基本情報
- 寿命
- 40〜60年。飼い主より長生きすることもある
- 体重
- タイハク500〜700g、キバタン800g前後
- 性格
- 甘えん坊で感情が激しい。依存と嫉妬が強い
- 飼育難易度
- 最高(騒音・破壊・咬傷・精神ケア・寿命)
- 法規制
- CITES附属書Ⅰ種は登録票なしの譲渡は違法
- 最重要ポイント
- 毎日3時間以上の関わりと、60年先までの飼養計画
生態と特徴
- 体の特徴
- 白い羽と立てられる冠羽、太く強い嘴。脂粉と呼ばれる白い粉を羽から出し、羽を清潔に保つ
- 原産地・分布
- オーストラリア・ニューギニア・インドネシアの島々
- 野生での生息環境
- ユーカリ林・農地・海岸林。大木の樹洞に営巣し群れで暮らす
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。朝夕に大声で群れと連絡し、昼は木陰で休む。夜10〜12時間眠る
- 社会性・人との関係
- 数十〜数百羽の群れで常に仲間と接触。飼い主を伴侶と見なし強く依存
特徴的な行動・習性
- 興奮や警戒で冠羽を立て、翼を広げて大声で叫ぶ
- 嘴で木や枝をかじり続けるのが本来の採食・巣作り行動
- 群れから離れると叫んで仲間を呼ぶため、単独飼育で分離不安が出やすい
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
毛引き・自咬症
予兆胸や脚の羽を抜く、皮膚をかじって出血、羽毛が擦り切れる。頭だけ羽が残る
予防毎日の放鳥と採食玩具で退屈を防ぐ。環境変化を減らし、皮膚病や痛みの有無を獣医で確認
PBFD
予兆羽が変形・脱落して生えない、嘴が伸びて脆くなる、元気消失。若鳥で急死も
予防迎える前に遺伝子検査。新しい鳥は最低30日隔離し検査。脂粉を介して感染するため多頭は注意
脂肪肝・肥満
予兆胸の筋肉が触れにくい、嘴の過長や黒い斑点、羽色の変化、運動後の息切れ
予防ヒマワリの種・ナッツは1日数粒まで。ペレット主体にし、毎日体重を測って記録
低カルシウム血症
予兆けいれん、止まり木から落ちる、脚の震え、産卵後のふらつき。産卵中のメスで多い
予防ペレットと緑黄色野菜で補給。日光浴または鳥用紫外線灯でビタミンDを作らせる
ビタミンA欠乏
予兆鼻孔や口内に白い塊、くしゃみ・目やに、嘴の異常、羽のツヤがない。種中心の食事で起こる
予防ニンジン・カボチャ・小松菜など緑黄色野菜を毎日少量。ペレットへ切り替える
卵塞(卵詰まり)
予兆床でうずくまる、いきむ、腹部が膨らむ、脚が麻痺する。メスで発情が続くと起こる
予防発情を促す撫で方(背中・腰)や巣になる箱・暗所を避ける。日照を10時間以内に
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
けいれん・落下
ケージの止まり木と玩具を外しタオルを敷いて平らにし、28〜30℃に保温して暗くする。今すぐ救急へ
羽を膨らませ沈む
28〜30℃に保温し、ペレットと水を床にも置く。体重を測り、便の紙を持参して当日中に鳥専門病院へ
皮膚から出血
自咬で出血したらガーゼで圧迫。かじれないよう獣医でカラーを装着し、原因の皮膚病・痛みを検査
床で踏ん張るメス
卵詰まりの疑い。30℃前後に保温し湿度を上げ、腹を押さない。数時間で産まなければ救急へ
起こりやすい怪我と予防・応急処置
嘴の骨折・裂け
予防ケージの格子に嘴を引っかけない太さ、金属製の鈴や鍵を与えない。他の鳥と同居させない
応急処置出血はガーゼで圧迫。食べられないので当日中に受診。嘴の破片は捨てず持参
翼・脚の骨折
予防放鳥中は窓・鏡・扇風機を覆う。クリッピングした鳥は高い所に乗せない
応急処置翼や脚を自分で固定しない。小さな箱にタオルを敷き動けなくして保温し、当日中に受診
血羽(羽軸出血)
予防成長中の血羽は折れやすい。放鳥前に新しい羽を確認、狭い所で暴れさせない
応急処置羽軸の根元をガーゼで圧迫。自分で抜かず、止まらなければ圧迫したまま受診
火傷・感電
予防放鳥中はコンロ・鍋・電気コードを隠す。コードは強い嘴で一瞬で噛み切る
応急処置まずコンセントを抜く。火傷は常温の水で冷やしガーゼで覆う。感電は今すぐ救急へ
動物由来感染症(人にうつる病気)
オウム病
感染経路乾いた糞や脂粉の吸入、口移し
予防糞は湿らせて掃除しマスク着用。風邪に似た高熱が出たら鳥を飼うと医師に伝える
過敏性肺炎(鳥アレルギー)
感染経路脂粉・羽毛・糞の粉塵の吸入
予防空気清浄機と毎日の掃除。咳・息切れが続けば医師に。家族に喘息があれば要注意
咬傷による細菌感染
感染経路強力な嘴による深い咬み傷
予防傷は流水で洗い圧迫。深い傷や腫れは当日中に病院で治療と抗菌薬の相談
サルモネラ症
感染経路糞に汚れた手・器具から経口
予防世話の後は手を洗う。食器は台所の食器と分けて洗う
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 大型鳥用ペレットを主食に体重の5〜8%を朝夕2回
- 緑黄色野菜(小松菜・ニンジン・ピーマン)を毎日少量
- ナッツ・種はごほうびとして1日数粒まで
水
- 毎日2回交換。強い嘴で割れない重い陶器か金属の器
- 脂粉と餌で汚れやすい。器は毎日洗剤で洗う
与えてはいけないもの
- アボカド・チョコレート・ネギ類・カフェイン
- 果物の種(リンゴ・サクランボ・モモ)、生の豆
- 人の食事(塩分・油)、カビの生えた種やナッツ
おもちゃ・遊び
- 厚い天然木・ヤシ殻・紙紐など「壊せる」玩具を毎日交換
- ペレットを隠す採食玩具で食事に時間をかけさせる
- 金属ワイヤー・小さな鈴・古いロープの糸は誤飲と絡まりの元
巣・寝床・隠れ家
- 巣箱・暗い箱は発情を促すので置かない
- 夜は布でケージを覆い、静かな部屋で10〜12時間眠らせる
床材・トイレ
- 底に新聞紙やキッチンペーパーを敷き毎日交換
- 床網で糞と足を離し、糞を踏まない構造に
- 脂粉と糞の粉が舞うため、掃除は湿らせて拭く
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
太いステンレス製の金属ケージ。ナスカン式の錠を自分で外す
大きさ・広さ
最低幅90×奥行60×高さ120cm。翼を広げても壁に触れない広さ
配置・レイアウト
- 太さの違う天然木の止まり木を2〜3本、高さをずらして
- 食器は止まり木の真下を避け、糞が入らない位置に
- ケージ外にも遊び場(スタンド)を用意し放鳥時に使う
設置場所の注意
- 家族が集まる部屋の壁際、台所と直射日光を避ける
- 大声は隣家に響く。窓から離し防音を検討する
運動・部屋んぽ・散歩
- 毎日3時間以上ケージから出し、飼い主と一緒に過ごす
- 放鳥前に窓・ドアを閉め、鏡・火・コードを隠す
- 短時間の留守番から慣らし、分離不安を予防する
温湿度管理
適温20〜28℃。成鳥は15℃以上あれば耐えるが病鳥は28〜30℃
適湿度50〜60%。冬の乾燥は脂粉が舞い、皮膚と呼吸器を傷める
夏・冬の対策
- 夏は30℃超で開口呼吸。エアコンで28℃以下、水浴びを増やす
- 冬はパネルヒーターと温度計。夜は布で覆い15℃を下回らせない
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
伸びすぎは獣医か鳥専門店で。自宅では暴れて嘴で咬まれる危険。天然木止まり木で自然に摩耗
ブラッシング・皮膚被毛ケア
脂粉が多い鳥。週2〜3回の水浴びか霧吹きで羽を清潔に。濡らした後は暖かい部屋で乾かす
その他のケア
嘴は自然に剥がれる。伸びすぎ・変形は肝臓やPBFDの疑いで受診。クリッピングは獣医に相談
外敵からの保護
- 犬猫と同室で放鳥しない。猫の口の細菌は致命的
- ベランダや窓際はカラス・タカが襲う。外に出さない
- 蚊は鳥ポックスを運ぶ。網戸と室内飼育を徹底
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
強い嘴で金属・プラスチック・コードを噛み砕く。亜鉛・鉛のメッキ製品、塗装された玩具、古い鍵・アクセサリーを届く所に置かない
踏みつけ
床にいる時間が長い鳥。歩く前に足元を確認。ドアを開ける時も床を見る。床で遊ぶ時は家族全員に声をかける
挟まれ
ドアに止まっていると閉めた瞬間に指や翼が挟まる。放鳥中はドアを閉めきるか開けきる。ケージの扉の隙間も確認
落下・転落
クリッピングした鳥は高所から落ちて胸骨や脚を折る。肩より高い所に乗せない。夜間のパニックには常夜灯を
逸走・脱走
錠を自分で外すため南京錠を使う。逃げたら名前を呼び、ケージと餌を外に出し、警察・保健所・SNSに届け出。足環番号を控えておく
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を引き抜く。皮膚が裂けて傷が深くなる
- 叩く・叫ぶ・ケージに投げ入れる。信頼を失い咬みが悪化
安全な引き離しの手順
- 動かず低い声で「ダメ」と言い、手を押し込む方向に少し動かす
- 空いた手で嘴の付け根の上下を軽く押さえ開かせる
- 離れたらすぐ止まり木かケージに戻し、興味を玩具に向ける
- 何が引き金か(発情・嫉妬・恐怖)を記録し、同じ状況を避ける
引き離した後の処置
傷は流水で5分洗い圧迫。骨が見える・止血できない・腫れる場合は当日中に病院へ
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- けいれん・落下・ぐったりして立てない
- 開口呼吸・尾を大きく振る呼吸・チアノーゼ
- 止まらない出血、血羽が折れて血まみれ
- 床で踏ん張るメス、腹部が膨らんで動けない
当日中に受診
- 食欲がなく羽を膨らませて目を閉じる
- 嘴の損傷で食べられない、翼や脚をかばう
- 皮膚をかじって出血、羽を抜き続ける
受診時に伝えること・持ち物
体重の推移、便の紙、食事内容、発症時刻、口にした可能性のある物、CITES登録票のコピー
意識・呼吸・心拍の確認
- 呼吸:胸の上下と尾の動き。正常は1分に25〜40回程度
- 心拍:胸に指を当て速い拍動を感じるか。正常は1分200回以上
- 意識:名前を呼ぶ、冠羽や瞳の反応、嘴を触った反応
蘇生の手順
- 鳥に心臓マッサージは骨折の危険。まず28〜30℃に保温
- 暗く静かな箱に入れ、酸素室があれば使用
- 嘴と鼻孔の吐物・粘液を綿棒でそっと拭き気道を確保
- 上記をしながら夜間救急に電話し即搬送
止血
- 清潔なガーゼで患部を5分圧迫、何度もはがさない
- 爪・羽軸の出血は止血剤か片栗粉を押し当てる
- 小さじ1杯以上の出血は命に関わる。圧迫しながら搬送
搬送方法
- 小さなキャリーにタオルを敷き、カイロはタオルの外側に
- 布で覆い暗く静かに。揺らさず冷暖房の風を当てない
ケースメソッドで学ぶ
