基本情報
- 寿命
- 12〜18年(飼育下)
- 体重
- 3〜6kg
- 性格
- 警戒心が強く単独を好む。慣れると穏やか
- 飼育難易度
- 高(穴掘り・温度管理・肥満・専門病院)
- 法規制
- 動物愛護管理法の愛護動物。輸入は検疫対象
- 最重要ポイント
- 22〜28℃を保ち、掘れる床と昆虫主体の食事
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長40〜50cm。骨でできた鎧状の甲羅と強い爪。嗅覚が鋭く視力は弱い
- 原産地・分布
- 南米(ブラジル・ボリビア・パラグアイ・アルゼンチン)
- 野生での生息環境
- サバンナ・乾燥草原・疎林。自分で掘った巣穴に住む
- 活動時間・睡眠
- 主に夜行性〜薄明薄暮性。昼も活動し、1日の大半は巣穴で眠る
- 社会性・人との関係
- 単独性で縄張りを持つ。人には慣れるが抱かれるのは苦手
特徴的な行動・習性
- 前足の爪で地面を掘り、巣穴や餌の虫を探す
- 驚くと走って逃げるか身を低くして甲羅で守る
- 雑食で昆虫・果実・死肉まで何でも食べる
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
肥満
予兆甲羅の縁からお腹の皮膚がはみ出す、動きが鈍い、呼吸が荒い、歩幅が狭い
予防脂肪の多いフードや果物を控える。月1回体重測定。掘る・歩く運動を毎日確保
低体温症
予兆体が冷たい、丸まって動かない、呼吸が遅い。体温調節が苦手で20℃以下で危険
予防室温22〜28℃を保ち、冬はヒーターと温度計を常設。寝床に保温素材を入れる
爪の過長・変形
予兆爪が丸く巻く、歩き方がおかしい、爪が割れて出血。掘れない環境で起こる
予防掘れる土・砂場を常設して自然に削らせる。月1回爪を確認し伸びすぎは受診
代謝性骨疾患
予兆足のふらつき、甲羅の軟化・変形、骨折しやすい。カルシウム不足と紫外線不足
予防昆虫にカルシウム剤をまぶす。偏った餌にしない。定期健診で骨の状態を確認
消化器疾患
予兆下痢・便秘、便に血や粘液、食欲低下、お腹の張り。餌の急変や不適切な餌で起こる
予防餌は数日かけて切り替える。乳製品や人の食べ物を与えない。便の状態を毎日確認
皮膚炎・甲羅の病変
予兆甲羅の隙間の皮膚が赤い、フケ、脱毛、甲羅のひび・変色・悪臭
予防床材を清潔に保ち湿りすぎを防ぐ。甲羅を月1回観察。傷や変色は早めに受診
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
体が冷たく動かない
低体温。急に温めずタオルで包み、室温を25℃前後に上げて1〜2時間かけて温め、動かなければ即受診
下痢・血便
新しい餌や人の食べ物を中止し、便を写真に撮り当日受診。ぐったり・繰り返す下痢は即受診
足を引きずる
骨折や代謝性骨疾患の疑い。段差や登れる物を外して安静にし、当日中に受診
食べない・吐く
半日以上食べなければ危険。好物の虫を差し出し、食べなければ当日受診。吐いたら即受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
爪の損傷・出血
予防金網の床・網目の壁を使わない。爪が引っかかる布やカーペットを避ける
応急処置清潔なガーゼで5分以上圧迫。出血が止まらない・爪が根元から取れたら当日受診
落下による甲羅の損傷
予防抱き上げない・高い所に置かない。登れる柵や家具をケージ周囲に置かない
応急処置甲羅にひび・出血があれば触らず、狭い箱で安静にして即受診。見た目無傷でも当日受診
骨折
予防滑る床を避けマットを敷く。カルシウムを十分に与えて骨を強く保つ
応急処置患部を触らず箱に入れ暗くして安静。自分で添え木をせず当日中に受診
甲羅の隙間の裂傷
予防ケージ内の鋭い角・金具をなくす。狭い隙間に入り込める場所を作らない
応急処置流水で汚れを流しガーゼで押さえる。深い傷・甲羅がめくれた傷は即受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
ハンセン病(らい菌)
感染経路自然宿主は主にココノオビアルマジロ。ムツオビでの報告は少ない
予防素手で血液・体液に触れない。世話の後は必ず石けんで手洗い
サルモネラ症
感染経路便に汚染された体・床材・手から経口
予防掃除後と触れた後の手洗い徹底。台所でケージ用品を洗わない
皮膚糸状菌症
感染経路皮膚・甲羅の接触
予防フケ・脱毛がある時は手袋で扱い受診。接触後は手洗い
レプトスピラ症
感染経路尿に汚染された水・床材から皮膚の傷や口
予防掃除は手袋を着用。手に傷がある時は直接触らない
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 主食は昆虫(コオロギ・ミルワーム等)にカルシウム剤をまぶす
- 低脂肪のフード・ゆで卵・少量の野菜や果物を補助に
- 1日1〜2回、夕方〜夜に与える。食べ残しは翌朝回収
水
- 重い陶器の皿で常時新鮮な水を用意する
- 掘って土が入りやすいので毎日交換
与えてはいけないもの
- 脂肪の多いドッグフード・猫缶の常用(肥満)
- 牛乳・乳製品(下痢)
- チョコ・ネギ類・アボカド・人の味付け食品
おもちゃ・遊び
- 深さ20cm以上の土・砂の掘れる場所
- 虫を隠して探させるトンネルや落ち葉
- 太い段ボールや塩ビのトンネル
巣・寝床・隠れ家
- 暗く狭い木製やプラ製の巣箱に干し草を入れる
- 体がすっぽり入る大きさで出入口は一つ
床材・トイレ
- 土・ココナッツ繊維・紙製床材を厚めに敷く
- 松や杉のチップは避ける
- トイレは決まった隅にするので新聞紙を敷いて毎日交換
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
掘っても壊れない丈夫な木製やプラ製の囲い。金網床は不可
大きさ・広さ
最低でも幅150×奥行80cm以上。床面積を広く取る
配置・レイアウト
- 掘れる土のエリア・巣箱・水皿を離して配置
- 床材は深さ15〜20cmで掘り返しに対応
- 壁は高さ60cm以上で登れない面にする
設置場所の注意
- 静かで直射日光が当たらない場所に置く
- 床暖房やヒーターで冬も20℃を下回らせない
運動・部屋んぽ・散歩
- 夕方以降に室内を30分以上自由に歩かせる
- 柵でコードや家具の隙間を塞いでから放す
- 庭に出す時は囲いの中で目を離さない
温湿度管理
適温22〜28℃。20℃以下で低体温の危険
適湿度50〜70%。乾燥しすぎると皮膚トラブル
夏・冬の対策
- 夏はエアコンで28℃以下、ケージを直射日光から避ける
- 冬はパネルヒーター・保温電球に温度計を併用
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
掘れる環境があれば自然に削れる。伸びすぎは獣医で切ってもらう
ブラッシング・皮膚被毛ケア
甲羅の隙間の皮膚を湿らせた布で拭く。甲羅のひび・変色を確認
その他のケア
ぬるま湯の浅い浴槽で月1〜2回汚れを落とす。歯は見える範囲で確認
外敵からの保護
- 犬・猫と同室にしない。遊びでも甲羅や足に傷がつく
- 庭に出す時はカラス・野良猫・タヌキに注意
- 蚊やノミ対策に網戸・床材の清潔を保つ
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
掘る習性で床材や小石を口にする。ビニール・輪ゴム・小さなおもちゃは床に置かない。吐く・食べない・便が出ない時は当日受診
踏みつけ
足元を歩き回るので暗い部屋では歩かない。踏んだら甲羅の損傷や骨折の可能性があるため、動きを確認して当日受診
挟まれ
隙間に潜り込むのでドアの開閉前に居場所を確認。挟んだら無理に引き抜かず、慎重に空けて出す。足を引きずれば受診
落下・転落
高い所に登れないが抱き上げて落とす事故が多い。抱く時は床の近くで両手で支える。落としたら甲羅を確認し当日受診
逸走・脱走
床や壁際を掘って脱走する。囲いの床を補強し庭では必ず目を離さない。逃げたら巣穴になりそうな物陰・土の下を探す
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 引っ張って手を抜かない(傷が広がる)
- 叩く・大声を出す(パニックで悪化)
安全な引き離しの手順
- 動きを止め、餌の匂いのする物を顔に近づける
- 口の端にそっと指を入れて開ける
- 離れたら暗い巣箱に戻して落ち着かせる
- 爪で引っかかれた傷も必ず確認する
引き離した後の処置
傷は流水で5分以上洗い石けんで洗浄。腫れ・発熱は受診。爪の深い傷も同様に処置
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 体が冷たく呼吸が遅い・動かない
- 甲羅のひび割れ・出血が止まらない
- 落下・踏みつけ後にぐったり
- けいれん・吐いて動けない
当日中に受診
- 半日以上食べない・水を飲まない
- 下痢や血便が続く
- 足を引きずる・歩き方が変
受診時に伝えること・持ち物
体重・室温・餌の内容と量・便の写真・症状が始まった時刻。診られる病院を事前に探す
意識・呼吸・心拍の確認
- 体温は人より低く33〜35℃程度。体が冷たいか手で確認
- 呼吸は胸と腹の動きで確認。正常はゆっくり規則的
- 心拍は腹側の胸に手を当てて確認
蘇生の手順
- 甲羅があり胸骨圧迫は効果が低い。無理に押さない
- 気道を確保し鼻と口の汚れを取り、横向きに寝かせる
- タオルで包み体温を保ちながら即搬送
- 病院に電話し到着時刻を伝えておく
止血
- 清潔なガーゼで5分以上圧迫する
- 甲羅の傷は押さず、ガーゼをそっと当てる
- 止まらない出血は圧迫したまま搬送
搬送方法
- 暗い箱にタオルを敷き、体を固定して運ぶ
- カイロはタオルの外側に。冷えも過熱も避ける
ケースメソッドで学ぶ
