる広さと逆さ吊り場所
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長約15cm。大きな目と犬に似た顔。舌打ちで反響定位し暗闇を飛ぶ
- 原産地・分布
- アフリカ・中東・パキスタン周辺の亜熱帯地域
- 野生での生息環境
- 果樹のある森林や農地。洞窟や廃墟に大群で休む
- 活動時間・睡眠
- 夜行性。日中は逆さ吊りで眠り、日没後に採食
- 社会性・人との関係
- 数百〜数千頭の群れ。密着して休む。人には慣れる
特徴的な行動・習性
- 逆さ吊りのまま排泄するため体を反転させる
- 果実をかんで汁だけ飲み、繊維は吐き出す
- 翼で体を包んで体温を保ち、暑いと翼をあおぐ
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
鉄過剰症
予兆元気・食欲低下、体重減少、黄疸、腹部膨満。血液検査で肝臓の値が上がる
予防鉄の多い餌を避け、鉄吸収を高めるビタミンC豊富な柑橘類は控える
飛膜の裂傷・壊死
予兆翼に穴や裂け目、縁が黒く乾く、飛ばない、片翼を垂らす
予防金網は爪が引っかからない目の細かいものに。扇風機・鋭い角をなくす
代謝性骨疾患
予兆翼や脚の骨が曲がる、骨折しやすい、つかまる力が弱い、震え
予防果実だけでなくカルシウム・ビタミンDを補ったコウモリ用フードを併用
歯周病・虫歯
予兆口臭、よだれ、果実を落とす、食べるのが遅い、顔の片側が腫れる
予防糖の多い果実に偏らせない。年1回は動物病院で歯の確認
肥満・脂肪肝
予兆体重が1〜2割増える、飛ばなくなる、腹部が丸い、動きが鈍い
予防飛べる広さを確保し、果実の量を体重に合わせる。毎週体重測定
呼吸器感染・低体温
予兆鼻水、開口呼吸、体が冷たく動かない、群れから離れて床に落ちている
予防室温を24〜28℃に保ち、すきま風を避ける。床に落ちた個体はすぐ保温
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
床に落ちて動かない
革手袋で拾いフリースで包む。25℃前後に保温し、暗く静かな箱で安静にして当日中に受診
下痢・食欲不振
残した餌を片付け、新鮮な果実と水を用意。便を写真に撮り、2日続く・血便なら当日受診
黄疸・急な痩せ
白目や口の中の黄色、体重減少は鉄過剰や肝臓病の疑い。餌の内容を記録し早急に受診
口を開けて呼吸
室温を確認し、暑ければ26℃程度まで下げる。改善しなければ呼吸器の異常のため即受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
飛膜の裂傷
予防ケージの針金の端・ささくれ・留め具を点検。室内飛行時は扇風機を止め窓を閉める
応急処置出血は清潔なガーゼで軽く押さえる。裂けた部分を触らず、小さな箱に入れて当日中に受診
翼・前腕の骨折
予防目の粗い金網や天井ファン・ドアの隙間をなくす。逃げた時に追い回さない
応急処置翼を自分で折り畳ませ、添え木はしない。タオルで包み暗い箱で安静。即受診
爪・指の引っかかり
予防目の細かいビニールコート網や布製の壁面にする。爪の伸びすぎは獣医でケア
応急処置暴れる前に革手袋で体を支え、引っかかった方向に戻して外す。出血や腫れは当日受診
咬傷(猫・犬)
予防他のペットと絶対に同室にしない。ケージの外側にも網で二重の防御
応急処置咬傷は小さくても細菌感染しやすい。出血は押さえ、ショックに注意して保温し即受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
狂犬病・リッサウイルス
感染経路咬傷・ひっかき傷・唾液の粘膜への接触
予防必ず厚手の革手袋。噛まれたら流水と石けんで15分洗い医療機関へ
マールブルグ病
感染経路排泄物・唾液・体液との接触、吸入
予防国内繁殖個体を信頼できる業者から。清掃は手袋・マスク
ニパウイルス感染症
感染経路尿・唾液に汚染された果実や排泄物の接触
予防かじり残しの果実を食べない。掃除後に手洗い。体調不良時は医師に飼育を伝える
ヒストプラズマ症
感染経路乾いた糞に含まれるカビの胞子を吸い込む
予防糞は乾く前に毎日湿らせて拭き取る。マスク着用で掃除
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 果実(リンゴ・バナナ・パパイヤ・メロン・梨)を一口大に
- コウモリ用・霊長類用フードやネクターを混ぜ栄養補正
- 日没後に1日1回。翌朝残りは必ず撤去し量を調整
水
- 浅い皿と給水ボトルの両方を設置、毎日交換
- 果汁で汚れやすいので容器は朝晩洗う
与えてはいけないもの
- 柑橘類(鉄の吸収を高め鉄過剰症の原因)
- アボカド・チョコ・玉ねぎ・加工食品
- 鉄の多いレバー・鉄添加の人用シリアル
おもちゃ・遊び
- ロープ・天然木の枝を天井近くに渡して移動路に
- 果実を吊るすフィーダーで採食行動を再現
- 布製トンネルやハンモックで隠れて遊べる場所
巣・寝床・隠れ家
- 天井に逆さ吊りできる目の細かい網やロープ
- フリースの巣袋や布のカーテンで薄暗い休息所
床材・トイレ
- 床は新聞紙やペットシーツ、毎日交換
- 果汁と糞で汚れるため壁面も毎日水拭き
- トイレ訓練はできないため床全体を清掃対象に
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ビニールコートの目の細かい金網か布製の大型ケージ
大きさ・広さ
1頭でも高さ・幅1.5m以上、群れなら2m以上の飛行空間
配置・レイアウト
- 天井全面を吊り下がれる網にし、複数の止まり場所
- 餌皿は床から離した高さに、水は複数箇所
- 明るい側と暗い側を作り、避難できる布をかける
設置場所の注意
- 直射日光・エアコンの風・玄関の冷気を避ける
- 他のペットから見えない静かな部屋
運動・部屋んぽ・散歩
- 毎晩、窓・扉を閉め扇風機を止めた部屋で飛ばす
- 照明を落とし、飛行中は追いかけず静かに見守る
- 飛行後は自分でケージに戻るよう餌で誘導
温湿度管理
適温24〜28℃。18℃以下・32℃以上は危険
適湿度50〜70%
夏・冬の対策
- 夏はエアコンで28℃以下、水は多めに
- 冬は部屋全体を暖房、ヒーターは触れない位置に
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪は止まるために必要。伸びすぎは獣医で先端のみ切る
ブラッシング・皮膚被毛ケア
翼を自分で舐めて手入れする。翼が乾く時は霧吹きで加湿
その他のケア
糖の多い餌で歯が傷むため年1回歯の診察。耳ダニ・コウモリバエの確認
外敵からの保護
- 猫・犬・フェレットと絶対に同室にしない
- 逃げた時カラス・猫に襲われるため窓の二重ロック
- 蚊・ダニの侵入を防ぐ網戸と清掃
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
果実に付いたシールや輪ゴム、布のほつれ糸を飲む。餌は皮をむき、巣袋のほつれは交換
踏みつけ
床に降りている時に踏む危険。部屋に放す時は足元を確認しスリッパを履かない
挟まれ
ドアの隙間に入り込む。飛行中はドアを完全に閉め、ケージ扉は体を挟まない位置で閉める
落下・転落
飛膜や翼を痛めた個体は落下する。床にマットを敷き、落ちた個体は手袋で拾い暗所で保温
逸走・脱走
夜に逃げると発見困難。窓・換気扇に網を、逃げたら照明を落とし果実で誘い、止まった所をタオルで覆う
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 素手で引き離そうとしない
- 振り払う・叩く(骨折し顎も傷つく)
安全な引き離しの手順
- 革手袋をはめ、噛まれた部分を動かさず落ち着く
- 体を暗い布で覆うと離すことが多い
- 離れたらフリースで包みケージに戻す
- 傷口を流水と石けんで15分洗う
引き離した後の処置
出血や腫れがなくても医療機関を受診し、コウモリに噛まれたと伝える
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 床に落ちて動かない・体が冷たい
- 翼が折れている・大量出血
- 開口呼吸・口の中が青白い
- けいれん・急な麻痺
当日中に受診
- 翼の裂傷・小さな穴
- 24時間以上食べない
- 下痢・黄疸・急な体重減少
受診時に伝えること・持ち物
種名・体重・餌の内容・室温・症状の発生時刻。餌袋の成分表と便の写真
意識・呼吸・心拍の確認
- 呼吸は胸や腹の動きで確認、荒い・止まっているか
- 心拍は胸に指を当てる。安静時でも非常に速い
- 翼や足をつつき反応を見る。反応なしは緊急
蘇生の手順
- 呼吸停止なら口と鼻の分泌物をガーゼで拭く
- 胸を親指と人差し指で挟み1秒に2〜3回軽く圧迫
- 30秒ごとに呼吸の再開を確認、2分以上は続けない
- 低体温なら25℃前後に保温し受診を最優先
止血
- 飛膜の出血は清潔ガーゼで3〜5分軽く押さえる
- 爪の出血は止血剤か小麦粉を押し当てる
- 止まらない場合は圧迫したまま即受診
搬送方法
- フリース袋に入れ暗い小箱に、25℃前後に保温
- 車内は静かに、揺れとエアコンの風を避ける
ケースメソッドで学ぶ
