基本情報
- 寿命
- アメリカザリガニ3〜5年。ニホンザリガニ10年前後
- 体重
- アメリカザリガニ体長10〜12cm。ニホン5〜6cm
- 性格
- 縄張り性が強く共食いする。夜に活発で脱走上手
- 飼育難易度
- 中(法規制・単独飼育・水質と脱皮の管理)
- 法規制
- アメリカは条件付特定外来生物、他の外来種は飼育不可
- 最重要ポイント
- 放流・販売・譲渡禁止。終生飼育と脱走防止が絶対条件
生態と特徴
- 体の特徴
- 大きなハサミと硬い外骨格、鰓で呼吸。触角で匂いと振動を感じ、失った脚は脱皮で再生
- 原産地・分布
- アメリカザリガニは北米南部原産で1927年に日本へ持ち込まれた
- 野生での生息環境
- 流れの緩い水田・池・用水路の泥底。ニホンは北日本の冷たい清流
- 活動時間・睡眠
- 夜行性で昼は巣穴や物陰に潜む。冬は泥に潜って不活発
- 社会性・人との関係
- 単独で縄張りを持ち同種を襲う。複数飼育は共食いの原因
特徴的な行動・習性
- 脱皮直前は餌を食べず動かず、殻の色がくすむ
- 湿っていれば陸上を歩き、水槽の壁や配線を伝って脱走
- 胃の中に胃石を作り、脱皮後の殻を食べてカルシウムを回収
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
脱皮不全
予兆脱皮の途中で動けない・古い殻が脚やハサミに残る・脱皮後に軟らかいまま弱る
予防水質の安定とカルシウム源の確保。脱皮前後は触らず隠れ家を用意。他個体と同居させない
ザリガニペスト(水カビ病)
予兆昼間に出歩く・ふらつく・脚が白く濁る・短期間で死ぬ。外来種が無症状で保菌
予防野外の水や他のザリガニ用品を持ち込まない。器具は個体ごとに分け、飼育水は下水へ捨てる
酸欠・鰓の障害
予兆水面近くで横向きに体を傾けて鰓を空気に出す・動きが鈍い・殻が黒ずむ
予防水深を浅めにし陸地や足場を作る。エアレーションと週1回以上の換水で汚れを防ぐ
バーンスポット(殻の潰瘍)
予兆殻に黒〜茶色の斑点や穴ができ、進行すると脚やハサミが欠ける
予防底の食べ残しとフンをこまめに除去。古い水を溜めない。脱皮で改善するため脱皮環境を整える
脱皮時の衰弱・成長停止
予兆数か月脱皮しない・殻が小さく見える・食欲低下・体色がくすんだまま
予防高たんぱくに偏らず野菜や沈下性の餌を与える。水温を一定に保ち、脱皮期は餌を控えめに
高温障害
予兆夏に動かなくなる・餌を食べない・水が白濁し悪臭。30℃超で死亡しやすい
予防直射日光を避け水温28℃以下を維持。ニホンザリガニは20℃以下。扇風機や冷却ファンを使う
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
脱皮中に動けない
触らず暗く静かにして数時間待つ。古い殻が残った翌日以降に、湿らせた綿棒で軽く外す。無理なら受診
昼間に出歩き弱る
ペストや酸欠を疑い別容器に隔離。カルキ抜きした浅い水とエアレーション。飼育水は塩素処理し川へ流さない
殻の黒い斑点
底の汚れを吸い出し半分換水。斑点が広がる・脚が欠けるなら隔離して水質改善し、改善しなければ受診
横向きで水面に浮く
酸欠と判断し水深を体高の2倍程度に浅くし、鰓が出せる足場とエアレーション。水温を確認し25℃前後へ
起こりやすい怪我と予防・応急処置
ハサミ・脚の欠損
予防単独飼育で共食いを防ぐ。網ですくう時は胴をつまむ。脱皮直後は絶対に触らない
応急処置出血部位は触らず隠れ家で安静。餌は小さく切って近くに置く。次の脱皮で再生するので水質を保つ
脱皮直後の圧迫傷
予防脱皮前の個体を別容器に移す。飼育者も手で持たない。流木や石の落下を防ぐ
応急処置殻が硬くなる2〜3日は餌を与えず暗所で安静。体液が漏れていたら動物病院に相談
共食いによる外傷
予防1個体1容器が原則。やむを得ず複数なら広い水槽に隠れ家を数多く設置し脱皮個体を隔離
応急処置直ちに別容器へ移し、清潔な水で安静。傷口が白く濁る・腐臭がすれば水カビ感染の恐れ、受診
落下・乾燥による損傷
予防脱走防止の蓋と重し。扱う時は床から低い位置で。運搬は湿らせた容器に入れる
応急処置濡らした手で拾い、すぐ飼育水に戻す。殻の割れがあれば隔離し静置。動かなければ水に戻し数時間様子を見る
動物由来感染症(人にうつる病気)
肺吸虫症
感染経路生や加熱不十分なザリガニを食べる・調理器具の汚染
予防飼育個体を食べない。触った手・器具は石けんで洗う。子どもが口に入れないよう見守る
サルモネラ症
感染経路飼育水・殻・水槽器具に触れた手から口へ
予防世話の後は流水と石けんで手洗い。水槽の水を台所の流しで捨てない
エロモナス感染症
感染経路ハサミで挟まれた傷・手の傷から飼育水の細菌が侵入
予防手に傷があれば手袋を使う。挟まれた傷は流水で洗い消毒。赤く腫れたら受診
レプトスピラ症
感染経路野外採取時の水・泥が傷や粘膜に触れる
予防野外で採取する時は手袋と長靴。採取後は手を洗う。発熱・筋肉痛があれば受診時に申告
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- ザリガニ用沈下性飼料を主食に1日1回、翌朝残らない量
- 煮た野菜(にんじん・ほうれん草)や落ち葉を補助に
- 脱皮期は餌を減らし、脱皮殻は食べさせて回収
水
- カルキ抜きした水道水。pH6.5〜8の中性〜弱アルカリ
- 週1回3分の1〜半分を換水。夏は週2回。水温差2℃以内
与えてはいけないもの
- 生の肉や魚の与えすぎ(水質悪化と殻の軟化)
- 人の食べ物・味付けした物・パン・菓子類
- 野外採取の水草や生き物(ペスト・農薬の持ち込み)
おもちゃ・遊び
- 塩ビ管や植木鉢のかけらで潜る遊び場
- 流木や石で登り場と陸地を作る
- 沈む落ち葉(ケヤキ・ナラ)は餌と隠れ家を兼ねる
巣・寝床・隠れ家
- 体がすっぽり入る塩ビ管や土管を1個以上
- 脱皮用に暗く落ち着ける隠れ家を別に用意
床材・トイレ
- 大磯砂や細かい砂利を2〜3cm。掃除しやすい厚さ
- ベアタンク(底材なし)も可。汚れが見えて管理しやすい
- 細かい土は水が濁るため避ける
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ガラスまたはプラスチックの水槽。蓋と重しが必須
大きさ・広さ
1匹に30cm水槽以上。ニホンは45cm以上で冷却が必要
配置・レイアウト
- 水深は体高の2〜3倍と浅めにし、登れる陸地を作る
- 隠れ家を2か所以上。エアレーションは必須
- フィルターの吸水口やコードを伝って脱走しない配置
設置場所の注意
- 直射日光と暖房の風が当たらない場所
- 振動や騒音の少ない静かな場所。ペットの手が届かない位置
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩は不要。水槽の外に出さない
- 水槽内の登り場や隠れ家で運動させる
- 持ち上げる時は胴の背側を親指と人差し指でつまむ
温湿度管理
適温アメリカ15〜25℃(上限28℃)。ニホン10〜18℃
適湿度水中飼育のため不要。陸地は常に湿らせる
夏・冬の対策
- 夏は冷却ファン・部屋の冷房・日陰で28℃以下に
- 冬は無加温でも可だが凍結させない。餌を減らす
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪切りは不要。欠けたハサミや脚は脱皮で再生するため、切ったり触ったりしない
ブラッシング・皮膚被毛ケア
殻の汚れは掃除せず換水で清潔を保つ。脱皮殻は数日残し食べさせてから捨てる
その他のケア
脱皮前は餌を控え刺激を避ける。古い殻が残れば翌日以降に湿らせた綿棒で軽く外す
外敵からの保護
- 猫・犬・鳥に狙われるため蓋と設置場所に注意
- 屋外飼育はアライグマやサギに捕食される上、逸出の恐れ
- 同居ザリガニは最大の外敵。原則1匹ずつ飼う
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
子どもが小さいザリガニや脱皮殻を口に入れないよう見守る。寄生虫の恐れがあり、誤食したら小児科に相談
踏みつけ
脱走した個体を床で踏むと殻が割れ致命的。見失ったら照明を落とし、床や家具の下を濡れた手で探す
挟まれ
フィルターや石の隙間に挟まり脚が取れることがある。隙間は体より十分広くする。挟まれたら無理に引かず石を外す
落下・転落
水槽からの転落で殻が割れる。持ち上げは水面すぐ上で行い、落ちたら濡れた手で拾いすぐ水に戻す
逸走・脱走
蓋と重し、コードの隙間ふさぎが必須。逃げたら屋内を探し、見つけても屋外へ絶対に放さない(違法)
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 挟まれたまま引き抜く(皮膚が裂ける)
- ザリガニを振り回す・叩く・投げる
安全な引き離しの手順
- 慌てず動きを止めて、ザリガニごと水面まで手を下ろす
- 水に浸けると自分からハサミを離すことが多い
- 離さなければハサミの根元を上下に軽く押し開く
- それでも離れなければ少し待つ。力づくで引かない
引き離した後の処置
傷は流水で洗い消毒。出血が止まらない・赤く腫れる・熱を持つ場合は受診。手に傷があれば手袋を使う
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 脱皮途中で半日以上動けない
- 体液が漏れ出ている・殻が大きく割れた
- 水槽外で乾燥し動かない
- 複数個体が同時に弱る(ペスト疑い)
当日中に受診
- 横向きで水面から動けない
- 殻の斑点が急に広がり脚が欠けた
- 脱皮後3日以上殻が軟らかいまま
受診時に伝えること・持ち物
種類・飼育年数・水温・換水頻度・最後の脱皮日・同居の有無。写真と飼育水を少量持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 触角や脚をそっと触れて反射があるか見る
- 鰓の動きと口元の水流で呼吸を確認
- 体を持ち上げ尾を曲げて抵抗するか確認
蘇生の手順
- 心臓マッサージは不可。酸素と水質で救命する
- カルキ抜きの浅い新しい水とエアレーションで鰓に酸素を送る
- 水温を25℃前後(ニホンは15℃前後)に合わせる
- 暗く静かな場所に置き、数時間は触らずに観察
止血
- ザリガニの血は青く固まりやすい。触らず静置
- 欠損部は自然に塞がる。清潔な水で感染を防ぐ
- 体液が止まらない時はすぐ動物病院に相談
搬送方法
- 湿らせたキッチンペーパーを敷いた容器で蓋をして運ぶ
- 夏は保冷剤を外側に添え、振動と直射日光を避ける
ケースメソッドで学ぶ
