基本情報
- 寿命
- 8〜10年(飼育下。15年の例も)
- 体重
- 体長15〜20cm、体高が高い円盤形
- 性格
- 臆病で群れを好む。弱い個体がいじめられる
- 飼育難易度
- 高(高水温・弱酸性・高頻度換水が必須)
- 法規制
- 動物愛護法の対象外。放流は生態系破壊で厳禁
- 最重要ポイント
- 水温28〜30℃を維持し、こまめな換水が命綱
生態と特徴
- 体の特徴
- 円盤状で体高が高く、体色は品種で多彩。鰓蓋から出る粘液で稚魚を育てる珍しい魚
- 原産地・分布
- 南米アマゾン川流域。ブラジル・ペルー・コロンビアに分布
- 野生での生息環境
- 流れの緩い支流や湖。倒木や根が沈む弱酸性のブラックウォーター
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。夜は体色が暗くなり物陰で休む。照明は10時間前後
- 社会性・人との関係
- 群れで暮らす。順位があり、弱い個体は隅に追いやられやすい
特徴的な行動・習性
- 親魚は体表の粘液を稚魚に与えて育てる(ディスカスミルク)
- 驚くと体色が黒ずみ、落ち着くと鮮やかに戻る
- ペアは平らな面(流木・筒)に産卵し卵を守る
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
ディスカスエイズ様症状
予兆全身が真っ黒になり粘膜が白く剥がれる、鰭を閉じ隅で動かない、急速に衰弱
予防導入前に別容器で2〜3週間検疫。新規個体との混泳直後の水質悪化を避ける
頭部穴あき病
予兆頭部や側線に白い穴や陥没、白く糸状の便、痩せて拒食
予防換水を増やし水質を清潔に保つ。餌を多様にし栄養の偏りを防ぐ
鰓虫(ダクチロギルス)
予兆片側の鰓蓋を開いたまま、鰓を激しく動かす、鰓蓋をこすりつける、水面でパクパク
予防新規個体・生餌の持ち込みに注意し検疫。鰓の動きを毎日観察
拒食・黒化
予兆餌を見ても食べない、黒ずんで隅に隠れる、鰭を閉じる、痩せて背が薄くなる
予防水温28〜30℃と弱酸性を安定させる。いじめの有無を確認し隠れ家を置く
腸内寄生虫・白糸便
予兆白く半透明の糸状便、腹部の膨らみ、食べても痩せる
予防冷凍赤虫は解凍・すすぎを徹底。糞の色と形を毎日確認
白点病・エラ病
予兆体表に白い点、鰓蓋の動きが速い、粘液が多く体が白っぽい
予防水温変動を1日2℃以内に。換水時は水温を合わせる
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
全身黒化と粘膜剥離
即1/3換水しエアレーション強化。他魚から隔離し、水温を30℃前後に保って魚病に詳しい店や病院へ当日相談
頭部に穴・白糸便
換水頻度を上げ水を清潔に。食べるなら栄養価の高い餌を少量。悪化や拒食が続けば数日以内に病院へ
鰓を激しく動かす
エアレーションを追加し、1/3換水。他魚への広がりを防ぐため隔離し、当日中に魚病に詳しい店か病院へ
拒食が3日以上続く
水質(アンモニア・亜硝酸・pH)と水温を測り異常なら換水。いじめがあれば隔離。1週間続けば受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
鰭裂け・鰭腐れ
予防とがった流木や装飾を置かない。網で追い回さず容器で掬う
応急処置1/3換水し水を清潔に保つ。鰭の縁が白く溶けるなら隔離し魚病薬を説明書どおり使用
体表の擦り傷
予防同種間の争いを避け、隠れ家と十分な広さを確保する
応急処置傷口が白く綿状になれば水カビ。隔離し換水、悪化すれば当日中に相談
飛び出し・落下
予防水槽に必ずフタをする。驚かせる急な照明点灯を避ける
応急処置濡れた手で優しく戻し、エアレーション強化。体表の乾きが強ければ受診
ヒーターやけど
予防ヒーターにカバーを付ける。隠れ家の近くに置かない
応急処置患部の白化や剥離を観察。水を清潔に保ち、広がれば隔離して相談
動物由来感染症(人にうつる病気)
非結核性抗酸菌症
感染経路水槽水や魚体に触れた手の傷から感染
予防傷のある手で水槽に入れない。作業後は石けんで手洗い
エロモナス感染症
感染経路水槽水・病魚の粘液が傷口に触れて感染
予防手袋を使う。赤く腫れたり熱が出たら受診
サルモネラ症
感染経路水槽水・器具に触れた手からの経口感染
予防台所の流しで器具を洗わない。手洗いを徹底
緑膿菌など水系細菌
感染経路水槽水が目・傷・口に入る
予防サイフォンを口で吸わない。目に入れば流水で洗う
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- ディスカス専用の配合飼料を主食に1日2〜3回
- 冷凍赤虫・ディスカスハンバーグを補助的に
- 2〜3分で食べ切る量。残餌は必ず取り除く
水
- 水温28〜30℃、pH6.0〜6.8の弱酸性の軟水
- 週2〜3回、各1/3〜1/2をカルキ抜きし同温で換水
与えてはいけないもの
- 生の赤虫やイトミミズの無処理投与(寄生虫持込)
- 人間の食べ物・油分の多い餌
- カルキ抜きしていない水道水・温度差のある水
おもちゃ・遊び
- 本来の遊具は不要。安定した環境が一番の刺激
- 流木や筒は隠れ家兼産卵場になる
- 群泳できる仲間(5匹以上)が精神的安定に
巣・寝床・隠れ家
- 産卵用の素焼き筒や縦置きの平らな面
- 弱い個体が逃げ込める流木や水草の陰
床材・トイレ
- ベアタンク(底砂なし)が清掃しやすく推奨
- 砂利を敷くなら薄く、残餌が溜まらない程度
- 底の糞・残餌は毎日スポイトで除去
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ガラスまたはアクリル水槽。フタ必須。ヒーターカバー付き
大きさ・広さ
5匹で90cm(180L)以上。成魚1匹あたり30L以上
配置・レイアウト
- ヒーター・水温計を両端に離して設置
- 外部または上部フィルターと別にエアレーション
- 流木や筒を1〜2個置き隠れ家に
設置場所の注意
- 直射日光と人の往来が多い場所を避ける
- 水槽台は水を入れた重さに耐えるものを
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩は不要。広い遊泳空間が運動の全て
- 照明は1日8〜10時間で昼夜のリズムを作る
- 驚かせない。急な点灯や水槽を叩くのは禁止
温湿度管理
適温28〜30℃(治療時は31〜32℃まで)
適湿度湿度は不問。室内の結露・カビに注意
夏・冬の対策
- 夏:冷却ファンやクーラーで32℃超を防ぐ
- 冬:ヒーター故障に備え予備を常備。保温材
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪切りは不要。代わりに毎日の残餌・糞の除去と週2〜3回の換水
ブラッシング・皮膚被毛ケア
体表に触れない。粘液は免疫の要。網でなく容器で掬う
その他のケア
フィルターは飼育水で軽くすすぐ。水温計とヒーターの作動確認を毎日
外敵からの保護
- 猫が水槽に手を入れないようフタを固定
- 混泳魚は温和な種のみ。鰭をつつく魚は避ける
- 蚊の幼虫など外からの持込みを防ぐ
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
口に入らない大きさの底砂・装飾にする。砂利を飲み込んだら吐き出すのを待ち、口に詰まったままなら相談
踏みつけ
床に落ちた魚を踏まないよう、換水・移動時は足元に注意。落ちたら濡れた手で素早く水に戻す
挟まれ
フタやフィルターの隙間に挟まる事故に注意。吸水口にはスポンジを付け、鰭が吸われないようにする
落下・転落
驚いて飛び出すためフタ必須。床に落ちたらすぐ戻しエアレーション強化、乾いた部分の白化を観察する
逸走・脱走
逸走は飛び出しのこと。隙間を塞ぎ、夜間の急な点灯を避ける。放流は絶対にしない
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手で魚を掴んだり握ったりしない
- 同種間の噛み合いを手で止めに入らない
安全な引き離しの手順
- 噛み合い・追い回しは容器や仕切り板で静かに分ける
- 弱い方の個体を別容器か仕切りで隔離する
- 水温を保ちエアレーションを入れて落ち着かせる
- 鰭や体表の傷を観察し水を清潔にする
引き離した後の処置
傷が白く綿状になったり赤くただれれば魚病に詳しい店や病院へ相談
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 横転・逆さまで泳げない
- 全身黒化し粘膜が白く剥がれる
- 水面で激しくパクパクし止まらない
- ヒーター故障で水温が25℃以下か33℃以上
当日中に受診
- 片側の鰓だけ開いて動きが速い
- 頭部に穴や陥没が出た
- 拒食と白い糸状便が3日以上続く
受診時に伝えること・持ち物
水温・pH・アンモニア・亜硝酸の値、換水頻度、導入日、症状の写真と動画、飼育水を持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 鰓蓋の動きを見る。正常は1分60〜80回程度
- 体を横にして浮く・沈むは重体のサイン
- 水温28〜30℃、アンモニア・亜硝酸ゼロを確認
蘇生の手順
- エアレーションを最大にして酸素を補う
- 1/3換水し同温のカルキ抜き水で水質改善
- 水温を30℃前後に安定させ急変させない
- 照明を消し静かな環境で回復を待つ
止血
- 魚に直接触れず、水を清潔にして止血を待つ
- 出血元の鰭・体表を観察し他魚から隔離
- 出血が続くか広がれば当日中に相談
搬送方法
- 飼育水を入れた袋に酸素を充填し暗い箱に
- 保温材で28℃以上を保ち揺らさず30分以内に
ケースメソッドで学ぶ
